東京都の小池百合子知事は2020年3月30日に新型コロナウイルス感染症対応の緊急記者会見を開きました。厚生労働省対策本部のクラスター対策班から、夜間から早朝にかけて営業しているバー、ナイトクラブ、酒場など接客を伴う飲食業の場で感染した事例が多発していると報告されました。これらの利用を控えることを要請しました。
夜の飲食業のリスクは既に中野区で指摘されていました。中野区中野のガールズバーの「さくらん~艶」では新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者が来店したとして3月19日から臨時休業しました。店舗はサンモールから東側の路地を入ったところにあります。クラスターが発生したコールセンターが入居する中野セントラルパークサウスの近くです(林田力「中野のコールセンターで新型コロナウイルス9人感染」ALIS 2020年3月26日)。
https://alis.to/hayariki/articles/apljoRJjvXoV
ガールズバーでは3月21日に「指定業者により消毒作業は完了」と説明します。実際に21日の夜に店舗周辺で防護服姿の人々を見かけたとの報告がTwitterでなされていました。但し、Twitter上では消毒したことは事実でも、便乗商法の業者ではないかとの指摘もあります。ガールズバーは「指定業者」と表現しますが、国民生活センターは「行政機関が、新型コロナウイルスに関して特定の業者に消毒を委託するケースは、現在のところ確認できていません」とします(独立行政法人国民生活センター「新型コロナウイルスに便乗した悪質商法にご注意!(速報第3弾)」2020年3月12日)。
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20200312_2.pdf
よくパチンコでの感染の危険性が言われることがありますが、黙々と台に向かうパチンコよりも、酒を飲み、会話するキャバクラなどの夜の飲食業の方が現実の危険があるということになります。新型コロナウイルス対応はテレワークなど働き方改革やDX; Digital Transformationの推進剤になっています。加えて飲みニケーションという昭和の働き方も衰退させる効果が生まれそうです。
東京都は夜間の外出自粛を強く要請しています。夜間を強調する理由は夜の飲食店での感染事例が多いという今回の会見で理解できました。今回の会見に対してロックダウンのようなニュースバリューが乏しいことから不要不急の会見と揶揄する声も出ていますが、夜の飲食店のCOVID-19感染リスクを知らしめた点は有用です。