今日は仮想通貨(暗号資産)のElrond(エルロンド)を取り上げてみたいと思います。トークン名は ERDとなっております。
2019年7月にバイナンスローンチパッドを使ったIEO(取引所によるオファリング)により資金調達を行います。
2019年のバイナンスローンチパッド案件は6件目となりますが、前回からの変更点としてBNB残高をランダムな時間に記録するという形で抽選チケットの枚数が決まるという新ルールの導入もあるようです。
一応、日本語ではエルロンドとさせていただいておりますが、エロンド、エロンなどと呼ぶ可能性もあるので実世界で使う場合は注意してください(笑)
★概要
★IEO概要
★プロジェクトの特徴
★プロダクト、ソリューション
★主要開発者、パートナー、ロードマップ
★まとめ
★各種リンク
ハイスループットなパブリックブロックチェーン。ルーマニア発。
Adaptive State Sharding(適応可能なシャーディング)と安全なプルーフ・オブ・ステークコンセンサスメカニズムにより、セキュリティ、効率性、スケーラビリティ、相互運用性を提供。
目標は、実世界のユースケースで効率的で競争力のあるdAppユーザーエクスペリエンスを可能にする、高スループット、高速トランザクション速度、および低トランザクションコストプラットフォームを実現すること。
パートナーにNetopia、TypingDNA、SmartBill、Nash取引所、Distributed Systems Research Laboratory (DSRL)など。
通貨名:Elrond
ティッカー:ERD
総合供給量:20,000,000,000 ERD
循環供給量:7,498,333,333 ERD (37.5%)
プラットフォーム:バイナンスチェーン(BEP2)
マイニング:バリデーターノード報酬(メインネット移行後)
コンセンサス:Secure Proof of Stake(SPoS)
IEO価格:1 ERD = 0.00065 USD、0.00001984 BNB
取引所:Binance(2019年7月4日17時上場予定)
公式ウェブサイト:https://elrond.com/
公式ツイッター:https://twitter.com/elrondnetwork
ホワイトペッパー:https://elrond.com/files/Elrond_Whitepaper_EN.pdf
トークンの配布状況(ディストリビューション)は以下の図の通りとなります。すでにプライベートセールを行っています♬
なお、プライベートセールではBinance Labs, Electric Capital, NGC Partners, Maven 11, and Authorito Capitalを中心に190万ドルをすでに調達済みとなります。
(関連:Elrond Secures $1.9 Million in Private Funding Round [Press Release])
当初37.5%が流通しますが、その後時を経るごとにトークン流通量が増してきます。
バイナンス取引所でBNBを保有することで2019年6月22日午前9時(日本時間)から毎日スナップショット(残高確認)が行われます。日々のBNB残高により宝くじが獲得できます(下記詳細)。
また、2019年7月1日 15:00(日本時間)から24時間の間、チケットの申請(請求)を行うことができ、申請によって宝くじチケットを入手できます。
IEO参加はBNBのみでの購入が可能になります。当選チケットを持っている場合はBNBを保有しておくことをお忘れなく!
・BNB残高記録:2019/6/22 午前9:00~2019/7/1 午前9:00
・ローンチパッドのセッション時間:2019/7/1 15:00から2019/7/2 15:00
・トークン名:Elrond(ERD)
・ハードキャップ:3,250,000 USD
・総トークン供給量:20,000,000,000 ERD
・ローンチパッド割り当てトークン合計:5,000,000,000 ERD(全体の25%)
・パブリックセールトークン価格:1 ERD = 0.00065 USD(BNB価格は抽選前に決定)
・トークン販売フォーマット:宝くじ
・チケット(宝くじ)の最大獲得数:10,833
・チケット当たりの割り当て:300 USD(461,538.46 ERD)
・サポートされているセッション:BNBのみ
・Elrond(ERD)は、Binance ChainにBEP2資産として発行されます。
注:すべて日本時間で表記していますが変更・誤記載の可能性もあるので、なるべく原文をご確認ください。
今回はバイナンスローンチパッド3回目の抽選制でのIEOへの参加が可能となります。
前回から大きな変更点として、スナップショット時間がランダムに設定されることが挙げられます。抽選ルールは以下の通りとなります。
✅抽選タイムライン
・2019/6/22 9:00 AM(日本時間)から2019/7/1 9:00 AM(日本時間):この期間中、ユーザーBNBの残高のスナップショット(記録)は毎日、9日間にわたってランダムな時間に記録されます。この9日間の最終的な平均BNB残高によって、請求できるチケットの数が決まります。
・2019/7/1 15:00 PM(日本時間):この時点でチケットの申請は24時間の間、権利を持つすべてのユーザーに対して行われます。チケット申請を完了する前に、ユーザーはトークン購入契約書にも署名する必要があります。ユーザーは一度だけチケットを請求できるようになりますのでご注意ください。
・2019/7/2 15:00 PM(日本時間):チケットの請求が終わり、宝くじの抽選が始まります。
・2019/7/2 17:00 PM(日本時間):当選チケットが発表され、それぞれのBNBは当選ユーザーのアカウントから差し引かれます。当選券がある場合は、24時間以内に差し引かれるのに十分な額のBNBがアカウントにあることを確認してください。
※チケットの請求はこちらの専用ページまたは、ローンチパッドページからお願いします。
✅対象となるチケットの数を計算する方法
ユーザーは、抽選日に至るまでの9日間(以下のXで表される)にわたるBNB保有残高に基づいて最大5つのチケットを請求することができます(スナップショット回数は9回です。)。
9日間の平均BNB残高(X) チケットの枚数
50≦X <200 1
200≦X <300 2
300≦X <400 3
400≦X <500 4
X≧500 5
(例)1~4日目までのBNB保有量が100、5~9日までのBNB保有量が50だった場合、100×4日+50×5日=650を、対象期間の9日で割った72.2 BNBが「9日間の平均BNB残高」となり、請求できるチケット数は(50≦X <200に該当するため)1枚となります。
⭕セキュリティ、効率性、スケーラビリティを備えたパブリックチェーン
⭕テストネット中
⭕dApp(分散型アプリケーション)を容易に開発可能
⭕オープン・パーミッションレス・ボーダレス・グローバルにアクセス可能
✨ステート・シャーディング(トランザクション、データ、ネットワークの分割=シャーディング、シャードの統合および分割による適応性)
✨Adjusted Boneh-Lynn-Shacham( "BLS"=Boneh, Lynn, Shachamが提案したペアリング技術)による、マルチシグネチャ(複数署名)を用いた2回のコミュニケーションラウンドにおけるコンセンサス
✨シャードノード内およびクロスシャード(シャード間)ノードの入れ替えによる悪意のある攻撃に対する高い回復力
✨BLS署名を使用した安全なランダムネスビーコン
✨シャードごとにバランスよく負荷をかけたステート・シャーデッド(分割された状態による)アーキテクチャのスマートコントラクト
✨シャード間トランザクションの高速ファイナリティ(数秒で完結)
シャーディングを使ったパブリックチェーンなので、コンセンサス方式などが気になるところです。
まず、技術面で同じ表現が3つ、何度も出てきますので、①Adaptive state Sharding、②SPoS(Secure Proof of Stake)、③Interoperabilityという表現について説明していきたいと思います。
直訳すると、Adaptive=適応できる、state=状態、Sharding=シャーディング、断片となります。
ブロックチェーンシャーディングのための最適なアプローチを考える場合、3つのシャーディングタイプ(ネットワーク/通信、トランザクション/処理、状態/ストレージ)すべての利点を考慮する必要があります。スケーラビリティとスループットの向上に対するElrondのアプローチは、「Adaptive State Sharding」と呼ばれ、3つのシャーディングタイプをすべて組み合わせて、シャード内の通信を向上させ、並列処理によってパフォーマンスを向上させます。
使用可能なリソース(バリデーターノード)とネットワークの使用状況に応じてシャード(断片)の数を動的に変更できるようにすると、スループットだけでなく効率にも大きな影響があります。Adaptive State Shardingメカニズムはバイナリー・ツリー(二分木)構造に基づいており、ひとたびシャードの数が計算されると、そのシャードの数は、アカウントアドレスのシャードへの(決定論的)マッピングに使用されます。シャードでのトランザクションの発送は、送信側および受信側のアカウントアドレスを指定されたシャードにマッピングすることによっても確定的に行われます。このソリューションのほぼ直線的なスケーラビリティは、中央集権化された対抗馬のスループットを上回るためのバックボーンを提供します。
直訳すると、安全なプルーフ・オブ・ステーク=コイン保有量に応じた証明。
Secure Proof of Stakeはバリデーターの利害とレーティング(格付け)による適格性、バリデーターのランダム選択性、およびコンセンサスグループの最適なディメンション(次元)を組み合わせた新しいアプローチです。
これは、ノードがランダムに選ばれたコンセンサスグループ内のバリデータのリストを計算でき、最初に選択されるノードがブロック提案者となる仕組みです。
ブロック提案者はトランザクションを新しいブロックに集約し、検証のためにこのブロックをコンセンサスグループ内のバリデータに送信します。各バリデータはブロックの有効性を検証し、トランザクションを処理し、すべてのチェックアウト結果がpBFT(プラクティカル・ビザンチン・フォールトトレランス)コンセンサスに適合するかどうかを確認します。pBFTでの投票は、複数署名方式の署名を送信することによって、すべての検証者に対して行われます。提案者がコンセンサスグループのメンバーから2/3+1を超える署名を収集した場合、ブロックは検証済みと見なされ、集約された署名はブロックに追加され、ブロックはシャード全体に配布されます。
直訳すると、相互運用性。
異なるブロックチェーン同士を相互に結び付け、橋渡しをするのがInteroperabilityの概念となり、Elrondのアプローチは重要・主要なブロックチェーンのギャップを縮めるように働きます。
最初のステップでは、Ethereum Virtual Machine(イーサリアム仮想機械)への準拠を目標としています。Solidity(イーサリアムのプログラミング言語)で書かれたスマートコントラクトをほとんど、またはまったく変更せずにElrond Virtual Machineでスマートコントラクトを実行することが可能です。
2番目のステップでは、Ethereumの相互運用性、つまり信頼できるサードパーティがなくてもEthereumとElrondをシームレスに交換できることを目標とします。このようにして、Elrond、Ethereum、およびERC20トークン間のトランザクションは、中央集権型の取引所を介さずに行う事が可能となります。それにより取引所のアカウントの作成、プライベートキーを保持せず、時にはKYCが必要で、匿名性が失われるようなプロセスをなくすことができます。
3番目のステップでは、ブリッジを拡張することによって、パブリックとプライベートの両方における、イーサリアム以外の重要なブロックチェーンをターゲットにしてクロスチェーン(異なったチェーン間)での相互接続と相互運用性をさらに進めます。このアプローチでは、EVMと互換性がなく、Elrondと連携したいチェーンごとに専用のアダプタが必要となります。
他のパブリックチェーンとの比較表は以下の画像の通りとなります。
トークン(ERDトークン)は(1)取引手数料の支払い、(2)dAppのデプロイ費用の支払い、(3)ステーキングおよびネットワークへの貢献者への報酬として使用されます。
より詳しく説明すると、SPoSコンセンサスでステークされ、取引・ストレージ・ガス費用、オンチェーンガバナンスでの投票権として利用され、バリデーター報酬などとして利用されます。
一応、全体的な説明の総括として、公式による紹介動画もありますので時間に余裕があれば見てみてください(4分以上と時間が長いため、なんとなくページ上部には持って来たくなかったです笑)。
Google、Microsoft、Intel、NTT、コンピューターサイエンスの博士号の経験を持つ起業家、エンジニア、研究者のチーム、およびNEMコアチームの一員であったメンバーを含むブロックチェーン関連の人材の豊富さが売りとなっているようです。
CEO:Beniamin Mincu(ベナンミンミンク)氏…ICO Market DataとMetachain Capitalの元CEO兼共同創設者であり、NEMのプロダクト&ビジネスリーダー。
COO:Lucian Todea(ルシアントデア)氏…Soft32の創設者兼CEO、mobilPay.comのパートナー、Angel投資家。
Netopia: Netopiaは、南東ヨーロッパの電子決済処理機です。ElrondとNetopiaは、ERDをNetopia支払いプラットフォームに統合する可能性を共同で探求することを目指しています。
TypingDNA: TypingDNAは行動バイオメトリクス企業であり、オンラインユーザーをキーボードの入力方法に基づいて保護しています。ElrondとTypingDNAは、セキュリティを向上させるために、TypingDNAバイオメトリクスソリューションをElrondプラットフォームおよび将来の製品に統合することを目指しています。
SmartBill: SmartBillは、請求書作成、会計管理、および在庫管理のために、SaaSベースのサービスを中小企業に提供する、最先端の会社です。ElrondとSmartBillは、透明性またはトレーサビリティのためにブロックチェーンベースの機能をユーザーとクライアントに提供するために、2つのプラットフォームの潜在的な統合を模索することを目指しています。
NASH(旧称NEX): NASHは分散型の仮想通貨取引所です。ElrondとNashは、ElrondブロックチェーンプラットフォームERDをNASH支払いプラットフォームに統合し、ユーザーとクライアントが異なるプラットフォーム間でERDトークンを交換して取得できるようにすることを目指しています。
分散システム研究所(DSRL): DSRLは、機械学習、ビッグデータ分析、IOTなどの分散システム関連の研究分野に焦点を当てた研究所です。ElrondとDSRLは、Blockchain Researchと教育イニシアチブで協力することを目指しています。
2019年6月現在までにテクニカルペーパーのリリース、プロトタイプのローンチ、オープンソースとホワイトペーパー更新、テストネットのローンチ、ブロックチェーンエクスプローラー&ウォレットのローンチを行っております。
今後、2019年第3四半期にテストネットの"公開"、統合VM(仮想マシン)のローンチ、2019年第4四半期にメインネットローンチ、トークンの交換・ステーキングの開始、dAppストアのローンチ、2020年第1四半期にデジタルアイデンティティ、DEXのローンチなどを予定しています。
なお、テストネットでは
・シャーディングセットアップ:5シャード+メタチェーン
・ノード:500×AWS T2medium(バリデーターノード)AWS 12 x T2.large (オブザーバーノード)
・シャード当たりのノード数:83
・コンセンサス:各シャードで6秒ごとにBLS署名
・コンセンサスサイズ:シャード当たり63ノード
・最大のブロックサイズ:~800KB
・最大TPS:~12500 トランザクション/秒
を達成しているようです。
(参考:Elrond “Zero to One” Testnet Update)
以上、IEOの概要とElrond(エルロンド)のプロジェクト紹介をしてみました。
いきなり儲かるか、儲からないかの話ですが(笑)、プライベートセールではすでに190万ドルを調達。全体の19%がプライベートセールになるとのことで、200億枚×19%=38億枚を単価0.0005ドルで販売した計算となりますでしょうか(IEOでの販売は1ERD=0.00065ドルなので機関投資家は3割程度割安で仕入れているようですね。あくまで開示された情報からの推測ですが)。
初期時価総額は 総発行枚数200億枚 × 37.5% ×0.00065 =487.5万ドル
となり、1ドル110円換算で5.36億円と有望プロジェクトのわりに低時価総額での上場となりそうです。これはICO評価会社が「All In」(全ツッパ)とする理由がわかる気がします笑
Secure Proof of Stakeというコンセンサスメカニズムはバリデーターのランダム選択メカニズムという点で、Algorandの考えを拡張している点、公式Q&Aで「Algorandと比較してElrondはブロックチェーンを1つも持っていない」としている点、コンセンサスグループの選択時間を最大12秒から1秒未満に短縮しAlgorandのランダム選択の考え方を改善した点など、Algorandをかなり意識したパブリックチェーンという印象も受けました。(Zilliqaとの比較ではトランザクションシャーディングだけでなくステートシャーディングも使用しているとしています。)
IEOの抽選日が7月となったため、6月はIEOなし(かわりにBinance DEXでIDOがあった)と前回BNB建てで10倍まであったHarmonyから日数も経過しており、今回IEOについての市場の期待感も十分かと思います!
最後までご覧いただきありがとうございます(*'▽')
【7月2日追記】宝くじチケットの当選確率は11.07%となりました。
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BlockExplorer(テストネット):https://testnet.elrond.com/#/
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