(台湾の電気街「光華商場」近くの看板。スマブラは台湾でも大人気です)
ブロックチェーンに関する技術やサービスの開発というと、どうしてもソフトウェアの側面に目がいってしまいますね。
もちろん、仮想通貨のマイニングに適したマイニングマシンやGPUなどが話題に上がることもありますが、ハードウェアが注目されることは少ないように思います。
今回は、ICチップの開発を進めている台湾のスタートアップが、初めてアメリカの国際的な見本市であるCESに出展するということで、少し書き留めておきたいと思います。
・台湾のスタートアップ「鯨鏈先進」がCESに出展
・CESに出展する技術は?
・ハードウェアの開発も進んでいく?
台湾の経済紙「經濟日報」が2019年1月2日に掲載した記事によると、台湾のICチップ開発スタートアップの「鯨鏈先進(Whalechain Technology)」が、今年1月8日から11日の予定で開催されるアメリカのCES(Consumer Electronics Show)に出展するそうです。
鯨鏈先進の公式ウェブサイトには「Hashing Power」のキャッチコピーとともに、以下のように目指すビジョンが示されています。
ブロックチェーンICとハードウェアは、コンセンサスにリーチし(合意に達し)、ブロックチェーンエコシステムの安全なオペレーションを維持するために必要です。
(Blockchain IC and hardware is essential to reach consensus and maintain a secured operation of Blockchain ecosystem.)
このビジョンと並んでいるイメージ図には、「Infrastructure layer」、「Network layer」、「Application layer」という3つのレイヤーが示されていて、鯨鏈先進はひとつめの「Infrastructure layer」をすべて取っていくイメージが示されています。
マイニングマシンなども含めたブロックチェーンに特化したハードウェアの開発を積極的に進めていることがうかがえますね。
また、「經濟日報」の記事によれば、鯨鏈先進は半導体やICT産業にで10年以上の業務経験があるメンバーで2017年10月に創設されたスタートアップで、「ブロックチェーンがIoTとハードウェアのレイヤーで結びついて爆発的に成長していく(區塊鏈結合物聯網在硬體層將有爆炸性成長的應用)」ことを想定しているそうです。
IoTの世界的な成長はすでに予見されていることですから、ここにハードウェアの基礎であるICチップの開発で関わっていこうという姿勢には期待を感じますね。
「經濟日報」の記事には、鯨鏈先進がCESに出展する製品についても説明されています。
技術的なイメージは僕の力不足でなかなか描けないのですが、記事の文章を引くと、出展される製品の概要について以下のように書かれています。
高性能、高速、高出力の7ナノメートルSHA256パワーチップと関連ハードウェア
(高效能、高速與高算力的7奈米SHA256算力晶片與相關硬體)
ここに出てくる数字が何を示しているのかを僕自身がよく理解していないのですが…
たとえば、鯨鏈先進の技術や製品ではありませんが、GMOが開発・発売したマイニングマシンの「GMO miner B2」について書いた「ITmedia NEWS」の記事によれば、「7ナノメートル(7nm)」というのはチップのプロセスの数値を指し、一般的な16nmのものより高密度で性能が高いということです。
また、「SHA256」というのは「ビットコインなど」が採用している「マイニングアルゴリズム」というように書かれています。
こうしたマイニングマシンに応用されるようなICチップを、鯨鏈先進はより幅広い位置づけをしながら開発しているということになりますね。
「經濟日報」の記事によれば、鯨鏈先進はこうしたICチップの開発と普及を通じて、以下のような将来像の実現を目指しているようです。
将来のブロックチェーン4.0でのDAIOT(分散型コンピューティングAIoT統合アプリケーション)による全方位型ソリューションを段階的に進めていきます。
(逐步勾勒出未來區塊鏈4.0下DAIOT(分散式算力整合AIoT應用)的全方位解決方案。)
ブロックチェーンに特化したICチップの開発を通じて目指す先は、思いのほか広いのかもしれませんね。
台湾は世界的なICチップ・半導体の開発拠点として知られているように、この分野では環境も人材も整っています。
鯨鏈先進のようなスタートアップが創業から1年ほどでアメリカのCESに出展するというのも、こうしたバックボーンのもとで果たされていることのようにも思います。
また、技術的にも、GMOのマイニングマシンの紹介記事にも触れられていたように、最先端の分野に切り込んでいるということのようです。
ブロックチェーンの基盤技術やサービスの開発は台湾でもいろいろと進んでいますが、台湾の産業的な歴史を考えれば、むしろハードウェアの分野での開発に強みがあるのかもしれません。
技術的な部分については、まだまだ僕の理解が足りませんが、こうした動きにも注目しながらコツコツと情報を追いかけていきたいと思います!