ALISもそのひとつですが、コンテンツプラットフォームにブロックチェーン・トークンエコノミーを導入することで、権利保護やインセンティブ確立を目指す取り組みは世界各地で展開されていますね。
蟻巣ジョシさんが詳しく解説されている「Contentos」をはじめ、台湾でもデジタルコンテンツをブロックチェーンで保護・発展させていく動きが生まれています。
今回は、こうした流れにつながる新たな動きが目に留まりましたので、記事として書き留めておきたいと思います。
・台湾で「楽園計画」が始動⁉︎
・実際にどんなプラットフォームを目指している?
・意外とちゃんとしたプラットフォーム…か?
台湾の経済紙「工商時報」のニュースサイトが2019年4月10日に掲載した記事によると、台湾で「二次元ブロックチェーンコンテンツサービスプラットフォーム(二次元區塊鏈內容服務平台)」の構築を目指した「Paradise Plan(樂園計劃)」というサービスが4月末に開始予定ということが公表されたそうです。
4月9日におこなわれた記者会見では、台湾の関係者に加えて、日本から「樂園計劃」日本CEOの向田和弘さんと、グラビアアイドルの星名美津紀さんが登壇したということです。
星名美津紀さんのTwitterにも記者会見の様子がツイートされています。
記事中にある写真に、「二次元×ブロックチェーン(二次元×區塊鏈)」というパネルが掲げられているように、グラビア写真や漫画などの公開プラットフォームの構築を目指しているようです。
より具体的には、「PP.VIP」というトークンを発行し、トークンによるコンテンツの流通を考えていることに加えて、トークンの所有者にはたとえば、4Kや8Kといった高精細のコンテンツへのアクセス権や、グラビアアイドルとの握手会や選抜選挙への参加など、トークンを活用した優待サービスの提供などが予定されているようです。
なお、台湾のニュースサイト「三立新聞網」の記事によれば、PP.VIPトークンは、台湾のACE Exchange、F.plus、CoinBay、HPXといった仮想通貨取引所に順次上場されるということです。
(F.plusとCoinBayについては、それぞれ以下の記事を読んでいただければ嬉しいです!)
このうち、ACE Exchangeでは既に先行トークンセールが実施されていて、この時期にトークンを購入し、プラットフォームの会員になると抽選で、2019年5月に日本で開催される「FANZA ADULT AWARD 2019」に無料で参加することができる(しかも渡航費など込み!)ということです。
「FANZA ADULT AWARD 2019」というのはアダルトコンテンツの祭典で、三立新聞網の記事にも、セクシー女優さんたちを間近で見られるということが「特典」として強調されています。
こうしたアダルトコンテンツも含めたデジタルコンテンツを提供するプラットフォームであることが打ち出されているようですね。
この「樂園計劃」は公式ウェブサイトを公開していますが、中国語、英語、韓国語のページとともに、日本語ページも用意されています。
中国語や英語のページと比較してみましたが、ところどころにやや不自然な表現が見られますが、機械翻訳の怪しげなページではなく、割合問題の少ない内容になっているように感じました。
このページによると、プラットフォームは「IP作品所有権」と「ライセンス作品使用権」という2つの権利を「トークンエコノミー」によって流通させることを目指しているということです。
ちなみに、ここで触れられている「IP」とは「Intellectual Property」の略で、日本語では「知的財産」と訳されるものですね。
さらに、より具体的に、「IP関連グッズ開発」、「IP映像化」、「一般漫画の有料購読」、「アダルト漫画の有料購読」、「仮想通貨で購入可能のアダルト漫画」といったコンテンツの流通を考えているようです。
公式サイトには、アーティストの二次元化、漫画作品やアダルト作品の公開などが予定されていると書かれています。
また、プラットフォームの開発・運営企業である「CFUNWORLD」の企業説明には、日本・韓国・アメリカ・台湾を「コンテンツ生産地」、中国・マレーシア・ベトナムなどのアジア一帯を「コンテンツの消費マーケット」と位置づけ、「グローバルかつ広範な二次元エンターテインメントコンテンツコミュニティ」の構築を目指しているということです。
地域的な役割を明確化し、デジタルコンテンツを効率的・合理的かつ安全に流通させることを目指していることがうかがえますね。
上に挙げた「工商時報」の記事によれば、「樂園計劃」は台湾で「連続起業家」として有名な林弘全さんが立ち上げたブロックチェーン開発スタートアップの「Poseidon Network」との戦略的パートナーシップを締結しているということです。
Poseidon Networkについては以下の記事で少し触れましたが、「World’s First Decentralized Content Acceleration Network」の実現を目指しているということで、台湾のアクセラレーターやNEMなどとの提携を進めています。
こうした台湾のフロントランナーとの提携が実現している点から考えても、注目を集めているプラットフォームなのかなと感じます。
それ以上に、「デジタルコンテンツ×ブロックチェーン」という分野は冒頭に挙げた記事でも触れましたように、多様な取り組みが世界各地で展開されているフィールドですので、そうした点でもこれからの展開が期待される取り組みかなと思います。
アダルトコンテンツを取り込むということも、新技術普及の草創期には必要悪的な側面もありますから、そうした点も含めて、今回の取り組みが支持を拡大していくかどうか…
これからの動きをコツコツと追いかけていきたいと思います!