小学校低学年のころです。なにげなく日本地図と世界地図をみていた私は驚くべき発見をしました。それは、四国がオーストラリアに、九州がアフリカにその形がそっくりだという事実です。不思議なものだと頭をひねってはみたものの、しょせん子供の思いつきです。それ以上追求することもないまま、この「世紀の発見」はいつしか忘れさられてしまいました。
それから10年以上もたったある日のことです。日本と世界との間にあるこの奇妙な照応関係に着目し、それを壮大な霊的宇宙論のなかにまで位置づけた日本人がいたことを知った私は、それこそ腰を抜かさんばかりに驚きました。同時に、子供のころを思い出して我が意を得たりと手を叩いたものです。
その人物とはいったいだれなのか。戦前の日本社会で隠然たる影響力をもっていた大本教のカリスマ教祖・出口王仁三郎その人です。
王仁三郎によれば、日本は世界の雛形であり、そのため両者の地形はすべてにおいて照応するとされています。しかも四国や九州ばかりでなく、本州や北海道までもが照応するというのです。
子供だった私にも看破できたように四国と九州は比較的わかりやすいでしょう。しかし、本州や北海道までも世界の雛形であるといわれると、「いくらなんでもそこまでは!?」と眉につばをつける人も多いのではないでしょうか。ところが、詳細にみていくと両者には九州、四国におけるそれ以上に多くの照応関係があるのがわかってびっくりしてしまいます。
ということで早速みていきましょう。まずは本州からです。王仁三郎によれば、本州と照応関係にあるのはユーラシア大陸だということです。しかし私たちが日頃見慣れているメルカトル図法のユーラシア大陸は、一見したかぎり本州とは似ても似つきません。そこでちょっと加工してみましょう。ユーラシア大陸を左右に引き延ばしてみてください。スペイン、ポルトガルがあるイベリア半島を左手で、ロシア最東端にあるカムチャツカ半島を右手でもつようにして左右に長く引き延ばすのです。
どうですか。少し本州らしくなったのではないでしょうか。その上でもう一度比較してみましょう。ヨーロッパ側から時計周りで順にみていきます。まずイベリア半島は山口県に、デンマークは松江周辺に、スカンジナビア半島は能登半島に、ノバヤゼムリャ島は佐渡島に相当しそうです。
シベリアをぐるっと回ったら今度は東側から西側へとふたたび時計回りにみていきましょう。西端が山口県であるとすれば東端は当然青森県です。そうであれば、カムチャツカ半島は下北半島ということになりそうです。となると朝鮮半島は牡鹿半島あたりでしょうか。それをさらに南下するとインドシナ半島があります。これは房総半島っぽいですね。
そのまま西へ行きます。インドシナ半島の西には、インド亜大陸があります。そしてその上にはヒマラヤ山脈があります。ヒマラヤ山脈といえば、世界最高峰のエベレストがあるところです。ということは、ちょっと小さめですが、インド亜大陸は伊豆半島に照応しそうです。もちろん世界最高峰のエベレストは日本最高峰の富士山と照応します。
となると伊勢湾はペルシャ湾に相当しそうですね。そうなるとアラビア半島は紀伊半島に照応するといえそうです。しかもうまいぐあいに世界最大の湖であるカスピ海のあたりにこれまた日本最大の湖である琵琶湖が位置しています。
さらに紀伊半島をぐるっと回ると瀬戸内海に入ります。ここまでくればもういわずもがなですね。そうです。瀬戸内海は地中海に相当します。
こうしてみると、王仁三郎のいう通り、本州はたしかにユーラシア大陸の雛形であるといえそうですね。
次に北海道をみてみましょう。そもそも北海道はいったいどこに照応しているのでしょうか。それについては様々な説があるようですが、一般には北米とするのが有力なようです。私もそうみるのが妥当だろうと思います。
ぴんとこない人は、北海道を反時計回りに少し回転させてみてください。そうすると渡島半島がちょうどメキシコあたりに、稚内がアラスカに相当することが見えてくるのではないでしょうか。
そのうえ、奇妙なことに北海道と北アメリカはその歴史までも似ています。どちらも開拓者によって切り拓かれたという共通の歴史をもっているのです。
それにしても、ここまで照応していると面白いというより少々気味が悪いと感じる人もいるのではないでしょうか。いずれにせよ、こうしてみるかぎり日本はたしかに世界の縮図であり、雛形であるといってもよいように思えます。
ユーラシアが本州に、北海道が北アメリカに、四国がオーストラリアに、九州がアフリカに照応するというのはわかりました。しかし、五大陸というように世界にはもうひとつ大陸があります。南米です。ではこの南米はいったい日本のどこに照応するのでしょうか。
南米についてもさまざまな説がありますが、一般には台湾だとされていますーー。
しかし、ここで疑問がわいてきます。
雛形理論によれば日本は世界の雛形であるということですが、これは逆にいえば、世界の五大陸は日本の拡大版であり、それに照応する場所が必ず日本にあるという意味になります。
事実、北海道は北米と、本州はユーラシア大陸と、四国はオーストラリアと、九州はアフリカと、それぞれ照応関係にあるということはこれまで説明した通りです。しかし、南米に照応するはずの台湾はご存知のように日本ではありません。
これはどう考えたらよいのでしょうか。
もちろん戦前、台湾は日本の一部でしたのでそれほど目くじらを立てる必要はないのかもしれません。しかし、それならなぜ台湾だけが宙ぶらりんになってしまったのでしょうか。同じように日本の一部だった朝鮮半島はなぜこの雛形にふくまれていないのでしょうか。
私がこのことにこだわるのには理由があります。王仁三郎が興した大本教には「お筆先」と呼ばれる託宣があり、そのひとつに日月神示があります。王仁三郎は生前から「自分の死後にトドメの予言が降ろされる」と予告しており、それが日月神示だというのです。
その日月神示にはこう書いてあります。
「日本の国は世界の雛形であるぞ、
雛形でないところは真の神の国でないから、
よほど気つけて居りて呉れよ、
一時は敵となるのざから、
ちっとも気許せんことぞ、
神が特に気つけておくぞ。
今は日本の国となりて居りても、
神の元の国でないところもあるのざから、
雛型見てよく腹に入れておいて下されよ」
これを読み解く大前提として、まずは戦前の日本の領土がどうであったかを思い出してください。戦前の日本といえば、いわゆる本土だけでなく朝鮮半島と台湾を含むものでした(南樺太も)。さらに満州やその他アジアの占領地、パラオなど南太平洋の信託統治領も含めると、その当時、日本あるいは「ほぼ日本のような」ところと考えられていた地域はかなり広大でした。
ところが、この神示には、「雛形でないところは真の神の国(日本)でないぞ」と書いてあります。そしてそれはその通りになりました。すなわち戦後、そうした「雛形でないところ」、つまり五大陸に対応しない地域は日本の領土ではなくなったのです。実際、朝鮮は独立しましたし、満州は中華人民共和国に接収されてしまいました。
しかしここで問題になってくるのは台湾です。朝鮮や満州同様、台湾もまた戦後、中華民国として事実上独立国となり、日本から離れていったわけですが、しかし台湾が南米に相当するならば雛形理論からいえば、台湾は依然として日本の一部であるということになります。世界の五大陸が日本の拡大版であるなら、他の大陸がみなそうであるのに南米だけが日本に照応する場所がないというのは筋が通らないからです。
これはいったい何を意味するのでしょうか。
もしかしたらこの神示は、将来台湾がふたたび日本の一部になる、ということを予言しているのでしょうか?
「まさかそんな…」。誰もがそう思うことでしょう。
しかし、現在の台湾をめぐる政治情勢をみるかぎり、日本への復帰という選択肢がまったくありえない荒唐無稽なものとはいいきれないようです。実際、台湾には日本への復帰を求める声が根強くありますし、しかもその声は近年ますます大きくなっている気配があるからです。
ということは、この雛形論が示す通り、将来、台湾は日本の一部になるのでしょうか。そしてそれは天意でもあるのでしょうか。
もちろん、これは何の根拠もない与太話です。けれど、万が一そうなったらそれはそれでまた面白いと思いますので、今後の国際情勢の推移を興味深く見守っていきたいと思います。
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