韓国一人旅の最後の日、僕は一番みてみたかった漢江(ハンガン)公園に行きました。ソウルを横切る大きな川、きっと韓国人たちの癒しの場になっているに違いないと僕は直感的に予想していました。汝矣ナル(ヨイナル)駅というところに、ソウル中心部からは15分くらい電車に乗れば来れるアクセスのよい場所に大きな漢江を眺めることのできる漢江(ハンガン)公園があります。
解放感とスケールの大きさに少し圧倒されました。本当に広くて、レンタルテントを借りて、漢江を眺めながらみんなラーメン食べてる(笑)。漢江とラーメンはチキンとビールくらいの組み合わせなんだと思います、韓国人にとっては。なんかいい文化だなぁと思いました。カップルのデートでも、家族でのレジャーでも、1人でも、お金はそんなにかからないし、絶対に癒される。そんな、漢江とラーメンの韓国文化に癒されながらも、韓国最後のご飯はカンジャンケジャンと決めていました。カンジャンケジャンとは醤油ベースの韓国ダレに生のワタリガニを漬け込んだ韓国の伝統料理です。花蟹堂(ファへダン)というお店がこの公園の近くにあり、僕はそこに向かいました。
早い時間だったので、まだお客さんはあまりいないのでよかったーと思い、さっそく入店しました。そしたら、お店の人の顔が険しいのです。予約はなんていうお名前ですか?一人でしょうか?と英語で聞かれました。漢江公園から歩ける、カンジャンケジャンのお店がある!とグーグルマップで雑に調べて変な時間に一人で迷い込んだわけですがこのお店、韓国初のミシュランガイドに掲載された人気店らしく予約必須だったらしいのです。全くそんなことを知らない僕は徐々に事情が分かり、THE絶望という表情で泣きそうな顔をしていたのですが、それを見かねた後ろにいた渡り蟹を剥いてるおばちゃんが、一人ぐらいなんとかしてあげな!みたいな感じでなんとか調整してくれて、なんとカンジャンケジャンを無事食べることができました。おばちゃんありがとう。本当に食べたことない、不思議な味というか本当に美味しかったです。韓国人にとってはご飯の究極のおかずとして君臨しているらしいのですが、僕はビールといっしょに食べる方が好きかなぁ。
どこからきたの?と英語で食べてる時にお店の人に聞かれて、ジャパニーズと答えると、ニホンジン!オイシイ?って日本語で聞かれて、蟹の身がまだこんなに残ってるから私がとってあげるね、と言われてお母さんっぽいことをしてくれました。色々無理をいって、食べさせてくれて、親切にしてくれたお礼にとおもって「チャルモゴッスニダ!」(韓国でいう最上級の”ごちそうさまでした”)と勢いよく言うと、めちゃくちゃみんな笑顔になりました。マタキテネ~と見送られてお店を後にしました。少し暗くなってライトアップされてきた漢江を眺めながら、ゆっくりと駅の方に戻ると、ライブをやっていました。凄くいい歌声とバックのイルミネーションが綺麗でついつい見入ってしまいました。
実は僕が韓国一人旅をした期間の3月1日は、三・一独立運動という日本統治からの独立運動が起きた日として韓国では祝日になっている日で、大規模な反日デモが起きる可能性が高いため日本の外務省からは韓国への渡航注意喚起が出されていました。そのニュースを、日本に帰る仁川(インチョン)国際空港に向かう電車でぐったりしながら、漢江とラーメンには本当に癒されたなぁ、カンジャンケジャンのおばちゃんたちありがとう...チャルモゴッスムニダ...と思い出を反芻しながらスマホをいじっている時に初めて知って、なんか少し笑ってしまいました。