-
ALISはお金ではない
-
2020/01/09 09:37
池井多さんは、8050問題を当事者の立場で考える「ひ老会(ひきこもりと老いを考える会)」や、子の立場・親の立場から互いの本音をぶつけていく「ひきこもり親子 公開対論」などのイベントを開くほか、「GHO(世界ひきこもり機構)」という団体を立ち上げ、SNSなどを通してインタビューした世界のひきこもり当事者の声を発信をしている。
いまも週に1回程度、当事者イベントなどで必要なときにしか外出しない。「子どもが部屋から出てこない」という親から相談を受け、同じひきこもり当事者として会いに行き、ドアの外から話しかけ話を聞くこともある。当事者の声を社会に伝える活動は、フランスやイタリアほか世界中のひきこもりにまで対象を広げ、多言語に翻訳した記事を発信している。室内にいながら世界とつながっているのだ。
「ずっと海外とやり取りをしていて、久しぶりに外に出て日本語の会話を聞くと『帰ってきた』と感じることもあります(笑)。室内留学ですね。私の場合は、ひきこもりを極めることが逆に社会参加になっている。賃金労働ではないし、社会に認められる働きではないかもしれませんが、これも働いているうちなのでは?という感覚はあります」
何というか。
「一点突破、全面展開」という言葉が頭に浮かんだ。
引きこもりを徹底することで社会とつながる。
これは、インターネットというテクノロジーがあってこその現象なのかもしれないが、何かを極めること・何かに拘ること・何かにどっぷり浸かることの重要性も感じさせる話だ。
もちろん、否応なく、選択の余地なく、自ずから、という宿命的・束縛的・災難的側面は否定できないのだけれども。
何か、読んでいて気が楽になった。
1人がサポートしています
獲得ALIS: 16.73 ALIS 1.10 ALIS
自称小説家。窓から知念半島を眺めながら、いつも文章を書いています。ペイントで雑な絵も描きます。