漆塗りはとにかく手間がかかります。
だから、資本主義経済のもとで、日用品にするためには、高くなりすぎる。
昔は、能登の各村で作り、村の中で使う人の手に渡り、商売とは別の原理で行き渡るものだったとも聞きました。
しかし、社会の隅々に資本主義経済原理が行き渡ってしまった今では、手間をかけて作ったものは、高く売るしかない。
漆塗りも、ちゃんとしたものは、超高級品になってしまいます。
あるいは芸術作品となってしまいます。
輪島の街では、競歩の全国大会が無観客試合として行われていました。
沿道は応援禁止で人通りも少なく、古くからの店は閉まっているところが多かったです。
それで私は、スマホが営業中を示した輪島塗り会館に、まず行ってみることにしました。
やはり、実際に生活で用いるには、高すぎるものばかり。
そして中には芸術作品というべきものもありました。
もともと美術館好きの私はさらに芸術作品が見たくなって、足は輪島漆芸美術館に向かいました。
途中に立派な木材屋さんがあり、漆芸技術研究所がありました。
輪島塗りの街の面目躍如です。
そしていよいよ、輪島漆芸美術館へ。
現代の輪島塗を代表するアーチストたちの作品は息を呑むほど素晴らしかったです。
作者の履歴を見ると、一流の芸術大学を終えたさらにその後で、先ほどの輪島漆芸研修所で技術を磨いた方が多いようでした。