ショーケン映画に続いて
またしても濃い、濃すぎる映画を観た。新文芸坐で。
「復讐するは我にあり」と「白い巨塔」の二本立て。
目当ては「復讐するは我にあり」だったのだが、
映画館ものすごく混んでて、その日は、いつもの、映画好きの大親友と行ったのだが、隣席あるか心配になったほど。
今村昌平監督の映画で、この映画でもカメラマンであった石黒さんが、面白いよ~とオススメしてくれたので、じゃ、行ってみなきゃ!って行ったのだったが、最初から最後まで、超集中・・・ずっと目を瞠って観たので、すごい疲れた・・・
緒形拳ってこんな大きかったっけ?って思うほど、大きく見えた。
主人公が、殺人事件を重ねつつの逃亡劇が、柱なのだが、
間間に、子供のころのエピソードだったり、妻のことだったり、他の人間関係について差し込まれてくる。
とにかく濃い映画で、次から次へ、何が起こるやら、ドキドキしながら観るわけだが、悪い予感が、当たらないでくれーと思っても、当たりまくる。
三國連太郎と、倍賞美津子の絡みが、ものすごく・・・・・・・・ものすごい!笑
目で映像を見ることで、人肌の質感、温度が伝わってきそう。
倍賞美津子の映画、全部見てないけれど、これは最高に、エロス。
ただ、姿が綺麗とか、スタイルがいいとか、そういうセクシーとか色気ではなく、
ストーリーの中での想いと、人間味がこもった色気なので、今どきの、非現実的で理想通りの女の子像を求める男子には刺激が強すぎるかも・・・・
三國連太郎の演技も脂がのった、最好調期ではないか?
迫力、人間としての濃さの表現に圧倒。
三國連太郎は、この映画の中で、自分の生まれつき持っているもの、本心を、抑えておさえて生きる役。
本能的な愛情も、世間体のために抑え、信心のために抑え、それでいて、政治的な圧力に抑えられて、主張を折ったり、力関係のために、差し出したくないものを差し出す。
そうして、自分を殺している、自分を騙しているけれど、本当の野性的な自分はどれだけ凶暴なのか・・・・
自分を殺さず、人を殺すのは、緒形拳の役。
殺人を繰り返す、どうしてそこで?と思うところでも殺す、なんでその人を?も、なければ、あえて狙っても、殺す。
ほっといたら、人を殺しちゃうんじゃないか?もう、止められない性質のままに・・・この人に、人殺しが悪いっていう気持ちはちょっとでもあるのか?
カミュの「異邦人」が頭に浮かんだ。
理由などは大したことではなく、ほんとちょっとしたきっかけくらいであり、
殺すこと深い理由もなく、自然な流れで殺してしまう。
そうしないようにすることは、彼にとっては、自分を欺く、抑えることになる。
生まれつき狂った性質。
その親役の三國連太郎にも、同じ血が流れているわけで、二人の違いは、自分を押さえつけるか、自分に正直に生きるか、ということ。
話としても考えさせられるが、観ている間はそれどころじゃない・・・
ものすごく濃い映画で、見応えあるし、日本の名優の名演技や、ストーリー展開、ドキュメンタリーを見ている気にさせるような撮り方、などなど、面白いので、興味の湧いた人には超おススメ。
このあと、「白い巨塔」見たが、そっちもやはり、俳優の演技と、日本特有の嫌な感じ、ごまかさずによく描いたなぁと思った。
主人公がどんどん汚れていき、見てるこっちもどんどん、主人公を嫌いになる。
手術の映像、どうやったんだろう・・・何を使ったのかと撮影についても、リアルで驚いた。
それにしても、2本立てを連続して観ていると、映画館が落ち着く空間となり、やたら映画館に行きたくなる、映画館が心休まる箱となってきたりする・・・
映画館にこもりたい・・・・という気分に。