2018年5月から始まった、中国のCCID(中国电子信息产业发展研究院)による「Global Public Chain Assessment Index(全球公有链技术评估指数)」の第14回リストが、2019年9月30日に公開されたそうです!
今回はリスト公開にあたって少し想定外の出来事がありましたので、まずその点に少し触れておきたいと思います。
CCIDによるこのインデックス、昨年からは毎月1回のペースでリストが公表されていたのですが、今年5月からは2か月に1回公開という形に変更されました。
前回、第13回のリストが2019年7月30日に公表されたので、今回のリストは9月30日前後に公表されるだろうと思って、待ち構えていました。
(ちなみに、第13回リストについては以下の記事にまとめました)
ですが、これまでリストが公開されていたインデックスの特設サイト「CCID赛迪区块链」では、9月30日を過ぎても更新がありませんでした。
「おかしいなぁ、更新されないのかなぁ…」と思っていたのですが、2019年10月後半に中国のブロックチェーン事情が注目されるようになったタイミングで、Twitterのタイムラインに第14回リストが公表されたというツイートが目に留まるようになりました。
とはいえ、僕の実力不足もあって公式のソースがなかなか見つからず、どうしようかなと思ってこんなツイートをしたところ…
ブロックチェーンプロジェクトの解説記事をたくさんALISで公開されている昆布森ちゃんさんが教えてくださいました!
リンク先に飛んでみると、確かにCCIDの公式ページにリリースが掲載されていました!昆布森ちゃんさん、ありがとうございます!すごい!
ということで、今回はこちらの公式リリースを基に、第14回リストについてまとめていきたいと思います!
以下、いつものとおりに今回のスコアと順位を、今年1月以降の過去5回分の総合評価と過去の順位を加えてまとめましたので、画像として貼り付けておきます。
(なお、2018年5月から12月までのスコアについては、上にあげた過去記事をご覧ください)
まず、今回のリストの新しい傾向としては、これまで評価がついていたGXChainとNEMに評価がつかなかったことです。
CCIDによるリストの原本では、この2つのパブリックチェーンはリストから外されていますが、ここでは前回までの評価と合わせて見ていただくためにリストには残しています。
この点については、上に挙げたCCIDの記事に以下のような説明が書かれています。
第14回のパブリックチェーンインデックスより動的な調整メカニズムを導入し、ソースコードの更新率が低すぎるもの、連続して3回にわたってリストの最下位にあり、プロジェクト自体に変更が行われたパブリックチェーンについて、調整を加える。調整方法は以下のとおり。対象のパブリックチェーンをしばらくリストから外し、観察リストに組み込む。
(从第14期公有链技术评估指数开始,引入动态调整机制,对代码更新率过低、连续三期排名末尾及项目自身发生变故的公链进行调整,调整方式为:暂将公链移出榜单,放入候选观察名单。)
この基準に照らして判断した結果、GXChainについてはプロジェクトに変更があった、NEMについては複数回にわたって最下位にとどまっているということで、調整が加えられたということのようです。
NEMについては、上のリストを見てもらってもわかりますとおり、ほぼずっと最下位でした。
ただ、観察リストに入ったということで、今後、状況が変わればまた評価対象に上がってくる可能性があるということですから、CCIDとしては調査を続けるということだろうと思います。
ちなみに、新規でリストアップされたパブリックチェーンはありませんでした。
次に、評価の変動について見てみると、順位が大幅に動いていることがわかります。
ただ、順位というのは相対的なものですので、ここでは評価ポイントの変化について少し見ておきたいと思います。
まず、前回のリストから大幅にスコアを上げたパブリックチェーンは、8位のQtumが12.9ポイント上昇、以下、13位のNANO(+10.7ポイント)、20位のRipple(+10.4ポイント)と続いています。
CCIDの上記の記事によれば、Qtumのスコア上昇は「Qtum Core 0.18バージョン」の正式ローンチが具体的な上昇要素として挙げられています。
それに対して、大幅にスコアを下げたパブリックチェーンは、3位のEthereumが12.8ポイント下落、22位のCosmosが12.6ポイント下落といったあたりが目立ちますね。
リストから外れたパブリックチェーンがあったり、TRONとEthereumの順位が入れ替わったことによって大きな変化があったように感じますが、前回のリストからのポイント変化を見てみるとそれほど大きな変化があったようには感じられません。
過去のスコアを見てみても、それほど大幅に変化した様子は見られないので、妥当な範囲での変動かなと思います。
上に挙げた総合点のリストは、「Basic-tech(基础技术水平)」、「Applicability(应用层级)」、「Creativity(创新能力)」という3項目の評点を合計した点数に基づいたものになります。
以下、それぞれの項目についても、過去5回分の評点と合わせたリストを挙げておきます(それぞれの順位は第14回の評点に基づいています)。
①Basic-tech(基础技术水平)
②Applicability(应用层级)
③Creativity(创新能力)
これら3つの評価の総合評価に占める割合は若干調整されて、①64%、②20%、③16%となっています。
この3つの評価基準の具体的な内容については、以下の記事にまとめていますので、合わせてご参照ください。
この割合から想像すると、①の評価が全体的なスコアに影響を与えているように感じますが、今回についてはNANOのスコア上昇とEthereumのスコア下落以外のパブリックチェーンについては、それほど大きな変動は見られません。
今回、大幅なスコア上昇が見られたQtumについては、③の評価が大幅に上昇しています。
③の評価基準は、「コード更新状況とコードの影響力を含む、パブリックチェーンの継続的な開発状況」を評価することになっていますので、「Qtum Core 0.18バージョン」のローンチはここに反映されていることがうかがえます。
こうした具体的な動きと照らし合わせてみると、評価基準と具体的なスコア変動が見えてくるかもしれませんね。
今月後半の中国におけるブロックチェーンをめぐる動向が注目を集めるなかで、にわかにこのインデックスも注目されるようになってきた雰囲気があります。
本来は2019年9月に更新されていたはずのリストが1か月近く経って注目を集めたことには若干の違和感がありますが、リストの更新・パブリックチェーンの評価は淡々と進められているようなので、むしろ中国におけるブロックチェーンをめぐる状況がこのインデックスに新たな意味づけを与えつつあるのかなと感じました。
リストから外れるパブリックチェーンも出てきたということで、これからこのリストを巡って新たな動きが生まれてくる可能性もあるのかもしれません。
とりあえず、次回のリストはこのまま行けば11月末に公開されるはずですので、リスト公開を待ちたいと思います!