(写真は会場とは関係ありません。念のため(^^;)
台北では今、国際的なICT・IoTに関するイベント「COMPUTEX TAIPEI2018」が開催中です!
毎年、新しい技術や製品が発表されたり、さまざまな議論が展開されたりして注目を集めるイベントなのですが、今年は初めて「ブロックチェーン」が重点項目のひとつとして挙げられたこともあり、さまざまな企業がブロックチェーンの関連技術や関連サービスを発表しています。
台湾では他にもいろいろとブロックチェーン・仮想通貨に関するニュースが流れているので、そちらも記事にしたいのですが…そこをグッと我慢して、今日は「COMPUTEX×ブロックチェーン」の動きを書き留めてみたいと思います。
・ブロックチェーン関連企業が「雨後春筍」!
・RelaJetは補聴器を変える!?
・医療分野では人とお金と情報を結びつける!?
・匯智通訊は「資産のトークン化」を目指す!?
・アイデアの「タネ」がどう成長していくか?
台北では2018年6月5日から9日までの予定で「COMPUTEX TAIPEI2018(台北國際電腦展2018)」が開催されています。
COMPUTEX TAIPEIでは毎年、その年のテーマが設定されるのですが、今年は以下の6つが重点テーマとして設定されています。
5Gブロックチェーン(區塊鏈)
AI(人工智慧)
IoT(物聯網技術應用)
イノベーションとスタートアップ(創新與新創)
e-sportsとバーチャルリアリティ(電競與虛擬實境)
なかでも、5G、ブロックチェーン、AIは今年初めてテーマとして選ばれたということで、多くの関連企業がさまざまなプロジェクトやプロダクトを発表しています。
台湾のガジェット系記事を配信しているiThomeの記事は、こうした会場の様子を「許多採用區塊鏈技術的公司也如雨後春筍般湧出(多くのブロックチェーン採用企業が雨後のタケノコのごとくわいてきている)」と表現しています。
このiThomeの記事を基に、COMPUTEX TAIPEIでのブロックチェーンをめぐる動きを台湾企業・団体の取り組みを中心にまとめていきます!
今年創設されたばかりのスタートアップ「RelaJet(洞見未來科技)」は初めてCOMPUTEXにブースを設けて、AIとブロックチェーンを取り入れた新たな「補聴器(助聽器)」を提案しています。
「AI×ブロックチェーン×補聴器!?」って、思いもよらない組み合わせのように感じたのですが、記事によると、補聴器にAIモデルとブロックチェーンを基にしたプラットフォームを導入することによって、「カクテルパーティ効果(雞尾酒效應)」を再現することができるのだそうです。
「カクテルパーティ効果」というのは、人混みなどの騒がしいなかにいても、自分の聴きたい声や興味のある声を選択的に聴くことができるというものです。
従来の補聴器は、立体的に声を拾うことが難しく、この「カクテルパーティ効果」を再現することができなかったということなんだそうです。(表現を伝聞形に修正しました)
RelaJetはここにAIを導入して人の声を分析し、音声ごとに音量を自動で調節することによって、立体的に音声を再現するとのことです。
また、ブロックチェーン上に構築されたプラットフォームに音声を随時記録していくことで、ユーザー自身も自由に音量を調整することができるのだそうです。(今は、お医者さんで音量調整をしてもらわないといけないんですよね(^^;)
まだ創設されたばかりということで、公式ウェブサイトもめちゃめちゃシンプルですが、記事には補聴器をめぐるハードウェア、ソフトウェア、サービスの一体化を目指しているようで、これからの展開が楽しみです。
補聴器へのブロックチェーン利用は医療分野への応用のひとつでもあるわけですが、医療情報と人(医者・患者)を安全に結びつける技術としてブロックチェーンを導入する動きが展開されています。(僕も以前に、台北医学大学付属病院の取り組みについて記事にしました)
COMPUTEX TAIPEIでは、台湾の中部に設置されている私立大学の「亞州大學(Asia University)」が出展しているブースで、同じく台湾中部にある「中國醫藥大學(China Medical University)」や14の付属病院と合同で「人工智慧暨區塊鏈國際產學聯盟(AI・ブロックチェーン国際産学アライアンス)」というプロジェクトによる医療へのブロックチェーン導入に関する提案がされていたようです。
ブースで提案されていた取り組みは、クラウドファンディングによる資金調達にイーサリアムベースのスマートコントラクトを導入するというもので、一見すると、よくあるもののようです。
ですが、そうした仕組みを導入する背景として、亞州大學は3Dプリンタ(3D列印)を利用した人工血管、人工軟骨、金属頭蓋骨(!)などの普及という課題があるとのことです。
こうした高価な製品を、それを必要としている患者さんに確実に届けるためのシステムとして、資金調達のためのプラットフォームが必要だということで、既に内部実験が進んでいるそうです。
また、これとは別に、創設から4年のスタートアップ「Health2Sync(智抗糖)」は、糖尿病患者の情報と医療施設をブロックチェーンで結びつけることにより、糖尿病患者の投薬・食事・ヘルスケアにかかわる情報を医療施設がタイムリーに追跡できるようにするシステムを開発しているようです。
Health2Syncの公式ウェブサイトによると、すでにアプリとしてサービスを提供しているようなので、ブロックチェーンを導入することでサービスのグレードアップを図りたいようですね。
「医療×ブロックチェーン」には、まだまだ大きな可能性が秘められているように感じます。
ブロックチェーンが仮想通貨の基礎技術になっていることからインスピレーションを広げて、さまざまなコンテンツをブロックチェーン上に乗せることによって、コンテンツを「トークン化(代幣化)」して、資産保護に活かしていこうという動きもあります。
匯智通訊(TradeWise Communication)がブースを立てて提案しているのは、有形資産(不動産など)や無形資産(著作権など)をトークン化するプラットフォームを構築することによって、資産の活用と保護を進めるとのことです。
ブロックチェーンの持つ性質を活かすことによって、資産保護のための信憑を第三者に任せることなく、所有者が自ら管理することができるようになるということですね。
「台北市電腦公會(Taipei Computer Association)」が報じたCOMPUTEX TAIPEIの記事によれば、今回のイベントでは、この匯智通訊以外にも、「Bitmark」、「大宏數」などが同様の取り組みを公表しているようです。(匯智通訊の公式ウェブサイトだけ見つからない…(^^;)
「ブロックチェーン×資産保護」という方向性も、さまざまな開発の可能性がありそうですね。
本当はフォーラムの様子(IOTA財団が登壇したようです!)や、過去の記事で取り上げた「スタービット」の取り組みなど、記事にしたいトピックはたくさんあるのですが、それはまた機会を見て書いていきたいと思います。
ともあれ、そうしたことも含めて、ブロックチェーンへの注目度が高まっていることを感じるCOMPUTEX TAIPEIだったんだなという感じがします。
このイベントで公表されていることは、各企業・団体の「最先端」であり、そういう意味ではまだまだこれからの、アイデアの「タネ」のようなものだと感じます。
そうした「タネ」が果たしてどんな花を咲かせ、どんな実をつけることになるのか…これからの展開を見守っていかなければなりませんね。
来年のイベントまでにどのような展開があるのか、これからもコツコツ追いかけていきたいと思います!
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