久方ぶりの“それアントノプロスさんならなんて言うかちょっと聞いてくるわ。”シリーズ。
世界中を飛び回ってビットコインに関する啓蒙活動を行っているエンジニアであり、名著「マスタリング・ビットコイン」」および「マスタリング・イーサリアム」」の著者でもあるアンドレアス・M・アントノプロス氏の最近のプレゼン動画からKatakotoさんが皆と共有したい話題を、翻訳してお届けしております。
今回、一貫してビットコインへの“投資”を推奨してこなかったアンドレアスさんが、めずらしく「ビットコインへの投資」そのものを話題にした講演を行っており、内容も大変面白かったのでひさびさに取り上げる事にしました。
日本の一般層においては、ビットコインの話題はすでに死に絶えたと言ってもよく、巷でビットコインの話題をビットでも口にした所で「まだそんな怪しいのやってんの?」と冷たい視線を浴びせられるのが関の山です。
それでいて「ビットコイン2.0!次なる100倍銘柄はこのコインだ!」みたいな踊り文句に自分の大事な資産を、数百・数千万円単位で平気でぶち込む人々が後を絶たないこの悲しい世の中に一喝入れるべく、今回も渾身のKatakoto一番搾り翻訳でお届けします!
(でもわかってるんだ。ALISにこういう記事の需要がない事も。本当に読んでほしい層には届かないし、けして響く事はない事も・・・)
世界中を飛びまわって、オープン・ブロックチェーンや暗号通貨の話をしていると、人々は私にしばし様々なモチベーションで、このテクノロジーに関する様々な質問をしてきます。
現在、ここギリシャでの多くの関心事はいったいどうやったら暗号通貨に投資できるかその方法に関してです。
では、ここにいる一体何人の方が、投資に関心がありますが?
(会場の人々、挙手)
よろしい。では、テクノロジーに興味がある方は?
(会場の何人か、挙手)
皆さん、嘘ついてますよね。(会場笑)
そしてしばしばこう尋ねます。
「何に投資したらいんでしょうか?」
でも私は投資アドバイスはしません。なぜって私は技術者だからです。でも今夜は、それに関する話をします。そう、今夜のテーマはズバリ
に関してです。そう常々、私がされる質問、“次なるビットコインは一体何か?”です。
時折、次なるイーサリアムは一体何かとも聞かれる時があります。それがまさに今夜私が話したい事であり、分かりやすくするために、最初からネタバレとして皆さんに答えを提示する所から始めたいと思います。
でもこれにはちゃんとした理由があり、それを理解しておく事はとても重要です。
たくさんの人々が、2009年以来ビットコインが成してきた何事かに投資する他の機会を探しています。
彼らはとんでもなく大成功する次なる機会を探しています。それは価格として10倍いや100倍になるかもしれないしならないかもしれない。
ならないかも知れない理由は、ビットコインは大変に稀有な状況で作られ生まれたものであるからです。それは果たしてどんな状況だったのでしょうか?
ある人はそれをビットコインの無原罪・処女懐胎と呼ぶ人もいます。
(翻訳者注:聖母マリアによるイエス・キリストの処女受胎というキリスト教における概念の事。要はそんぐらいミラクル・あり得ない状況で生まれたぐらいの解釈でいんじゃね?)
とりわけここギリシャでは冒涜になるかもしれません。まぁとりあえず、ビットコインの処女懐胎とは一体どういう意味なんでしょうか?
それを理解するにはビットコインが誕生した2009年の状況を理解しなくてはなりません。その当時もしあなたが誰かに
「ねぇ、政府がマネーを管理する代わりにインターネットがそれをやるってのはどうだろう?」と言ったとして、皆の反応は「そんなのうまくいくわけないじゃん。無理無理。うまく行きっこない。あり得ない。」みたいな感じです。
そして大変面白い“アルゴリズム”を説明したとて、ほとんどの人々にとって、“アルゴリズム”なんて聞いた途端、コンピュータ科学者でもない限りは、自動的に会話のスイッチがオフになります。
そんな所で“アルゴリズム”なんて口走った日には「こいつ今アルゴリズムって言った。このパーティーで他の話し相手探さなくちゃ!」みたいな感じになります。
それがどれだけ面白い話だと言った所で場違いなんです。
「これは分散化されたシステムで、デフレーション資産のマネタリーサプライを可能としプルーフ・オブ・ワーク・コンセンサスを通して暗号技術的に分配され、そして・・・」
そこまで話した所で「このパーティー、早く他の話し相手探さなきゃ!」です。
あなたは2009年の時点では、誰もこんなクソみたいなものが、実際に機能すると思っていない事に気づかなくてはならない。
だからこそビットコインは成功したのです。
もしあなたが、これが実際に10倍になり100倍になると信じていたとしたら、一体どうしますか?
価値が100倍になると分かっていたとしたら、どうしますか?
持ってるもの全部売り払ってでも、それを買って、そして100倍になってあなたは大金持ちだ。家に帰ってリタイアして、わかんないけど何か良さげなパーティーにでも行ける。
もし知ってたとしたら、みんなそうしてるし、みんながそうしたなら、そうはならないんです。
このテクノロジーがバブルにあるのかを見極める最も保障された方法は、高校以来会ってないような知り合いが、僕みたいなやつに電話して来てこう言いだした時です。
「よぉ、アンドレアス。俺の事、覚えてる?今ってビットコインってのの買い時かい?値段がなんだかすごい事になってるらしいじゃないか。なあ?今って買い時?」
ありえない。28年も会ってないやつがいきなり電話して来てこんな事を言いだすなんて、おそらく明らかに売るべきタイミングのサインだ。
元から興味がなかったこの手の人々を引き付けはじめたら、自分なら売った方が良さそうだと考え始める。2年前には自分の事を頭がおかしいと呼んだやつらだ。売り抜けるなら今だ。
これが市場で実際に起きる事です。もしあまりにも大勢が「この投資は間違いない!」と思ってるなら、あなたはヤヴェえやつらと取引してるって事です。でしょ?
ポーカーで30分以内に、テーブルにいる誰がバカなのか見分けられなかったら、自分がバカって事でしょ?
なので「いや、違うんだ。友人全員に言ってるけど、これは間違いないんだ。」と言ってまわって皆が信じたら、もうそれは売り抜けるタイミングなんです。
だから私が何度も何度も繰り返し人々にアドバイスしているのは
なぜなら、それらの価値は週末に40%も下落したりしないからです。知識はクラッシュしたりしないからです。知識は、昨今のハッカー集団にクラックされたりもしないからです。知識は、政府からでも何の発表によってでもいいですが、禁止される事もなければ、今日あったみたいにトランプ大統領にツイートされるような事もありません。
ビットコインの事が今日、ドナルド・トランプ大統領によってツィートされましたね。彼はこう言ってました。
「ビットコインには何の価値もない。おそらく犯罪者によって使われてる。」
たぶん彼は友人かなんかにでもビットコインの事を聞いたのでしょう。
つまり結論としては、知識と教育があなたができ、その後も残る投資だという事です。もしビットコインが失敗したとしても、ビットコインから得られた知識と教育はどこへも行きません。そうでしょ?
でも、私が人々にそう話してもいつも反応はこんな感じです。
「はいはい。わかりました。でも、一体何を買ったらいいんでしょうか?」
「いや、違うんだ。自分自身を教育するべきなんだ。」
「ですよねぇ。ですよねぇ。ところで、一体何を買ったらいいんでしょうか?」
それこそが問題なんです。でしょ?だって自分が何を買うべきで、実際何を買うべきじゃないかの指針があるとして、それを他の誰かに聞かなければいけないとしたら、自分でその決断を下せるほどに十分にはそのテクノロジーを理解していない事を意味しています。
あなたには「このテクノロジーには、ユニークで他と差別化できる特徴があってマーケットにもフィットし、タイミングもバッチリで、流動性にも勢いがある。」と自信を持って言えますか?
もしそういったこと全部をちゃんと理解していてるようなら、自分でそうした決断を下すのに十分な資格がある事でしょう。まだそうした決断を自分で下す資格がないのなら、まさにそうしたものに投資すべきではないのです。でしょ?
それがはたして投資なのか?そうじゃないのか?そして “次なるビットコイン”が何であるのかという質問。
それこそが根本的な問題なのです。なぜならビットコインが達成できたような事を成し得る“次なるビットコイン”など存在しないからです。なぜって3、4年もの間、誰一人としてそれが動くと信じていなかったからであり、そうであるからこそ、ビットコインはそれを成し得たのですから。
誰かがそのテクノロジーに投資するのを見てる時、彼らの周りの誰もがそれを頭がおかしいと考えるからこそ、彼らはその投資から100倍ものリターンを得る事ができるのです。
彼らが100倍ものリターンを得られた理由は、周囲の誰もが彼らは頭がイカレてると考え、とても大きなリスクを取ったからこそです。
私が初めてビットコインを買った時の話をしましょう・・・
<<その2に続く>>