
(台北駅前の予備校が集まるビルの看板。漢字ばかりだと台湾っぽい感じがしますよね。こっそり「麥當勞(マクドナルド)」も ^^;)
ブロックチェーンの特性を存分に活かすことができる分野として、金融関係の業務の効率化を挙げることができますね。
台湾でも大手銀行がそれぞれの方法でブロックチェーンの導入を検討すると同時に、行政機関と銀行が協力して創設された金融業務の効率化を進める組織でもブロックチェーンを活用したプラットフォームの構築が進んでいます。
今回はこの記事の続報として、ブロックチェーンを活用した金融システムの活用事例が報道されていましたので、少し書き留めておきたいと思います。
・上海商業儲蓄銀行がブロックチェーンによる外部確認を実施
・公的な取り組みとの連携のもとで実現⁉︎
・具体的なサービスとして広がっていく可能性?
台湾の報道機関である「中央通訊社」が2018年9月19日に報じたところによると、台湾の「上海商業儲蓄銀行(上海商銀)」が同年9月13日に、台湾ではじめて、ブロックチェーン技術に基づく「函證(外部確認、Validation)」を実施したことを明らかにしたそうです。
上海商銀の總經理(ゼネラルマネージャー)である陳善忠さんによれば、会計業務の外部確認作業は人の手によるものがほとんどで、作業完了まで半月ほどの時間がかかってしまうとのことです。
この部分を、今回の取り組みでは試験的に、API(應用程式介面)を介してブロックチェーン上に構築されたプラットフォームを活用することによって自動化することで、作業完了までの時間をわずか1日に短縮することができたということです。
合わせて、今回の取り組みは台湾の会計事務所である「正大聯合會計師事務所(Grant Thornton)」とのあいだで外部確認作業を完了したと同時に、國富浩華、正風、嘉威、立本台灣、惠眾など、台湾の著名な会計事務所との連携を進めているということで、今回の「成功」を積極的に広げていく予定のようです。
新技術を活用した構想・計画の話はよく出てきますが、実際に運用がおこなわれて、これからも積極的に推進していくという現実的な話が出てくるのは比較的少ないので、注目に値する動きかなと思います。
上海商銀は「上海」と名前が付いていますが、これは戦前の中華民国期に上海で創設された銀行ということの名残りで、台湾内に多くの支店を持つ有力銀行のひとつとなっています。
「中央通訊社」の別の記事によれば、今回のブロックチェーンを活用した取り組みの完了発表と同時に、上海商銀は2018年10月19日に株式上場の予定であることを公表するなど、健全な財務状況も好感されています。
この記者発表の場で、陳善忠さんは今後の業務方針として、第一に「加強虛實整合(現実とバーチャルの結合を進める)」ことを挙げ、以下のような方針を掲げたそうです。
除持續布建國內外分行通路,擴大服務網絡外,也將強化數位金融競爭力,加速推動銀行業務數位化,推展Taiwan Pay等行動支付,並運用人工智慧與區塊鏈,提供智能金融服務。
(国内外の支店を結び、サービスネットワークの拡大を継続して進めていくこと意外に、デジタル金融の競争力を強め、銀行業務のデジタル化を迅速に進め、Taiwan Payなどのスマホ決済を推進し、AIやブロックチェーンを活用し、スマート金融サービスを提供する)
一見して、デジタル技術の導入に積極的かつ前向きな姿勢がうかがえますが、こうした姿勢はすでに数年前から、実際の行動として現れていたようです。
それが冒頭に挙げた記事に書きました、行政機関と銀行とのあいだに設立されたフィンテック活用のための協働機関である「財金公司(財金資訊股份有限公司)」への参加です。
先に挙げた「中央通訊社」の記事によれば、上海商銀は2016年9月から、財金公司が設置した「金融區塊鏈技術研究與應用委員會(金融ブロックチェーン技術研究応用委員会)」に参加し、金融業務へのブロックチェーンの導入について研究を進めてきたそうです。
台湾の経済紙「工商時報」の記事によれば、今回の会計事務所との外部確認の取り組みも、ブロックチェーンの技術に関わる部分はこの財金公司が構築したプラットフォームを活用したということです。
今回の取り組みが今年になって突然実現されたものではなく、この2年間の共同開発の成果として現れてきたものであることがうかがえますね。
今回の取り組みで上海商銀の外部確認をおこなった正大聯合會計師事務所も、公式ウェブサイトによれば業務の効率化や安全性の向上を前面に掲げ、デジタル技術の導入を積極的に進めている姿勢が示されています。
台湾で初めてのブロックチェーンを活用した外部確認業務の「成功」は、新技術の導入に比較的積極的な企業のあいだで実現されたということができます。
ただ、ブロックチェーン活用プラットフォームを提供した財金公司には台湾内の多くの銀行が参加していること、
また銀行だけではなく行政機関もフィンテックの活用に前向きな方針を示していること、
さらには上海商銀が多数の会計事務所と共同で更なるブロックチェーンの活用を模索していることなどから、今回の取り組みが広がっていく環境は十分に準備されているように思います。
冒頭に挙げた記事にもリンクを貼りましたが、台湾の銀行では数年前からそれぞれにブロックチェーンの活用方法を模索してきています。
財金公司のプラットフォームも含め、そうしたここ数年の取り組みが2018年になって少しずつ花開いてきているように感じます。
今回記事にした取り組みは、プロジェクトそのものとしては小さなものかもしれませんし、多くの人がサービス向上をすぐに実感できるようなものではありません。
それでも、こうした取り組みがいろいろなところで実践され、かつブロックチェーンや仮想通貨に関する法整備が着々と進んでいけば、大きな動きへとつながっていくのではないかなと考えています。
ひとつひとつの着実な取り組みが大きな潮流へとどのようにつながっていくのかということに注目しながら、今後も台湾でのブロックチェーン活用の状況をコツコツと追いかけていきたいと思います!













