テレビ朝日のテレビドラマ『相棒』に成宮寛貴さんが復帰するとの報道はフェイクニュースでした。NEWSポストセブンが2019年10月2日付で「成宮寛貴、『相棒』で俳優活動再開決定 水谷豊の働きかけも」と報道しました。しかし、成宮さん本人も脚本家の輿水泰弘さんもテレビ朝日も否定しました。
成宮さんは3代目の相棒の甲斐亨役で『相棒』に出演していました。ところが、2016年12月に写真誌で薬物使用疑惑が報じられ、その後に芸能界を引退しました。引退後のオランダ移住も、オランダの薬物規制が緩いために疑惑払拭にはマイナス効果でした。
根も葉もないフェイクニュースだったことになりますが、思わず信用してしまった事情はあります。『相棒season17』第1話「ボディ」(2018年10月17日)では父親の甲斐峯秋(石坂浩二)が甲斐享を思い出すシーンが描かれました。これが放送時から復帰の前触れではないかと受け止められていました。
この『相棒season17』は第4話「バクハン」(2018年11月7日)のシャブ山シャブ子の演出が記憶に残るものになりました。依存性薬物が人格を破壊し、薬物使用者が組織犯罪に利用される恐ろしさを描きました。「シャブ山シャブ子」がTwitterのトレンドに入るほどの反響でした。依存性薬物の危険性を描く好演出ですが、この演出が薬物依存症への偏見を助長すると批判されました。批判側は薬物の恐ろしさばかりを取り上げ、回復の観点のないことは問題と主張します。
このシャブ山シャブ子論争があったために、成宮寛貴復帰のフェイクニュースを読んだ際は嫌な気持ちになりました。シャブ子演出抗議者への屈服または取引として、薬物使用疑惑者の社会復帰に積極的であることをアピールする意図があるのではないかと思ったためです。
それは番組を貶めることになります。ダークナイトという形で退場させた脚本を滅茶苦茶にすることになります。チャンスを与えることは薬物使用疑惑者を特別扱いすることではないでしょう。シャブ山シャブ子を演じた江藤あやさんのような知られていない才能を起用することでしょう。