NHK紀行バラエティー『ブラタモリ』は2021年2月13日、「進撃の日田 “囲まれた世界”の宝とは?」を放送しました。訪問先の大分県日田市は『進撃の巨人』作者の諫山創さんの出身地です。番組では『進撃の巨人』のアニメ画像やBGMが使われ、徹底的にコラボしました。アニメ『進撃の巨人』はNHKが放送しています。諫山さんが『ブラタモリ』のためにタモリさんの似顔絵を描いて提供するなどアニメ放送局として、やりたい放題になりました。
番組では日田市の特産品の日田下駄を紹介しました。紹介された下駄の鼻緒が『鬼滅の刃』の竈門炭治郎や禰豆子の衣装風のデザインになっていました。しかし、そこは番組ではスルーされました。自局のアニメは大々的にコラボし、他局のアニメはスルーします。企業としては理解できる行動ですが、公共放送としてはどうでしょうか。
『ブラタモリ』は林田理沙アナが卒業して約1年が経過しました。後任の浅野里香アナはコロナ禍で収録できない時期があり、まだ1年分の積み重ねはありませんが、既に両者のカラーが出ています。
林田アナは良くも悪くも自身がスターであったと感じます。林田アナ時代は「林田さん、どうですか」という形で林田アナの反応に注目する展開が見られました。これが浅野アナにはありません。それは浅野アナがアシスタントとしての役回りを十分にこなしているため、浅野アナの反応を求める必要がないためです。
『ブラタモリ』はタモリさんが博識キャラとして存在し、それを引き出すことがアシスタントの役割です。アシスタントはタモリさんのように普通の人々が知らないことに答えられる知識は不要ですが、全くの無知ではタモリさんの博識を引き出すこともできません。意味のある質問や指摘をする必要があります。それは実は無知そうに見えて本当の無知ではできないことです(林田力「ブラタモリ林田理沙アナはオーバーアクションが魅力」ALIS 2019年11月17日)。
逆に言えば林田アナはアシスタントとしての役割を果たしていないから、周囲が気を使って林田アナの反応を求めることになります。このため、「林田アナに比べて浅野アナは目立たない」と評するならば、浅野アナに酷になります。むしろ浅野アナはアシスタントとして非常に優秀です。コロナ禍で収録できない中、脳内トレーニングやシミュレーションを積み重ねたのでしょうか。
一方でタモリさんの博識を若い女性アナウンサーが感心するという『ブラタモリ』の構図自体に昭和のジェンダーがあります。これは東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言で辞任を余儀なくされた現代の問題です。林田アナは昭和のジェンダー的な構図を破壊する力をもった貴重な人材と言えるでしょう。
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