本編はこちら: 契約民主主義
・ユーザーがKYCされていて最低納税額が決まっていて、それを達成できないと法的措置になる
・プロトコルの変数を更新すること自体も提案である
・提案選別局が提案を選別できるし、国民は提案選別局を罷免できる
・プロジェクト予算がベスティング(ロックアップ)式で、進行中のプロジェクトに改善提案ができる
・提案への審議方式がDAOは主にステークホルダーによる公開投票だが、契約民主主義は「審議による意見投票」である
政府とは本質的に提案選別局であり、市民から上がってくる提案や改善に専門家をあてがうことで優先度の重みをつけて、市民に審議してもらうものである。重み付けが不適切なら国民投票で提案選別局の責任者(首相)がクビになる。政府はほんのそれだけしかできない指揮者なのだ。
今でも国会審議に出る情報は公開情報だ。プロジェクト単位の情報はプロジェクトごとにWireやSignalなどのプライバシーを考慮したツールで適宜管理すればよい。
「プロジェクトの開示要求」に対抗できる例外を設ける立法提案が必要である。
腐敗のパターンを分析して、制度ハックによる利権定着が起きない立法提案である必要がある。
第三次世界大戦が起きたなら、そのときからその国は軍事政権であり、この仕組みは一旦の寿命となり、1から民主制国家を目指さねばならない。具体的には提案の審議投票の権利が軍部に期間限定で委譲される。期間が過ぎる前に再度戒厳提案を成功させなければ平時に戻る。
一方で、平時の軍事行為は軍という提案で設立された行政の予算内で行われる判断で行われるし、軍事に詳しい国民からの提案で部署拡大などもあるだろう。
自国側につながる分断されていないネットワークを正として、戦後に分断解消時に相手側を否とする力学になるだろう。
基本的な外交機能は現在と同じように「提案で決まったVestingされた予算」によって行政として機能しているため、そこが対応する。そして新たな立法と予算が必要ならば、これまでの政治と同じように政治的プロセスを踏むことになる。ただ、これまでより良い点は、行政の構成員でも誰でも情報を持っていて危機意識のある人間が提案を行うことができる点と、年度末を待たずしていつでも行動に起こせる点だ。したがって、今と同じか、今よりも早い対応が可能になっている。
日本の官僚機構は出世レースと天下りのインセンティブにより行政と外郭組織を肥大化させることで機能してきた。そして少子高齢化と成長の停滞に際して機能不全を起こしている。依然たる原発ムラの発言力の大きさからも現代社会のすみずみに利権が存在することはお察しの通りだ。では、いかなる状況で利権は発生しうるのか?それは「権利者の長期化・固定化」に起因する。原発を置く地区の代議士や元代議士が力を蓄え続け、その地位や何らかの所有権を民意で奪い去ることができない構造ならば、それは利権と言えるだろう。完全なる民業からキャッシュフローを得ている人間は健全だが、公共事業からキャッシュフローを定常的に得る構造が利権なのだ。現在の日本社会において利権が残存しているとするなら「既に作った天下り先や行政組織が、形骸化してもいちいち潰すことができない」「国会審議にひとつひとつ回して廃止検討する時間がない」「廃止の議論をする既存の政治家が利権団体の関係者や親玉に忖度しないと政治家を続けられず、わざわざ新しい候補を廃止のために擁立しないといけない」などの構造的理由からのことだろう。それらはすべて、契約民主主義においては「改善提案」のシステムで市民の提案と審議の労力によって廃止される。したがって上述の「国会審議の時間がない」「既存政治家がしがらみの中にいる」「新規政治家擁立コストが高い」という課題は全て解決されるものとなる。一方で、審議の量と質を上げていくことが重要な因数であり、大学組織への投資は最重要課題となる。
提案の最大引き出し可能額を人口に比例させれば、最悪のケースである「全額引き出し」は防げるので、不正モチベーションを封じられる。一方で、半数程度の数の登録抹消であれば最大引き出し可能額と息のかかった審議員の相対的多さを両立できてしまう。この場合の対策は、「事前に一日の最大登録抹消数を制限しておく」「異常な国民登録抹消を確認したら国民ID登録行政を罷免する改善提案を出す」などが挙げられる。
中国やイランのような国を相手に外交がこじれると、人命を省みる必要がない状況の国は「絶対にやり返す」という姿勢を貫くことで、民主制および契約民主制の国家を萎縮させることができる。
民主制国家の攻撃行為はそのまま自国民の死傷者につながるからだ。したがって、攻撃すればするほど政治生命を削るゲーム理論的な構造となり、攻撃をできなくなる。
言い換えると、報復合戦のエスカレーションは民主制国家がガマンして経済制裁に切り替える形でしか決着しない。(報復合戦が戦争に繋がりにくいという点は良い点ではある)
2020/1/8のイランによる米軍基地攻撃でミサイルの米国民死傷者がいなかったのは、電子戦における米国の強みなのかフェイクニュースなのかはわからないが、良い着地だったと言えるのではなかろうか。
提案選別局行政は、この仕組みを始める際の初期設定された提案となるだろう。警察・軍隊・司法・金融監督などもそうだが、現代の常識に照らすと必要な行政は、2020年時点でこの仕組みを始動させるならば初期設定としてメンバーと予算をある程度割り当てていてもいいだろう。
一方で、時代が変わるとそれらは必ずしも必要でなかったり、よりよいやり方が見つかったりもするので、あくまで提案として初期設定するに留め、プロトコルに密結合させる設計にはするべきではないだろう。
また、提案選別局自体は国民投票による改善提案によって改善提案を選別するという防衛策を封じて罷免できるので、この改善提案が次の提案選別局長が誰なのかという情報や、罷免後の予算などの情報も持っているだろう。
職員に関しては、通常の行政と同じく、適当な採用手段で採用すればよろしい。
その共同体に多様な言語話者を雇用できる体力があるなら可能である。提案のレベルや質の選別に関しても同様のことが言える。
提案に対して審議員が意思決定をすることからそのような疑問が生じるのであろうが、民主主義において衆愚政治が発生する原理はInformed Citizenryの不在にある。つまり、国民の大多数が十分に意思決定するのに必要な情報を知っていることを前提としているのが民主主義なのだ。したがってテレビやSNSなどによってポピュリズムが台頭して脆弱になる。これを対策するための審議による意見投票であり、専門家を交えたレクチャーである。もちろん専門家の質の担保がなければ議論も紛糾するため、大学ならびに専門家への投資が最重要項目となる。
改善案として、一度承認された提案は毎年の自動延長可能を基本とし、対象の提案へのQ35「改善提案」が承認された場合、次年度以降の予算が増額及び減額されるのが適切だろう。したがって「改善提案」は「減(増)額根拠」と「減(増)額量」が記載されているべきである。
定常的に起こる提案ではないし、瞬間的に結果の要る投票でもないので、2週間かけて1gweiのトランザクションをみなが発行すれば少なくとも機能すると思われる。
一方で匿名投票でもなければスマートフォンでの投票にもなりうるので、Coercion(脅迫)耐性がない。別の方法を考案できるならそれに越したことはない。
攻性の作戦を継続するには予算が必要であり、提案を国民が支持しなければ予算は追加されないだろう。多くの国で契約民主主義が採用され、一般的な市民が戦争を望まないメンタリティを持つなら、戦争に予算が継続的につくことはないだろう。
契約民主主義は魔法ではないが、少なくとも合理的な移民政策、合理的な少子化対策、合理的な福祉予算配分が達成される。加えて硬直した社会構造を脱し、行政の効率化、民業の効率最大化、デフレ脱却の施策も打てるようになる。