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【短編小説】おばあちゃんが作ってくれたカルピス

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  • 葉月
  • 2019/06/29 12:39

 8月のうだるような暑さが、容赦なく東京の空にさんさんと降り注いでいた。

 幸いにも僕は駅のホームに備え付けられていた屋根の日陰で電車を待っていたこともあり、そんな仕事をし過ぎている感じが否めない太陽の洗礼を浴びずに済んでいたが、この国はいつからこんなジットリとした夏に変わったのか。まるで空気が実体を持っているかのように生暖かい湿気が僕の体を包み込み、全身から不快感を伴う汗が滲み出る。

 左手首に付けた腕時計を見てみると、時計は午後二時をさしていた。

 どうりでクソ暑いわけだと僕は心の中で毒づく。なにせ一番暑い時間帯じゃないか。

 しかも、今の姿はクールビズとは言え白いワイシャツに黒いスラックスと革靴という、暑さに対する機能性がほぼ皆無な服装である。

 もうこの時点で、ワイシャツの下に着ている肌着は汗でグショグショなうえに、その肌着はワイシャツにピッチリとくっついていた。

 こうなってしまうと、ただでさえ動きにくいワイシャツが更に窮屈に感じて気持ち悪いし、何より肩から提げているビジネスバッグが重いのもあって、更に不快感が増す。襟に至っては休みなく滲み出る汗でしっとりと濡れており、それが後に皮脂汚れに繋がるのかと考えるだけで、僕の不快指数は今日の最高気温のようにグングンと上がっていた。そんな今日の最高気温は、東京では38℃だと今朝のニュースで聞いている。

「はぁ……」

 僕は周りで同じく電車を待っている人達に聞こえないよう、小さくため息をする。

 いったい、いつから夏がこんなに楽しくない季節になったのだろうかと思うと、僕の心はいつしかベタついた汗のように汚いものに変わる。

 思えば、大学生くらいから夏らしいことなんてロクにやっていなかった。

 社会人になってからというもの、この数年間毎日平日には仕事行って帰って飯を食って適当にパソコンいじって寝るだけ。休日は家でゴロゴロ。

 とは言え、友達と遊んだり恋をしたりと、まぁ人並みの生活を送っている実感はあるが、夏ならではのことなんて、ここ数年間全くと言ってほどやった記憶がない。

 

 そんな時、ふと、子どもの頃の自分を思い出した。

 

 子どもの頃の自分は、今ほど夏の暑さに対する嫌悪感なんてなかったし、毎日が凄く楽しかった。

 ワクワクしながら迎える終業式、眠いけど毎朝行った近所のラジオ体操--

 嫌な夏休みの宿題は午前中に済ませちゃって、お昼にはそうめんを食べながらクーラーの効いた家のリビングでくつろぐ日々--

 そして、お盆休みに入ると毎年家族で田舎のお婆ちゃんの家に遊びに行って、毎日どこかしらに連れて行って貰ってたっけ。

 夏祭り、海、プール、水族館。

 晩御飯は毎日がごちそうで。その後にはみんなで花火だってした。

 

 あの頃の夏は、毎日のように新鮮で、キラキラと輝いていた。

 

 それがいつしか大人になって、見るもの全てが当たり前になって、田舎のお婆ちゃんやお爺ちゃん。実家にいる父や母が年をとっていく。

 そんな姿を息子ながらにも間近で見ていると、ちょっぴりだけど心が寂しくなった。

 あの頃の自分は毎日瞳を輝かせていたのに、いつからこんなつまらない大人になってしまったのだろう。

 そう考えていると、ふと、お婆ちゃんが作ってくれたカルピスの味を思い出した。

 お婆ちゃんのカルピスは、いつも決まって午後か僕たちが遊び疲れて帰ってきた時に作ってくれた。

 その味はちょっぴり薄かったけれど、汗いっぱいにして帰って来た僕にはちょうどいい味で--

 多分、今、自分が同じようなものを作ったら薄いからってんで原液を少し足してしまいそうだけれど、当時の僕にとっては、あの『お婆ちゃんの作ってくれたカルピス』こそが、かけがえのない夏の思い出の一つだった。

 もしも『また作って欲しい』と頼んだら、お婆ちゃんは喜んで作ってくれるだろうか?

 この間久しぶりに母に会った時、お婆ちゃんはスッカリ元気をなくしてしまったと聞いている。

 けれど、もしも孫の自分が少しでも顔を出すだけで元気が出てくれるとしたら--?

 そう思ったら、今年の夏にはちょっとだけでも顔を出そうかなと、心の中で思った。

 しかし、お婆ちゃんの作ってくれたカルピスは、いつも不思議な味がした。

 お婆ちゃんのカルピスは、いつもカルピスソーダだったのだが、それを飲むとまるで魔法にかかったかのように、頭がフワフワして気分がよくなってしまう。

 しかも、カルピスに混ざって感じるあの味は、最近よく飲む“あの味”にもよく似ていて--

(あぁ……そうか……)

 僕は頭の中でバラバラになっていたパズルのピースが、全て一つになっていく感覚を覚えた。

 

甘くないスッキリとした飲みごたえと、爽やかな喉越し。

 

そして、カルピスの爽やかな酸味に負けない下品なアルコール--

 

そうか、そうだったのか……--

 

 

 

 

ワイ「“ あ の 味 ” は ス ト ロ ン グ ゼ ロ の 味 だ っ た の か」

 

 

 

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……はいっ、というわけで今回のストロングゼロのアレンジレシピ第三弾は『ストロングゼロのカルピス割り』になります。

 

ご挨拶が遅れました。こんばんは。葉月です。

 

今回は数年ぶりに小説を書きたくなったのですが、ただ書くだけだと純粋に小説の実力的に読まれない恐れがあると思ったので、オチにストロングゼロを使用してみました。

 

とは言え、凝り性なので今回若干長くなってしまったのですが、お楽しみ頂けたでしょうか?

6年書き続けて、最後は物書き仲間に文体をボロクソに言われてスランプになって引退した物書きの実力ってこんなモンなんだぜ……

 

ですが、いいのです。僕には今かけがえのない仲間(ストロングゼロ)がいるのですから。

 

そんなわけで、今回のストロングゼロカルピス割りに関しては、そんな小説の内容を全く無視して贅沢に濃いめに作っております。

 

割合でいうと

 

カルピス1:ストロングゼロドライ4

 

くらいの割合です。

 

で、その肝心なお味なのですがヤバイくらいに美味いです。

 

どれくらい美味いかと言うと、濃厚なカルピスのおかげでカルピスの爽やかな味わいにほんのりアルコール感が感じ取れる正に正真正銘の『大人のカルピス』と言った感じです。

 

いやホントに全然あのクセの強いストロングゼロの下品なアルコール感を全く感じさせないのでスルスルいけちゃいます!

恐らく、アルコールに弱い人が「これ美味いじゃん!」って言ってガバガバ飲んじゃうと後で後悔するやつです。もはや過去の思い出に浸れる余裕がないくらい興奮する美味しさでした!

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ちなみに飲んでて温くなってきましたら、こちらの『アイスの実』を入れると冷たくなって、かつ贅沢な果物味のカルピスになるのでオススメです。

 

僕は桃が好きなので5個くらい入れてみましたが、濃厚なカルピスに濃厚な白桃が加わってストロングゼロの下品なアルコールが消えました。

もうここまでくるとガチで高級なオシャンティージュースです。あぁ他のアイスの実も買ってくればよかった!

 

し か も!カルピスに関しては乳酸菌たっぷりじゃないですか!

 

美味しくて乳酸菌たっぷりで飲んだら気持ちよくなれるとか、これもう実質健康ドリンクなのでは?

 

個人的には、ちょっとリッチに飲みつつも今ある辛い現実や悩みを一時的にでも忘れたい人にはちょうどいいアレンジレシピなのではないかなと思います。

 

あっ!友達と作って子どもの頃の思い出を語り合う時に飲んでもいいのかなと思います。

ただ、本当にアルコールを余り感じさせないので悪用は厳禁ですよ?

 

 

いかがでしたでしょうか?

この記事を読んで「ちょっと試してみよう」だとか「たまには親に顔見せに行くかな」なんて思って頂けたら幸いです。

 

今回の小説に関してもほとんどフィクションですが、お婆ちゃんに至っては元気がないのは事実です。

ので、今年の秋頃に母親と予定を合わせて行く計画を立てています。

むしろこんな記事書く為にお婆ちゃんを使ったのもあって、元気な内に顔を見せないと凄い悪い気分になる。もう数年近く会っていないので。

 

それでは、また次回の更新までノシ

 

 

【追記】

夏休みの午後に『大好き!五つ子』と『キッズ・ウォー』を見ていた人。大体おっさん

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文具・酒・読書が生きがいのエンジニア初心者。JADPカーサバリスタ/ティースペシャリスト取得。ビットコインとXRPは2016年から知っているが知識は浅はか。現在Javaのプログラミングを勉強中。

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