ブロックチェーン・仮想通貨に関するさまざまな情報の多くは、英語で発信されていますよね。
「グローバル」に展開されているブロックチェーン・仮想通貨に関する動きが、「世界共通語」としての英語によって情報発信されるのは当然だと思いますし、英語を理解してこうした情報に接触していく必要があると思います。
(勉強しないと…(^^;)
台湾・香港・中国のブロックチェーン・仮想通貨に関する情報も多くは、英語の情報をソースとしている場合が多いようです。
日本語で読める海外からの情報も、ほぼ英語発信の情報を基にしているように感じますね。
ただ、「ローカル」にもかかわる情報はそれぞれの地域での報じられ方もあるはずで、現地の情報を英語で表現しているという場合もあるようです。
ブロックチェーン・仮想通貨をめぐる動きは「グローバル」かつ「ローカル」に展開するので、両者の情報を合わせて見ていく必要があるのかなと感じています。
今回の記事ではこのあたりのことを意識しながら、日本語でも報じられているHTCと「Cryptokitties」との提携について、台湾発の情報を基に書き留めたいと思います。
・HTCがブロックチェーン関連企業2社と提携!?
・HTCのブロックチェーンスマホはどうなった?
・「クリプトキティーズ」はどのスマホで遊べるの?
・HTCはブロックチェーンスマホを実現できるか?
台湾のビジネスニュースサイト「數位時代」が報じた記事によると、HTC(宏達)は2018年7月11日に「Cryptokitties(謎戀貓)」を開発した「Animoca Brands」と、台湾のブロックチェーン開発スタートアップである「Bitmark」の2社と提携したことを明らかにしたそうです。
今回の提携はHTCにとって、以下のような意味があるようです。
前者為HTC的加密遊戲應用商店開了端,後者則是在手機開發過程中,構建數位資產所有權加密計畫
(前者はHTCのクリプトゲームアプリマーケットの端緒となるもので、後者はスマホの開発過程において、デジタルアセットの所有権を暗号化するプロジェクトを構築するためのものである)
後者の「Bitmark」は、公式ウェブサイトによると、ブロックチェーン技術を活用し、デジタルアセットやデジタルデータの所有権を中央集権的な形ではなく個人が管理できるようにすることを目指した技術開発をおこなっているスタートアップであるようです。
Bitmarkはすでに、台湾で音楽関係の著作権保護の仕組みをブロックチェーン上に構築するプロジェクトを進めている「KKFARM」や、糖尿病患者のヘルスデータをブロックチェーン上に記録するプラットフォームを開発している「Health2Sync(智抗糖)」と提携し、技術提供をおこなっていて、着実に技術開発・事業展開をしている印象です。
「KKFARM」や「Health2Sync」の取り組みについては、以下の記事にまとめています。
日本ではDAppsゲームとして有名な「クリプトキティーズ」に注目が集まっていますが、台湾ではもう少し全体的な動向に注目した報道がなされているようですね。
とはいえ、上に挙げた「數位時代」の記事も、「クリプトキティーズ」がHTCのスマホで利用可能になることについて、詳しく報じています。
その内容を理解するためには、HTCが開発を進めている「ブロックチェーンスマホ」について触れておく必要があります。
…とここで、非常に手前味噌で恐縮なのですが、HTCが開発を進めているというブロックチェーンスマホ「Exodus」については、2018年5月の公式発表の様子を基に、以下の記事に書き留めています。
「Exodus」の特徴としては、デジタルウォレットの搭載とDApps(分散式應用程式)のサポートを挙げることができます。
日本語の記事では、後者の特徴と「クリプトキティーズ」を結びつける形でこの動きが注目されているようです。
たとえば、コインテレグラフがTheVergeの英語記事を基にして報じた記事がよく読まれているかと思います。
この日本語記事には「(HTCは)「HTCエクソダス」を販売すると発表していたが、今回は断念したようだ。」と書かれています。
ですが、TheVergeの元記事を読んでみても「発売断念」を明確に示すような内容が見当たらないような気がするんですよね…
ニュアンスもそれほど明確ではないように感じますが、僕が読み取れていないのかな…(^^;
上に挙げた「數位時代」の記事では、以下のように報じられています。
今日官方宣布Exodus開放登記,將於今年Q3開放體驗,並預計在Q4推出公測版。雖然正式發表日、售價,以及發售國家仍尚未公布,但卻透露了更多手機細節。
((2018年7月11日)今日、公式にExodusの登録を開始したことをアナウンスし、今年の第三四半期にエクスペリエンスを開放し、第四四半期にオープンβ版をリリースする予定である。正式発表日、価格、リリースする国家についてはなお発表がなかったが、スマホの詳細がさらに公表された)
この部分を見る限り、「発売断念」というよりも、着実な開発を進めている印象がありますが、いかがでしょうか。
ちなみに、Exodusの公式特設サイトにも、「Early access available in Q3.」と書かれています。
5月の発表会の時にも正式な発売時期についてはアナウンスがなかった(そうした情報は見当たらなかった)ように思うので、今回の「発売断念」の情報はどこから出てきたものかな?と感じています。
今回の「クリプトキティーズ」の話題と、ブロックチェーンスマホ「Exodus」の話題は、さしあたって別のトピックなのですが、内容の近接性と公表タイミングの時期的な近さからやや混同して捉えられているのかも…とも感じています。
では、クリプトキティーズはHTCのどのスマホで遊べるようになるのかというと、これは日本語の情報でも報じられているように、HTCの最新フラッグシップモデル(旗艦機)である「HTC U12+」をはじめとして、対応機種で利用できるようにするとのことです。
ただ、「數位時代」の記事によると、具体的なサービス開始のタイミングは未定となっています。
また、Google Playでのダウンロードやスマホへのプリセットではなく、ブロックチェーン技術に基づく新たなダウンロードシステムによる提供を予定しているとのことで、もう少し時間がかかりそうな印象がありますね。
さらに、今回の「クリプトキティーズ」との提携については、HTCの台湾の公式ウェブサイトには情報が掲載されていません。
一方で、アメリカのHTC公式サイトには特設ページが設けられています。
「數位時代」の記事には、クリプトキティーズを含めたDAppsのサービスなどは、「只要是允許加密貨幣的國家,都有機會使用到(暗号通貨が許可されている国でのみ、使うチャンスがあるだろう)」と書かれています。
まずはアメリカなどで試験的にサービス提供を始めてから、少しずつ対象地域を拡大していく予定なのかもしれませんね。
台湾発の報道を見ると、HTCはブロックチェーンスマホの開発を着々と進めているようで、そうした動きと並行する形で、「クリプトキティーズ」のスマホアプリ開発の話が捉えられているように感じました。
ただ、発売時期や価格、発売地域などが未定、クリプトキティーズもサービス開始時期や地域が未定、ということで、「本当に実現するの?」という疑問も生まれているのかもしれません。
また、たとえば以下の「自由時報」の記事で報じられているように、HTCは営業利益の悪化などにともなう1,500人に及ぶリストラを断行しており、経営状況への懸念が生じているということもあるようです。
それでも、上に挙げた過去記事にも書きましたが、HTCは「去中心化長(Decentralized Chief Officer)」というポストを設けています。
(ちなみに、上に挙げたTheVergeの記事のリンクにある写真の方が、「去中心化長」の陳信生さんです)
また、このポストが主導する開発室に15人から20人ほどのスタッフを所属させて、ブロックチェーン技術の開発をおこなっているようです。
現段階では、開発状況に関する情報が十分に公開されていないために、さまざまな憶測を呼んでいる状態なのかなと感じます。
ということは、たとえ試験版であっても具体的な製品が投入されることによって、こうした懸念も消えていくはずです。
まずはHTCが示しているとおりに、今年度中の動きが確かに実現されるのかということが試金石になるだろうと思います。
こうした点に注目しながら、これからの動きを追いかけていきたいと思います!
kazの記事一覧はこちらです。(下のアイコンからもご覧いただけます)
Twitter、やってます!