「相模原障害者施設殺傷事件」についてのお話。

※今日のお話はすごく暗いお話です。苦手な方はお読みにならない方が良いかも知れません。

※今回、死刑判決が下った被告を擁護する意図も、被害者を侮辱する意図も全くありません。被害に遭われた方やそのご家族、関係者の方々には心からお悔やみ申し上げます。そして１日でも早い回復と、安寧の日々が戻って来ることを心から祈ってます。

※その上で、もし良かったら読んで下さい。

2016年のあの事件から約４年が経ちました。あのニュースを知ったボクは、ただただ呆然としていたことを今でも覚えています。

とんでもないことが起きてしまったなと。

被告の主張は一貫して「障害者はいなくなるべきだ」です。

社会福祉士の資格を持って対人援助をしている人間としては、到底看過できません。

ここで、日本社会福祉士協会における倫理綱領の前文から引用させていただきます。

われわれ社会福祉士は、すべての人が人間としての尊厳を有し、価値ある 存在であり、平等であることを深く認識する。われわれは平和を擁護し、人 権と社会正義の原理に則り、サービス利用者本位の質の高い福祉サービスの 開発と提供に努めることによって、社会福祉の推進とサービス利用者の自己 実現をめざす専門職であることを言明する。

全ての人間は平等であるという前提でわれわれ社会福祉士は業務に当たっています。しかしながら、その平等性が担保できない場合、あらゆる手段を使って対象の方の人権の保護を考えます。

そういった立場の人間の発言であることも念頭に読み進めていただければありがたいです。

今回の事件で、何か変わりましたか？

今回の事件を契機に、社会は何か動きましたか？

本当に恐ろしい話です。何も変わっちゃいないんです。障害者を取り巻く環境が、ほとんど変わってやいないんです。

もっと社会的議論を呼び起こしても良いぐらい、最悪でセンセーショナルな事件のはずなんです。本来は施設に入所しながらも、自己実現に向けて色んな方々の力を借りながらも日々生活していた人たちの未来が、あるべき将来が、１人の被告によって奪われたんです。１９名の尊い命が一夜にして消えてしまったんです。

しかも主張は「障害者はいなくなるべきだ」

許されるはずがないんです。

そう思いますよね？

ボクが言いたいのはそこなんです。

本当に許されないと、社会全体で共有できているのか、と。

みんながみんな同じ考え方なわけないです。それは分かってます。でも最低限「障害者はいなくなるべきだ」という価値観にはハッキリとNoが言える、そう思えるという部分においてはそうであって欲しいんです。勝手な願いかも知れません。

死刑判決は至極当然の話で、それ以外の選択肢などありません。死刑制度が成り立つ現在の日本においては極刑で処するべきです。

ただ、そこで終わっていませんか？

「まぁ１９人も殺したらそりゃ死刑だよね。」という１つのケースとして片付けてませんか？

違うんです。人数ではないんです。確かに人数もこの事件において重大性が高いのは事実なのですが、もしこのニュースが１人だけの被害者で留まったとしたら、絶対こんなにセンセーショナルに報道されてないはずなんです。みんな被告の異常性と被害者の数に目を向けて、本質的に被害者の方々のことに目が向けられてないんです。

そしてどうしてこんな事件を起こすことになったのか。なぜ被告がそこまで障害者に対する差別意識を増幅させていったのか。

その分析がほとんどなさていません。大麻による精神的障害とか寝言を言う報道まである始末。吐き気がします。本当に吐き気がします。

彼に、本当に精神障害があって、責任能力を問えない状態であったのならば、ボクは罪に問えないと思います。それが日本の法律ですから。でもハッキリと彼の口から「責任能力があります。」と断言しており、確固たる殺意を持って凶行に臨んだのであれば、キッチリと罰を受けるべきです。

その辺りも中途半端、少し彼の精神障害的な部分も触れてあえて精神障害者に対する社会の不安を煽る。

本質的に彼の差別意識に対して「異常である」ということにだけ言及し、どうしてそれが異常なのかを解説しない。この事件に関してコメンテーターのコメントを注意深く聞きましたがどれも的外れでおぞましくなりました。

どうして障害者への差別はダメなのか？なぜ差別が起きるのか。

もっと議論を深めて欲しいし、もっと社会で考えて欲しい。

本当に障害者は何もできない、社会のお荷物でしかないのか？そんなこと、絶対にあり得ません。絶対にないんです。

一つの問題として、資本主義社会だから生産性のないものを排除してしまうところだと思います。

でももっと根本的なところ、人間の心の部分で、自分とは違うものを嫌悪する、そういう醜い部分が我々人間にはあるんだということをもっとみんな理解するべきです。

それは仕方がないことです。だからこそ、情報を常に更新して欲しい。

みんながみんな、幸せになる権利があるんです。

なにが言いたいか分からなくなってきました。

もう少し、もう少しだけで良い。この事件について色んな人が自分に正直に考えて欲しいと思いました。