食欲を増進させる「アマゾン生まれ」の香辛料
〔唐辛子】 Red Pepper/Hot Pepper
◎旬=一年中◎効能=食欲増進、冷え性、痛みの改善
南アメリカのアマゾン川流域原産。ナス科の一年生草本。
メキシコやペルーでは古く5000年以上も前から食用にされていたが、ヨーロッパへは、コロンブスが1493年に伝えたとされている。中国へは明朝の末期頃にシルクロードを経てもたらされ、日本へは豊臣秀吉の朝鮮出兵(1592~1598年)の時に持ち帰ったとされる。
学名Capsicum annuum L.のcapsicumはギリシャ語のkaptein(食欲を刺激するもの)に由来し、annuumは「一年草」という意味だ。
トウガラシの強烈な辛味は、カプサイシンというアルカロイドで、特に果皮に多く含まれていて、食欲増進、血液の循環促進などの他、殺菌作用もある。日本では、七味トウガラシとしてよく知られているが、これは陳皮(ミカンの皮を干したもの)、ゴマ、芥子(ケシの実)、麻(アサの実)、山椒、菜種などにトウガラシを加えたもので、そばやうどんなどにかけて食べると食欲が増し、消化吸収を促進するだけでなく、食べているはなから体が温まり、心身共に気分がよくなる。
このトウガラシの保温効果は古くから活用されており、昔、旅人は道中の足の冷えを防ぐために靴下の中にトウガラシを入れたり、腹や腰の冷えを防ぐために腹巻の中に入れて歩いたといわれている。
また、体を温める効果は、脂肪を燃やし、ダイエット効果も発揮する。
減量を試みる人は、味噌汁や副食品にも七味トウガラシをふりかけて食べるとよい。
しかし、摂りすぎると、胃の粘膜を荒らし、胃炎を起こすこともあるので、注意されたい。ちなみに、トウガラシには意外とビタミンが多く含まれ、カロチン、E・B1・B2の他、Cもかなり多量に含まれている。
香辛料としての他にも、未熟果実は味噌焼きにしたり、揚げ物や煮物などに利用し、葉は佃煮、熟果は干して辛味や香味を利用したキムチ、朝鮮料理、ラー油、ソース、菓子(柿の種など)に利用するなど、用途の広い野菜である。
【民間療法】
リウマチ・神経痛・膀胱炎・五十肩・筋肉痛……果実を5~10個刻んで布袋に入れ、湯船に入れて入浴すると体が温まり、種々の痛みに効く。
各種痛み……トウガラシチンキを塗布する。
四肢の痛み・肩こり・腰痛・下肢の痛み… Cぐらいのお湯を張った洗面器にトウガラシ1個を刻んで入れ、5~20分程度手浴・足湯(手首、足首より先をつける)
をする。
風邪・・・トウガラシを刻み入れたおかゆを炊き、熱いうちに食べる。