もずくです。
少し前の話題になってしまいましたが、ALISの通報機能について公式見解が出ましたので、こうしたらどうかな…という案を出してみたいと思います。
まず、現状の通報機能については、
・当該記事に対する通報数が、いいね数に対して十分に多い場合
もしくは
・当該記事に対する通報数が、閲覧数に対して十分に多い場合
にのみ、「利用規約に違反している」と見做されて運営(ALISチーム)より修正の指示もしくは下書きに戻すといった処置が取られます。
記事によって誹謗中傷された個人が通報しても、それは「通報1件分」にしか当たりません。あくまで多数決で決めるという方策で、ALISチームが記事の内容を確認して判断するということは行いません。
ALISの利用規約に違反しているかどうかを通報数で決める…というのはなかなか思い切った考え方ですが、そうした方法をALISチームが選ぶ理由は以下のとおりです。
1. ALISを非中央集権的プラットフォームにしたい
2. そのためには運営(ALISチーム)の判断・意向をできるだけ排除したい
3. よって利用規約の違反さえもユーザ(コミュニティ)が多数決で決める
脱中央集権を目指している割には、
不正対策のため、トークン配布ロジックと同じように具体的な閾値の詳細は公表できません。[中略]ただし、現在の閾値は今後必要に応じて(ちゃんと回っていないとき)更新します。
といった感じの中央集権的な隠しパラメータで運用されているのですが、そこは今回は触れずにおきたいと思います。
さて、現在の通報機能に関する方策にはいくつか問題点があります。
公式の記事でも以下の点が挙げられていました。
1. そもそも通報機能の存在をしらなかった
2. 通報機能の利用の必要性が多くの人に伝わってなかった
そしてその対策がこれです。
通報機能の存在と意義をちゃんと伝えた今、みなさんの通報機能の今後のご利用をお願いしたいです。これはALISにはあってはいかないコンテンツだと思うとき、無視ではなく、通報してください。ALISの目的達成は我々の開発だけじゃなくて、ALISISTAのみなさんの、ALISで投稿されるコンテンツの評価のしかたにもかかっています。
つまり、通報の大切さはこうしてちゃんと伝えたし、ALISの信頼はコミュニティで創り上げるものだから皆でちゃんと通報しようね…ということです。
ALISチームの方々は「キティ・ジェノヴィーズ事件」をご存知でしょうかね。
それがどれだけ大事なことだとわかっていても、他人の面倒事には首を突っ込まないのが人間の本性です。
もちろん自分の中に根付いた道徳観に従って首を突っ込んでいく人もいますが、そういう日本人は少ないと思います。
それから、ALISを非中央集権的プラットフォームにしたいとか、信頼できるメディアにしたいと願っているのはALISチームであって、コミュニティ全体がそれを目指しているわけではありません。
ALIS発足当初はチームと一緒に「信頼の可視化」を目指そうとした人たちもたくさんいたと思うのですが、真剣に目指していた人たちほどALISから離れていってしまったのではないでしょうか。(※私の主観です)
いずれにせよ、コミュニティを動かすのに「皆でこうしましょう」と訴えかけるだけでは効果はありません。
そのことはマーケ担当の水澤さんも重々ご承知のことだと思っています。
ではどうすればいいのか。
ALISは「次のWeb」を代表するサービスになるんですよね。
それはビットコインに始まるブロックチェーン技術に触発されてスタートしたんですよね。
だとしたら、クリプトエコノミクスの思想でコミュニティを動かそうと思うのが王道というものです。
非中央集権で「信頼の可視化」を実現するには、ユーザの善意にお任せ…では無理です。人間は善意だけでは動きません。
そう動くだけのインセンティブが必要です。
通報機能による「信頼の可視化」を自律分散的に実現させたいのであれば、通報することにインセンティブが必要です。
通報すべき記事を見つけて皆に広めることにもインセンティブが必要かもしれません。
とにかく、すべてのユーザが自分の利得だけのために行動しても、全体として「信頼を可視化」へと向かうようなインセンティブ設計を考えていただきたいと思っています。
ということで、例えば、以下のような案はどうでしょう。
1. 通報すべき記事を理由と共にピックアップするボタン(法廷行きボタン)を用意する
2. ピックアップされた記事は、信頼性の評価に興味のある人がアクセスしやすい場所(法廷)にリストアップされる
3. 法廷にリストアップされた記事に対して「信頼できる/信頼できない」を皆で投票する(投票は記名)
4. 一定期間の間に十分な投票数が集まった記事に対して、「信頼できない」が2/3を超えた場合に「下書きに戻す」処理が自動的に行われる
5. 「信頼できない」という判決が下された場合は記事をピックアップしたユーザに報酬が与えられ、「信頼できる」という判決が下された場合は記事をピックアップしたユーザの信頼スコアが下がる
6. 投票者に対してもピックアップしたユーザと同様のインセンティブ(正も負も)が与えられる(ただし値は小さい)
以上です。