本編はこちら: 契約民主主義
定性的にマイナス評価がつく。次回以降に関係者が提案をする際に加味されるだろう。また、確信犯的な横領や背任に際しては刑事罰も考慮に入る。
制度設計者としてダイレクトに社会貢献できることと、提案を繰り返し実績をつけることでよりよい報酬を提案に盛り込んでもまかり通ること。
所定のフォームにプロジェクトの進行状況および結果を提出する義務を設けるのが妥当だろう。
提案に不備があり、しかし提案内容が良い場合、内容を修正して再度提案をできてしかるべきだろう。そのような修正提案を扱うために、「前の提案を参照した提案」というものをシステムとして扱うことができるならば、専門家の選定や審議員の割り当てなどを引き継いだままコントラクトに定義された予算やベスティング(分割払い)の具合を調整できるだろう。あるいは、審議員のみが提案者の承認を以てして自分の担当する提案の予算やベスティング条件を変更できるという形でも良いだろう。
予算のベスティングのリズムは提案時に提案者が理想的な値を設定しておくべきである。
クールジャパン機構が民間から107億円出資、公金から756億円出資でファンドを組成し、196億円を民間出資者関連会社に還流させた件を例に取ろう。
「改善提案で削減できた予算の3%(仮)をもらえる」とするだけで内部告発インセンティブが生まれる。実社会でクリプトエコノミクス的設計論が必要になるというわけだ。
これに大して国民は「アメとムチの提案」をできると、これまでの政治にはなかった興味深いフィードバックサイクルが可能になる。任意の国民は「ある予算をベスティングしている状態の提案(=進行中提案)を対象にした改善提案」を提出する。改善提案は「改善ができたら予算追加、改善ができないまま一定時間が過ぎればベスティング予算を一定額減額」というものだ。この改善提案が審議により可決された場合、対象となる行政は、「国民に生命線を握られている」ということになるので、極めて真面目に働くだろう。
また、誰でも改善提案を出せるため、内部告発が極めて有効に働く。組織内の自浄作用も働くようになるだろう。
審議員と専門家の1週間にわたる審議は、インフルエンサーの影響を無視するには十分な措置であろうと思われる。事前の根回しにより国民の思想が傾いている場合は多少の影響があろうが、それは仕方ないことである。
まず提案によってそのような組織の組成が許可される自体がInformed Citizenryによる審議の原則からしてありえないことではあるが、提案が可決された場合は「改善提案」によって予算を断つことができる。
また、さらに極端なシナリオとして、例えば「政府が外資の援助を受けて、審議を妨害し、政治制度を提案によらず改革したいと考えている」と仮定する。この場合は後述する「コントラクト設計」の項にも説明があるが、「市民への不誠実の証拠」と共に政府の構成員を提案により罷免できる。その実行者は、単なる1市民として外患罪相当の罪で裁かれることになる。
お察しの通り「提案選別局」による介入こそが最も巨大な脆弱性の生まれうるポイントである。裏を返すと、「提案選別局」以外の行政の暴走は「改善提案」によって手綱を握られているので、ゲーム理論的には「協力ゲーム」構造にある。そこに政治家による権力や利権による腐敗などは介入しにくい。
これはブロックチェーン技術のスケーリングの問題の観点から可能かは不明だが、「『提案選別局』の改善提案のみ、国民の半数の直接投票による賛成票があるとき、その提案を『提案選別局』が却下することはできない。」という例外規定を設けることで緩和できるだろうと思う。
提案審議局の運用で悪質な提案者をマークできる。提案審議局と悪質な提案者が結託している場合は罷免する必要がある。
審議員について - アクセシビリティ に譲る。
過剰量の質の悪い提案が課題になる。提案にFee Market(Gas)モデルを導入することで緩和する必要があるだろう。提案者のレピュテーションや過去の提案審議の判例をもとに分析する機構があってもよいとも思う。
提案によって法的に提案選別局を設置するのがベタープラクティスとして定着するのではないかと考えているが、実装はそれに限らない。