東京警察病院(東京都中野区中野)は2020年4月15日までに看護師2人の新型コロナウイルス感染が判明しました。最初の感染は4月1日、2人目の感染は15日に発表されました。
最初の感染者について以下のように説明します。「当該職員は、検査担当の看護師で、味覚嗅覚症状がみられたため、PCR検査を行ったところ、陽性と確認されました」(東京警察病院「新型コロナウイルス感染症発生のお知らせ」2020年4月1日)。「味覚嗅覚症状がみられた」は「味覚嗅覚障害がみられた」の誤りでしょう。真逆の意味になってしまいます。味覚や嗅覚がなくなることが新型コロナウイルスの判明の端緒になる例が増えています。お笑いタレント森三中の黒沢かずこさんも、そうでした。
感染者が検査担当の看護師ということで感染経路が気になります。「新型コロナウイルス感染症発生のお知らせ」は「現在までのところ、担当した患者さん及び同僚等の職員に関連する症状は見られませんので、院内感染とは判断しておりません」とします。警察病院での感染ではないとすると地域生活で感染したことになる。
4月1日までに中野区界隈では立正佼成会附属佼成病院、サミットストア東中野店、中野セントラルパークサウス、マルイファシリティーズで感染者が判明しています。中野駅と東京警察病院の中間には3月31日までに10人の感染者が出た中野セントラルパークサウスがあります。中野駅北口から北上しています。
2人目の感染者については以下のように説明します。「当該職員は、4月1日に入職した看護師であり、無症状でしたが報道等に鑑みて入職前の稼動先等での感染のおそれもあったことから、PCR検査を行なったところ、陽性と確認されたものです」(東京警察病院「新型コロナウイルス感染症発生のお知らせ【第三報】」2020年4月15日)。
ここからすると最初の感染者とは別ルートの感染者と判断されているようです。「入職前の稼動先等での感染のおそれ」とありますので、院内感染が発生した病院から転職したのでしょうか。中野区界隈では佼成病院や中野江古田病院、総合東京病院で院内感染が起きました。
この看護師は無症状でもPCR検査を受けました。日本では味覚嗅覚がなくなったり、発熱があったりしても中々検査を受けられないことが問題になっています。東京警察病院以外でも医療従事者の感染が増えているように感じるが、医療従事者は優先的に検査を受けられるのでしょうか。
早期検査で新型コロナウイルス感染が早期に発見されることは良いことですが、勤務先主導で検査が進められたとしたら怖さを感じます。やがては検査結果を提出しなければ就職や出勤ができない社会になっていくかもしれません。
日本の検査抑制は検査能力不足や陽性者の収容能力不足という供給側の都合に過ぎません。そうであるならば供給体制が整ったならば、今度は供給体制を維持するために義務化を目指すでしょう。利権集団は、需要に応じて供給を増やし、需要が減れば別の新たな需要に応じるという市場原理を無視します。
検査義務化で恐ろしい点は偽陽性の扱いです。偽陽性で人生が破滅した人に責任を持たなければなりません。社会を回していくためとして個々人の我慢や犠牲を当然視することは許されません。
林田力「新型コロナウイルス検査抑制と和牛商品券」ALIS 2020年3月27日