最近はいろんなトピックの記事を書いていますが、ALISにはこれまで台湾・香港・中国のブロックチェーン・暗号資産に関する記事を書いてきました。
こうした記事を書くときに参考とするのは、台湾・香港・中国の現地メディアの報道です。
「参考にする」と書きましたが、基本はこうした現地ニュースの紹介から始まって、その周辺情報を掘り下げていくという形で記事を書いています。
いわば、僕の記事は現地の情報を探ることが「キモ」なのですが、こうした形で記事を書くことで、ある習慣が身につきました。
それは、中華圏のニュースを見て疑問に思ったら、すぐに現地のメディアによる報道を確認するということです。
これまでにもたとえば、中国の仮想通貨関連の情報について、情報ソースを探った記事を書いたことがあります。
今回は香港の動向に関する情報に触れて、あらためてソース確認の大切さを感じる出来事があったので、少し記事として書き留めておきたいと思います。
2019年6月、香港では「逃犯條例」の修正法案をめぐって、香港市民による反対デモが香港社会を大きく揺るがしました。
2019年6月21日現在、デモはまだ収束していません。
世界的にも香港社会のこうした動きに注目が集まるなか、以下のような日本語記事が報じられました。
非常に短い第一報でしたが、Yahoo JAPANのトップニュースに上がったこともあって、僕の目にも留まりました。
記事のタイトルは「香港政府、廃案受け入れを表明」となっています。
このタイトルを見たときに、僕は「?」と思いました。
疑問に思ったポイントは…
・情報ソースがよくわからない
・表明の主体がわからない
・「廃案受け入れ」って別に新しいことじゃないはず
というあたりでした。
そこで、この記事が基にしている情報を探ってみることにしました。
以前、この香港関連のニュースが香港の大手紙「星島日報」の記事をソースにしていたので、その辺りをたどってみると、それっぽい記事がありました。
この記事によれば、「政府のスポークスマン(政府發言人)」が「逃犯条例」の修正作業の完全停止(撤回や廃止ではない)を「改めて繰り返した(亦重申)」と書かれていました。
この「改めて繰り返した(亦重申)」というところがポイントで、こうした方針はすでに6月18日に行政のトップである林鄭月娥行政長官がすでに表明していました。
上述した第一報は、こうした方針が「改めて言及されたことである」という部分が欠けていたために、これまでの経緯をそれなりに見てきた僕のような人からすれば、「え?どういうこと?」となったわけなんですね。
この第一報に続いた別メディアの記事では、こうした方針が改めて示されたものであることが報じられています。
上記のツイートにリンクを貼った「星島日報」や、香港情勢を英語で発信しているSouth China Morning Post の以下の記事(8:17PMの内容)から、全体的にどのような状況のもとでこうした発言がなされたのかをうかがうことができます。
(英語記事はMALISさんが見つけてくださいました。ありがとうございます!)
上述した第一報は「誤報」とは言いませんが、あまりにも説明や前提となる情報が不足していて、誤解を生みかねない情報だったのではないかな…と感じました。
ひとつひとつのニュースに対して、すべての情報ソースをたどっていくことは難しいですよね。
僕は現地メディアでの情報を基に記事を書いたりしていることもあって、基本的にメディアの情報を信用・信頼しています。
ただ、ALISに記事を書くときもそうですし、普段、何か知りたい情報を検索するときも、同一トピックで複数の情報に目を通すことにしています。
そうすると、それぞれの情報のあいだに存在する共通点や相違点が見えてきます。
各情報間の共通点は対象とするトピックの「事実」である部分だと判定できますし、相違点はその相違の「あいだ」に「事実」の一端が含まれていると考えることができます。
その「あいだ」を埋めていくことが、第三者である僕のような人が「事実」に少しでも近づいていく方法なんだろうと思いますし、そのための方法が「情報ソースをたどる」ということなんだろうなと思っています。
すべての情報に対してこうした作業をすることはできませんが、自分の気になるトピックに対して、普段からこうした作業を意識的にやっていると、ある情報に疑問を感じた時に、その疑問を解決するための行動に移ることができるのかな…と、今回の件を通じて再認識しました。
情報を得るとはどういうことか、そして、自分が情報を発信するというのはどういうことなのか…
そうした「情報との付き合い方」について、普段からきちんと考えておかないといけないなと感じました。
これからも溢れる情報に自分なりの方法で向き合いながら、コツコツと記事を書いていけたらと思います!