遊技機(パチンコ)はここ10年ほどの間に
演出のグラフィックを入れるROMの容量が大幅に増えました。
今のところ内規(メーカーの団体さんが自主的に取り決めたルール)では
64Gb(ギガビット)が上限とされています。
ここで勘違いをしてほしくないのですが、「ギガビット」です。
64Gbは8GB(ギガバイト)です。
DVD(4.7GB)の倍弱程度。
ちなみに15年以上前は確か512Kb程度でした。
容量が増えた事により…というかメーカー側は
MAXタイプが出た辺りから、容量を増やし始めます。
まずはこのROM容量を覚えておいてください。
次に液晶演出の開発費について。
18年ほど前の液晶演出の開発費は、1億円行かない程度でした。
CGを使った動画=MovieがROM容量の関係上あまり入らなかったので
CGパートがありながらも、そこまでクオリティ=コストの高いCG開発が
ありませんでした。
しかし、CGのクオリティとROM容量が増えてきた事が比例して
開発費は高騰します。
ここ数年前までは、A級の映像開発費は3~5奥円。
S級は10億円以上かかる機種開発もありました。
しかしここで問題が起きます。
例えば1つのMovieのグラフィックのクオリティを上げつつ
さらに演出をたくさん入れようとしてくる事態が起きました。
メーカーによっては
「これ以上映像のクオリティを上げても…」
という割り切りで、演出の数に特化してコストをかけるメーカーも
ありました。
あと最近はアニメ系の遊技機が多いので、そこまでCGにコストを
かけなくなりましたが。
しかしやっぱり映像制作にはコストがかかります。
この3つで価格は高騰します。
これは版権次第かと思います。
一時は「え?それをCGにするの?」というものまで、メーカーの開発者の
ほとんどが「CGで!CGで!」と言ってましたね。
最初に失敗したのが「ピンクレディー2」だと思っていますw
初代の良さを全く理解しておらず「CGで作ったらかっこいい」という風潮に
完全に流されて大ゴケした典型的な例です。
メーカーがCGに行った理由を簡単にまとめると…
・なんかかっこいいから(ゲームとか作りたかった開発者談)
・汎用性があるから(使いまわしができるから)
・開発簡単なんでしょ?
・修正が楽だから(と思っていた)
こんな感じです。
「汎用性があるから」以外はほとんど間違えています。
また「修正が楽だから」というのは、メーカー開発者が
仕様書が書けない
責任を取りたくない(後で直しがききやすい)
等が本当の理由だと思っています。
なぜなら手書きやアニメは、一旦作ると手書きの為に
修正が大変だからです。
しっかりイメージして、しっかり仕様書(絵コンテ)を書き
事前準備をしっかりしておけば、問題ないはずですが
メーカー開発者は「何かあったら…」という内心超ビビりで
CGというコスト高になりやすいものに、手を出していました。
遊技機を打った方ならわかると思います。
信頼度が低いのに、やたら派手なエフェクトを…。
エフェクトにエフェクトを重ねて、結局白飛びしてしまい
それを開発会社が何度も言っているのに、
「これでいいんです!」
と言って、社内会議で指摘されると「何とかしてください」とw
前にお話したように、メーカー開発者は開発のノウハウ
仕様内容等、ほとんど勉強していません。
エフェクトは「加算データ」と呼ばれ、光の三原色を基に
作られています。
光の三原色は重ねれば重ねるほど、白になります。
どんな色を足しても重ねたら白。
それを理解していません。
またエフェクトをゼロから作る事もありますが、近年は
AfterEffects(アフターエフェクト)というソフトのプラグインツールの
バリエーションの中から作っています。
なので、機種開発毎にメーカー開発者から
「もっと派手に」
「何か新しいエフェクトありますか?」
この2点くらいしか言いません。
「ここはこういう演出で、信頼度がこのくらいなので、こんなエフェクトを」
なんて具体的にいうメーカー開発者は1割もいないのではないでしょうか?
「ならエフェクト削ればいいやん」
と思うのが普通ですが、メーカー開発者が
という心理が働いています。
なので増やしはすれども、削りはせず。
打ち手としてみたら
「こんだけ派手なのに、全然当たらない!」
と不満が溜まると思います。
これを象徴する面白いお話を。
F社さんが昨年アプリゲームを作った方は多いと思います。
自分もやりましたが、正直エフェクトが派手過ぎて
ゲーム内で何をやっているか分からない…。
それをF社の担当者に話をしました。
自分「あれではキャラもゲーム性も見えないので少し削っては?」
担当「削ったら安く見られて、終わったと思われるから無理です」
F社のアプリゲーム…1年も持ちませんでしたよね?www
部門が違うとはいえ…やっぱり同じ事をしているんですね。
※担当者は元遊技機開発者。
これはかなり大きいです。
そもそもメーカー開発者は先の話の通り、仕様書も演出フローも作れません。
フローらしきものは作れますが、メーカー担当者が出してくるものに対して
自分は「それ、モードフローですから」と突っ込みます。
※小冊子の中に描いてあるくらいのフロー。
特にMAXタイプが主流になったあたりから、メーカー開発者は
「もっと演出を増やす!」
と言います。
この場合、演出の数と、演出の尺、特にスーパーリーチの尺ですね。
また擬似連の数も増やします。
理由は…
「MAXタイプだと通常時が飽きるから色々増やさないと!」
いや、飽きない通常時を作る理論…あるんですけど?
ちなみにとあるメーカーさんとお仕事をした時に
版権を聞きまして、これから企画書を作る…となる前から
(キックオフの時点で)
「予告の数は49個、スーパーリーチの数は32個以上でお願いします」
と言われてしまいまして。
さすがに「え?何で最初から数が決まっているんですか?」
と聞いたら、
「社内の分析班が売れている機種を調べまして、このくらいの数なら
その売れている機種台数超えるという判断に至りました」
(;´・ω・)<何それ?
もう開いた口が塞がりませんでした。
自分は前から
「飽きる飽きないではなく、打ち手はどうやったら当たるか?という
熱いポイントを欲しがっているし、知りたい。
4千円~1万円打って、熱いポイントや、何となくフローが見えてこない
演出数は作り手の恐怖心かエゴでしかない」
と思っています。
もちろんスペックにもよりますが、近年の規制に伴い
MAXどころか確変継続率の低い機種に移行している中で
演出を削る
という行為は
という「恐怖心」しか持っていません。
※もちろん大手のホールさんが、そう言っている所もありますが。
そして今現在、前にお話したように、メーカー社内の内製にする事によって
開発コストを下げる努力も始めていますが、
メーカー開発そのものが、打ち手のユーザーの事を全く見ていないので
(スキルもないので)面白い機種が作れる要因はとても少ないです。
また例え内製にしても、全体的な開発コストはそこまで下がりません。
※盤面にもランプの数や役物の数・機構の複雑さ等
開発コストがかなりかかっているため。
この開発費高騰が、結果機種の販売価格に乗っかる為
ホール側も高い機種を買う(買わざるを得ない)
↓
面白くないから、早目に元を取ろうとする
↓
出さない
↓
勝てない
↓
お客さんが離れる
という現象が起きていると感じます。