もずくです。
本投稿は、昨夜投稿した以下の記事の補足です。
投げ銭ランキングに反対してる理由なんてどうでもいいから建設的な意見を出せ!という方は以下の記事に飛んでください。
ALISは “トークンエコノミー” という形でソーシャルメディアを自律分散的に機能させようとする挑戦的なプロジェクトだと私は思っています。コミュニティを媒体とするトークンエコノミーがALISにとって最も大切であることは、ALISチームの公式記事を読んでいても強く伝わってきます。そこの方向性は、私とALISチームとの間で大きく違ってはいないと思います。
だとすれば、ユーザからプラットフォームへのGiveが必要だという議論をするにしても、その大前提として、採用しようとするアプローチがトークンエコノミーの流れを阻害するものであってはいけないはずです。広告モデルか課金モデルか…とか、ユーザに課金するならいつのタイミングか…といったような話は、トークンエコノミーを衰退させない範囲内で議論されるべきです。
そんな夢物語を語っていてはプラットフォーム(株式会社ALIS)のほうが先に潰れてしまう…というのがもしかしたら本音かもしれません。しかし、そこはALISチームのほうがトークンエコノミーにこだわって、コミュニティの側から「そんな理想ばかり語っていたら株式会社ALISが先に潰れるぞ」とツッコミを入れてしまうような立ち位置であってほしいと私は思っています。敏腕CMO水澤さんなら、コミュニティを手のひらの上で踊らせて、そういう状態にできるのではないかと思ったり。
前置きが長くなりましたが、投げ銭に手数料を課すという方法はトークンエコノミーの流れを阻害すると考えられます。
まず、トークンの流路はできるだけ多様であったほうがエコノミーとして健全であり、投げ銭はその大きな流路の一つとなっています。その流路を詰まらせてまでプラットフォームへのGiveを求めるというのは、トークンエコノミーを最優先しているとは言い難いです。
また、双方の顔の見える投げ銭というのはユーザの間に “縁” を生み出しますが、これはフォロー機能のないALISにおいては(コメント機能と並んで)最も強力なコミュニティのグルー(糊)であるといえます。特に投げ銭による縁にはトークンが伴いますので、それが巡っていくことによって何かしらの行為の波紋がコミュニティに生じます。単なるソーシャルメディアではなくトークンエコノミーであるという特徴が最も顕在化するのが「投げ銭」であると私は思っています。
とはいっても、採れるところから採っていかないとプラットフォーム(株式会社ALIS)が潰れてしまうでしょう…という懸念については私も理解しています。
投げ銭の手数料がその主収入ではないとしても、将来的に課金モデルに移行していくにあたって、タイミング的にも開発余力的にも「投げ銭の手数料」から始めるのが(苦肉の策ではあるが)ベストだ…と。
この点については、うめ吉さんか誰かが言っていた(テキトウ)「消費税問題に似ている」という意見に私も同意です。税収は必要だが、消費税を上げて消費が滞るとかえって税収が落ちるのではないか…という話です。投げ銭の手数料は消費税ほど強力な徴税(課金)ではないので、個人的には「かえって税収が…」という結末に転ぶのではないか…と私は心配しています。
とはいえ、そもそも投げ銭に手数料が課された理由は「プラットフォームへのGive」ではなく、「投げ銭ランキングへの不正を抑止するため」でした。つまり、諸悪?の根源は「投げ銭ランキング」といえます。
この投げ銭ランキング、Discordの議論を見ていても、結構 好意的に受け止められているように思います。確かに面白いんですよね、1人1票の“いいね”をポチポチ押すよりも、ガツンと投げ銭してトップページの目立つところに応援したい記事を推し上げられるというのは。他人の善意?による広告システムですよね。
ただ、その面白さは理解しつつも、私は投げ銭に“ランキング”はそぐわないと思っています。より正確にいうと、投げ銭の総額によるランキングがあってもいいとは思いますが、トップページの特等席にそれを配置する必要はないだろう…ということです。
ALISは、信頼できる記事を素早く見つけられることを目指したソーシャルメディアです。「信頼できる記事」に統一的な答えがない以上、その検索ルートは複数あったほうがよいと思います。キーワードやユーザで検索するだけでなく、いいねが多い順番、投げ銭の総額が多い順番、引用回数の多い順番など、色々なランキングで記事をブラウジングできたら発見も多いでしょう。
しかし、それらはトップページとは別のページに用意したり、トップページであってもプルダウンリストからソート方法(ランキングの種類)を選んで表示を切り替えるといったワンアクションを挟むべきだと私は思います。フォロー機能によるタイムラインのないALISにとって、トップページに最初から表示されているランキングは特別に宣伝効果が高いからです。
論点がずれたので議論を戻します。
上の話は、その特別な場所であるトップページの最初の画面に「投げ銭ランキング」が配置されてはいけない理由にはなっていません。
私が「投げ銭にランキングはそぐわない」と思う理由は以下の3つです。
1. 投げ合いが可能なので不正対策(手数料)が必要になる
2. ランキングへの露出を望まない投げ銭が存在する
3. 投げ銭を付加メリットへの対価にしてはいけない
1つ目の理由は自明ですよね。仕組み的に不正が可能な機能をなぜ提供しようとするのか、導入当初からずっと疑問です。
投げ銭をランキングにしなくても、他人の記事を(1人1票の “いいね” 以外の方法で)ランキングに押し上げる方法はいくらでもあると思います。私も次の記事で提案します。
2つ目の理由の代表例は「他ユーザへのトークン支払い」を目的とした投げ銭です。ALISではユーザ間で直接トークンを送付する方法がないので、相手の記事に対する投げ銭でそれを代替します。それがランキングに載ってしまうとややこしいというか、申し訳ないときがあるんですよね、特に支払いが高額になったときに。
もちろん、送付相手のETHアドレスを教えてもらえばALISウォレットから送ることもできますが、ちょっと面倒ですよね。相手との連絡手段が必要ですし、送金は遅いですし、Gas代も時々高騰しますし。ALISのソーシャルメディア内での送金なら、プライベートチェーンだから高速&無料で可能なはず…という要望を公式Discordで出しましたが、開発工数的な問題で却下されました。
ただ、もしALISウォレットによるユーザ間送金が実装されても、企画などでは「特定の記事に送金したい」ということも多いので、投げ銭による送金も使われ続けると思います。そうするとランキングと連動していては困るケースが出てきます。
3つ目の理由は、私なりの「トークンエコノミーの哲学」です。
例えば、大道芸に対して投げ銭するのは、純粋に、その人のパフォーマンスに投げ銭という形で称賛や感謝を示したいからですよね。もし、その投げ銭が大道芸コンテストの選抜に連動していたりしたら、投げるほうも受け取るほうも称賛や感謝以外の何かを意識してしまうと思います。
それのどこが悪いの?という意見もあるかもしれませんが、投げ銭が何か他のメリットと連動してしまったら、それはもう投げ銭ではなくて、そのメリットを相手に与えるための対価の支払いになってしまう気がするのです。
称賛や感謝といった形のないものに対して与えられる価値と、具体的なメリットに対して支払われる対価は、トークンエコノミーの文脈では無視できない本質的な違いではないかと私は感じています。
これに類したことが以下のkazさんの記事やその中の学士さんのコメントでのやりとりにも書かれているように思います。
以上、私が投げ銭の手数料とそのランキング化に反対である理由です。
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