マンモス。
今回はボカロの歌唱力について思うことを、逆にわかりにくく書きたいと思います。
前回も貼りましたが、数年前に公開したオリジナル曲です。
どちらかといえばロック曲が多い私ですが、そもそもジャンルに縛られないのが個性となりつつあるボカロPですので気にしない気にしない。
小林幸子本人が歌ってると勘違いした人もいたので、我ながらこの出来はなかなかのものです。
恐らく、ボカロでここまでこぶしを利かせる歌声を出したのは自分しかまだいないと思います。
それを実現させるのが「調声」という技術です。
年齢層の高い方なんかは特に、ボーカロイドといえば初音ミクの声しか聴いたことのない人も多いのではないでしょうか。
初音ミクなど有名なボカロの声元が声優さんというのもあって、平たくロボットっぽく歌う二次元の要素のイメージが強いですよね。
そうなるとアニメやゲームの世界が好きな人達には好まれる分野なのは確かです。
初心者にもわりかし操作しやすいソフトで、初音ミクはとても発音がしっかりして聴きとりやすいので、簡単に自分の曲を歌わせることが出来ます。
それに対して、初音ミクから半年遅れで発売されたボカロが「鏡音リン・レン」という少年少女の声2種類セット。
これが大変なことに、発音がものすごく悪く、何を歌っているのかまったく歌詞がわからない。
そんな中2009年突如現れたボカロP、それが私です(迫真)
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当時沢山のボカロPが使用を諦めた鏡音リンを立派なボーカリストとして扱い、人間にも負けない歌唱力を目指して試行錯誤してた頃です。
その後、ボカロのロボットっぽい声が嫌いな人がライブPの曲をきっかけにボカロを好きになった、という話を沢山頂戴するようになりました。
少なくとも、俺が調声したボカロの歌声は、俺自身の歌い癖も反映されているのもあって、同じ鏡音リンのライブラリを使ってても他のPの鏡音リンとは全く違うものに聴こえるようです。
自分の信念として、「ボカロを人間に近づける」ではなく、「ボカロに命を吹き込む」という考えでやっています。
エレキギターが人間の音じゃないと同じように、ボーカルが人間でなくてはならないわけじゃないと思うんですよね。
大事なのはそれを操作する人間が聴く人の心をどう響かせるかにかかってくると思います。
だからといって、「人間に近づける」という考え方だと結局人間の歌声より劣るという話になってしまうのです。
初音ミクが若者を惹きつけた魅力は、人間には出来ない表現にあり、あくまでボカロの性質を活かして、そのライブラリにしか出せない美しい音色や感情表現を追求していく。
それはボーカリストそれぞれが歌声の個性を追求したり、様々な楽器にもスペシャルな奏者がいるのと同じです。
その技術をあえて違う言葉に代えると「職人技」ってやつですね。
年々ボカロのエンジン自体もレベルが上がって、よりリアルな歌声を追求しやすくなりました。
誰でもその歌声を作れるようになる一方で、自分たちのような職人たちが更に一つ上のステージで高度な歌唱を披露できる新しい挑戦の始まりです。