どうもアート屋ですよ!
今回は大街さん企画の読書感想文コンテストいきます!遅くなりまして申し訳申し訳!!
いかんせん私も参加賞の50ALISが欲しいのです!
その筋の情報によるとALISはそのうち20億円まで上がるそうなので、50ALISもらえるというのは実質1000億円もらえるということです。やらない手はないですよね!私はこの参加賞でカリブ海の島を買ってお城のような豪邸を建てて数名の召し使いとあと猫とかと一緒に優雅に暮らします。わっはっは。
ただ私には、このパーフェクトプランを成し遂げるにあたってひとつ問題がありました。
個展の会期中はゲストハウス暮らしで、手元にお気に入りの本がないということです。これは困った。
しかしそこに現れたるは救いの神!
現代文明!テクノロジー is GOD!!
ハレルヤ!電子の神に光あれ!!
さらに加えて、宣教師のステファニー氏より推薦図書まで挙げていただきました。
太宰治の『斜陽』です。
超有名作品ですね。
このくらいのレベルの有名文学作品となると、もうなんか「日本人なら全員読んでて当然やろ」みたいな社会からの見えない圧があって、「実は読んでないんです」と素直に言いづらいけど読んでる時間もないから結局『5分でわかる!名作のあらすじ解説!』みたいなのを見て読んだ気になって済ませてしまう……いつからそんなしょうもない大人になってしまったんだお前は。私のことですが(^q^)ww
そんなわけでちゃんと読んでみました『斜陽』。2周ほど。いい機会をいただけたと思います。著作権が切れているので無料で読めます。これはGoogleブックスですね。
『斜陽』は第二次大戦後まもなく、没落貴族となり家長である父を亡くしたかず子とその母、南方の戦地から帰ってきた弟の直治の3人が、財産を失い少しずつ滅びに向かっていきながらも貴族の生き方を捨てられず、変わり行く時代の中で自らの美徳に生き美徳に死す様を描いた作品、だと思います。
美徳、あるいは矜持。あるいは信仰心。
作中には幾度となく新約聖書からの引用が出てきます。
ただ信ずるは唯一絶対の神ではなく、それぞれの美徳、もしくは呪い……三者三様の価値観なのだと感じました。
終戦によって社会の有り様が大きくひっくり返っていく時代、自分の美意識だけが心の拠り所となって人々を突き動かし時に縛り付けるのは無理もないことでしょう。
お母様は最期まで貴婦人として死んでいきました。社会と生活が崩壊していっても貴族であり続けたことは、変化に適応できなかった弱さでもあり、生きざまを貫き貴族社会の最期と共に潔くこの世から身を引いた強さでもあり、表裏一体の美しさがありました。
お母様の死に様をかず子は「ピエタのマリヤに似ていると思った」と評しています。刑死した息子イエス・キリストの遺体を抱き哀れむ聖母マリアの姿に母の最期を重ねているわけですが、母にとってのキリストは貴族の時代そのものか、あるいは直治の死亡フラグだったのでしょうか。
3人の中で最も社会に揉まれた直治は、没落貴族という肩書きの煽りを誰よりも受けた小さな犠牲者でした。
平民同然の扱いで戦争にも駆り出され、それでいて平民からはいけすかない気取った貴族というレッテルを貼られる、苦しい立場にあったようです。
自分に染み付いた貴族臭さを払拭して平民の仲間に入ろうとした結果、麻薬やアルコールに溺れる始末。それでも貴族性を捨てることができない苦しさ。
直治は純粋すぎたのではないかと思います。
母のように貴族としての振る舞いを貫くことも、姉のように貴族の生き方を捨てて強くなることもできず、最終的に彼は自殺してしまいます。
時代とプライドと純粋さに殺された犠牲者なのでしょう。ある意味順当で無理からぬ、人間らしい最期のように感じました。そして彼の死をもって、いよいよ蛇の如く慧きかず子が完成されたのだと思います。
かず子という人物に対しては、私の理性がかなり拒絶するのですが、同時に私の感情面が強く共感をしており、読んでいて非常に複雑な気持ちになります。
かず子が信仰したのは、直治の師匠である作家、上原二郎への恋。
前夫との関係が芳しくなかったとはいえ、初対面の妻子持ちのおっさんにいきなりキスされてそれ以降六年も恋してるって正気か?ただのセクハラやんけ…って思ったんですが。
そして六年も経ってから熱烈なラブレターをしたため、返事がないのに二通目三通目とダメ押し、「お妾だってかまわない」「あなたの赤ちゃんが欲しいのです」とまで言ってのける始末。すげーな……。ちょろすぎない?
しかしまあ、思えば恋に正気などありはしないのかもしれませんね。打算は感情に揺さぶられるもの。かず子の行動も自分が生き残るための打算と、更級日記なお嬢様の夢見る恋心のハイブリッドなのかと思います。
なんだかわからぬ愛のために、恋のために、その悲しさのために、身と霊魂とをゲヘナにて滅し得るもの。ああ、私は自分こそ、それだと言い張りたいのだ。
まさしく『鳩の如く素直に、蛇の如く慧かれ』。
この『蛇』はかず子の人格形成に関わる大きな出来事の度に言及され、狡猾で野性的な蝮のように変化していく過程を描きます。かず子の解釈する『蛇の如く慧かれ』はイエスが十二使徒に告げたそれとはかなり異なってきているように見えますが、なりふり構わず強く生き抜けというかっこよさがありますね。
戦闘、開始、恋する、すき、こがれる、本当に恋する、本当にすき、本当にこがれる、恋しいのだからしようがない、すきなのだからしようがない、こがれているのだからしようがない、あの奥さまはたしかに珍らしくいいお方、あのお嬢さんもお綺麗だ、けれども私は、神の審判の台に立たされたって、少しも自分をやましいとは思わぬ、人間は、恋と革命のために生れて来たのだ、神も罰し給う筈が無い、私はみじんも悪くない、本当にすきなのだから大威張り、あのひとに一目お逢いするまで、二晩でも三晩でも野宿しても、必ず。
ここのところのテンポ!勢い!エモすぎて動悸がすごい!
この一文と「他の生き物には絶対になくて、人間だけにあるもの。それはね、ひめごと、というものよ」のとこだけでももうこの作品が好きになってしまうし、太宰治は本当に天才的だと思いました。
「すき、こがれる、恋しい」が3回もループするのこれもう発明じゃないですか……!
結局のところ、かず子の恋は悲しい形で一度は成就するものの、やがて捨てられ、お腹の子と二人で生きていくことを誓います。世間の目など知ったことではない、激動の時代に対するパワフルな回答です。
かず子は蝮のように強くなり、貴族でも平民でもなく、ひとりの人間になれたのだと思います。かず子はかず子であり続けることができた。ささやかな復讐を携えて生きていく。名ばかりの貴族よりよほど麗しいではありませんか。
生まれてきたことを悔やんでも、悔しくみじめなだけてしょう。
私たちは持って生まれたこの命で、戦わなくてはならないのです。
それこそが人間としての革命、道徳への挑戦。
話が進むほどに状況が悪くなっていって、全体的に不安になるストーリーだったのですが、最後で勇気付けられました。
紹介してくれたステファニーさっきーさん、略してステっきーさん、どうもありがとうございます(〃^ー^〃)
最後にかず子のファンアートを。
ほんとは本とか映画のレビュー記事をイラストつきで書きたいものですが、収益が出てしまうALIS記事で著作権に引っ掛かるものはよくないと思われるので普段は控えてるんですね。
しかし今回の『斜陽』は著作権が既に切れ青空文庫でタダ読み状態になっている作品です。合法的にファンアート描けるやん!
ってことで近頃練習中の色鉛筆でかず子を描いてみました。
ほんとはお母様と直治も一枚ずつ描いてキャラ紹介にぶちこむつもりだったけど力尽きてしまいました。
ではでは(〃^ー^〃)
◆新潟で個展開催中です!◆
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皆さんありがとうございます!ヽ(*´∀`*)ノ
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