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「教育」について考えるときに僕がイメージすること…たとえば教育って誰のもの?とか

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  • kaz
  • 2019/10/13 16:58
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みりんさんのイラストは今日も素敵!

教育」というカテゴリーは、専門家じゃなくても何かしら語ることができるものだと思います。

それは、今の社会に生きる人たちはみんな、何かしらの「教育経験」を持っているからじゃないでしょうか。

主に学校で経験した教育のありかたを頭に置きながら、いろんな人たちが自由に考え、語ることができるのが「教育」というカテゴリーです。

では、そんな「教育」を専門的に学ぶと、「教育」はどんなふうに見えるのでしょうか?

このテーマについては以下のとおり、これまでにnoteでいくつかの記事を書いていますが、ALISでも記事にしてみたいと思います。

と言っても、教育に関することをあてもなく書いていくと、到底1本の記事にはまとまらないので、テーマを設定したいと思います。

この記事では…

 

「教育って、誰のもの?」

 

ということについて、少し書き留めてみたいと思います。

 

ちなみに、今回の記事、大学の授業っぽくなってしまいました💦

ですので、少し固い感じになっていますが、授業を受けるつもりで読んでもらえたら嬉しいです!

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もくじ

・まずはSDGsが解決を目指す教育の課題から…

・で、日本国憲法を見てみると…

・「その能力に応じて」って?

・「教育を受ける権利」が保障されているのは?

・「教育って誰のもの?」と問われたら…

・この答え、どう思います?

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まずはSDGsが解決を目指す教育の課題から…

ALISにもたびたび記事がアップされているSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)には17の到達目標が示されています。

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国際連合広報センターhttps://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_logo/

このうちの目標4 "Quality education" は、以下のとおりに設定されています。

(以下、英文は国連のSDGsページより、日本語訳は外務省の仮訳を引用しています)

すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

Ensure inclusive and equitable quality education and promote lifelong learning opportunities for all

この目標にはさらに細かく、10のターゲットが設定されていますが、そのひとつめのターゲットは以下のとおりです。

2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする

By 2030, ensure that all girls and boys complete free, equitable and quality primary and secondary education leading to relevant and Goal-4 effective learning outcomes

すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育」の提供、「すべての子ども」が「無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了」できるような環境の提供が目指されています。

太字で強調してみましたが、教育が保障されるべき「すべての人々」「すべての子ども」という部分には、何の限定も付けられていません

「包摂的かつ公正な質の高い教育」が提供されるのは文字どおり「すべての人々」「すべての子ども」であって、そこにどんな区別もありません

もちろん、こうした目標が立てられているということは、裏返して言えば、今の世界では「すべての人々」への教育の保障が実現していないということです。

もう少し言えば、教育の保障にはいまだにさまざまな限定・区別・条件が付されてしまっていると言えます。

こうしたボーダー・バリアを無くして「すべての人々」への教育を実現していこうということが、文字どおり「すべての人々」にとっての課題になっているということですね。

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で、日本国憲法を見てみると…

こうした目標を各国の政府や公的機関、企業や団体などが協力しながら達成していこうということなのですが、日本の場合はどうかということで、少し日本国憲法の条文を見てみます。

日本国憲法第26条第1項には、以下のように規定されています。

すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

続いて、第26条第2項の条文は以下のとおりです。

すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

この日本国憲法第26条のふたつの条文は、日本の義務教育について規定しているものとして、教員免許を取ろう・学校の先生になろうという人は必ず学ぶ基本的な内容です。

SDGsのGoal4を見てからこの日本国憲法の条文を見てみると、「教育って、誰のもの?」、つまり、教育を保障されているのは誰か?というところに目が留まります。

それは、第1項にあるように、「ひとしく教育を受ける権利」を保障されているのは、「すべて国民」です。

日本という国家においては、すべての「国民」に「ひとしく教育を受ける権利」が保障されているということになります。

国民/外国人というところにボーダーが引かれていますが、「国民」の内部には何の限定も付されていません

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「その能力に応じて」って?

この点、第1項の条文中、「その能力に応じて」と書いてある部分に引っかかる人も少なくないかもしれません。

ですが、この表現の解釈については、これが「各人の「智能の相違に応じて」の意味ではない」ということが、学説間の論争を経たうえで一定の共通認識となっています。

たとえば、2003年の衆議院憲法調査会事務局名義で出されている「教育を受ける権利に関する基礎的資料」には、佐藤功『憲法(上)新版』(有斐閣、1983年)を引用する形で、以下のように言及されています。

すなわちここに「その能力に応じて」とは、教育を受けることによってその人としての能力を向上せしめうる資質をもちながら、その資質とは関係のない他の事情によりそれが妨げられることがあってはならないことを意味する。

つまり、一般に「その能力に応じて」ということでイメージされてしまうような、その人の「資質」や「智能」によって受けられる教育の質が異なる(べきだ)ということではないんですね。

むしろ、あらゆるボーダーを取り除いた状態で平等に「教育を受ける権利」が保障されることを、この表現で担保しているということになります。

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「教育を受ける権利」が保障されているのは?

ですので、日本国憲法にあっては、「国民」という枠内において平等に「教育を受ける権利」が保障されています。

ここには、どんな限定・区別・条件も付されていません

続く第2項の条文で、保護者が子に対して「普通教育を受けさせる義務」を果たさなければならないと定めることによって、すべての「国民」に保障されている「教育を受ける権利」を実質化する規定となっています。

ちなみに、この保護者が果たすべき義務のことを「就学義務」と言い、義務教育という時の「義務」を構成する要素のひとつとなっています。

この部分、「義務教育」を「教育を受ける義務」と勘違いしている学生さんに時折出会いますが、そうした学生さんと出会うと、「日本国憲法、読んだことないんかな…」と複雑な気持ちになります💦

それはともかく、「教育を受ける」ということは、すべての「国民」に保障されている「権利」なんですね。

で、繰り返しになりますが、こうした「権利」が保障されるためには、「国民」という枠の中では何の条件も付けられていません

まさに、文字どおり「すべて」の「国民」に平等に保障されている「権利」です。

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「教育って誰のもの?」と問われたら…

SDGsにおいても、日本国憲法においても、教育の保障の対象を「すべて(all)」と設定していることには、世界史的な背景があります。

ここで詳細すると話が逸れてしまうので細かくは触れませんが、人類の歴史のなかで「教育」が真に「すべての人々」に対して平等に行われていた時代はありませんでした。

いわば、各人の「智能の相違に応じて」おこなわれる教育や、「人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位」によって区別されたうえでおこなわれる教育が当たり前、という時代が長くありましたし、今もそうした部分がまだ根強く残っているのかもしれません。

むしろ、そうした教育をめぐる歴史的事実があるからこそ、その克服が目指されているということができます。

そう思うと、「教育って誰のもの?」という問いには、こう答えたくなります。

 

「すべての人々のもの(for all)」

 

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この答え、どう思います?

この「答え」があるからこそ、教育に関わる人たちは教育の「可能性」を信じることができるんだと思います。

そして、教育の可能性を信じるからこそ、教育を受けるということがあらゆる人たちに保障されていてほしいと考えるんだと思います。

個人的に、こうした「思い」は今の社会のなかではなかなか伝わりにくいように感じます。

たとえば、「意欲のない者に教育を与える必要があるのか?」という声がよく聞こえてきたりします。

先生のなかにもいます。「意欲のある学生・生徒・児童にしか教えたくない」という人が。

 

でも、僕は思うんです。

こう言ってしまうことは、「教育」を放棄することだと。

 

むしろ、「意欲のある人」はどんな環境にあっても自ら学びます。

そこに「教育」は必要ないかもしれません。

 

いや、そもそも「意欲」とはどこから来るのでしょうか?

それは先天的なものでしょうか?

 

古い話になりますが、ジョン・ロックが「白紙説」を唱えたように、社会的な存在としての人間は、後天的な要素によって様々な「習慣」を身につけます。

「意欲のある人」が手に入れている「意欲」とは、社会的な環境のもとでたまたま手に入れたものではないでしょうか。

そうだとすれば、話は逆で、「意欲」があるかないかということにかかわらず、すべての人が「意欲」を持てるような環境を公正に作ることが、まず考えられるべきではないでしょうか。

 

そういうことから考えても、教育はまず、何の限定も付けずに文字どおり「すべての人」のものであるということが実現されないといけないのではないのかなと思います。

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最後は少し感情的になってしまいました💦

でも、こういうことに共感するかどうかは別として、教育に関わる人はこうした考え方に触れた経験はあるはずですし、教育とは縁遠い人にとっては、自分の考え方との相違を感じてもらえるような内容ではないかなと思います。

教育について書き留める記事では、そうしたそれぞれの教育に対する考え方の「距離感」を感んじてもらえる文章が書ければ良いなと思います。

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