ここでいうステーブルコインは、当然、何らかのFIATにペグするステーブルコインです。
世の中には金属の価格にペッグするステーブルコイン(TiberiusGroupAGのものやDGD等)もありますので、念のため。
(尚、それら法定通貨以外にペッグするステーブルコインは、言語におけるにおけるエスペラント語のようなものだと私は考えています。どこの国にも属さない価格にペッグさせようとしたものの、それはペッグするコストがかかっているだけなんじゃないかなぁというのが私の見解です。どこの国にも属さないものであれば仮想通貨でいいのに。と。)
今回は、ステーブルコインにまつわる話です。
まずは、ご存知の方は気だるいでしょうが、種類分けから。
ステーブルコインは大きく三種に分けられます。
1)担保を持つ
1-1)法定通貨を担保とする
1-2)法定通貨以外を担保とする
2)担保を持たない
1-1)一番メジャーなものになります。使う側も兌換紙幣を使っているのと同じようなものですから安心です。テザー社は担保量に対する疑念が生じて信用を落としていますが、新設された会社は監査によって疑念を払しょくするようです。(毎月一定美に監査に入るという情報を得ていますが本当でしょうか?決まっていれば意味がない気がしますが。)
1-2)ETHを担保とするDAIが有名でしょう。野心的であると同時に私は不安を感じます。仮想通貨という分野が全体的に凋落した際に、担保が担保の役割を果たさないからです。唯一可能性があるとすれば、担保となる仮想通貨に対するオプションや為替予約を行える場合です。
2)金融政策をプログラムで行う非情に野心的なプロジェクトです。私は個人的に応援しますが、対応する中央銀行の金融政策の後追いをしなくてはいけません。また、プログラムは所詮、人のやっていることのうち定型化できることを言語化しただけです。職人芸ともいわれる金融政策をどこまでプログラムでできるのか?ペッグすること自体が発行量を調整するという非常に難易度の高い仕事です。できればすごい、というプロジェクトだと思います。
この中で私企業が簡単に作ることができるのは1-1)になります。GUSD等もこのタイプになります。
さて、ステーブルコインの使途に関し、私の考えを示しておきたいと思います。
大きく二つです。
1)仮想通貨取引における利確用
2)仮想通貨を使う上でのマイクロペイメント用
1)はご想像通りです。CEXで仮想通貨を利確、しかし他の投資案件に投じるまでもなくそこの取引所に置いてはおきたい。仮想通貨の投資用資金として移動させたくない場合、特にDEXで意味がある使途になります。CEXの場合ですとFIATと仮想通貨のペアは目立ちますので、大きな取引(今回の場合利確)はあまり好ましくないのかもしれませんし、利確をするにしてもFIATペアとステーブルコインペア双方で行った方が相場を崩さずに行えそうです。
2)これには説明が必要です。まずそこの説明からします。
BTCにおいて、考え方の違いからBCHが生まれました。その一つがマイクロペイメントに対する解決策で、BTCはLNという技術を使い、BCHはビッグブロックという解決策で進めています。
LNでは1ピクセルの画像描画に対して1satoshi支払う等という事ができます。これにより「サービスの最小単位で、P2Pでのリアルタイム決済を行う事」が可能になります。LN上での決済はオフチェーンですが、決済なのですね。
(IoT関連の決済にも利用されるはずです。IOTA辺りのDAGを利用したものとの兼ね合いが気になりますが)
サービス料金を先払いにすると利用者側が不利益を被る可能性がありますし、後払いにするとサービス提供者が不利益を被る可能性があります。
第三者を介しない、リアルタイムの決済ができるという点で非常に優れた技術になります。
では、泣き所がないかというとそうではないと思います。
企業は属地主義か属人主義かは国に依りますが、どこかで税金を支払わなくてはならないはずです。それはFIATで行われるはずです。国が自らの力を弱めるようなことはしないからです。たとえ仮想通貨払いでの税金支払いが認められるようなことがあったとしても、それは、「70万円払ってほしいから1BTC払いなさい」という要求になるはずで「あなたの税金は1BTCだから1BTC払いなさい」ではないわけです。その意味で、現在の小売店が受け入れている仮想通貨払いの考えに近い。
その考えが引き続き残るとすれば、LNでBTCによって支払うというのはまずいです。
なぜなら、受け取ったサービスの対価が変動する可能性が高いからです。
LNはいわゆるバッチ処理です。多くの取引をまとめてブロックチェーンに書き込みます。その為取引をまとめればまとめるほど、LNは威力を発揮します。これは実際にブロックチェーンに書き込まれる間隔が長くなること=仮想通貨の変動が大きくなる(読めなくなる)ことを意味します。
なので、為替予約やオプションなどのデリバティブが必要になるなぁ、というのが私の考えです。
一方で、ビッグブロックはオンチェーンで動かすことを前提としているので、環境の変化に依存せず(金融商品の発展を待たず)現状に即した解決策と言えると思います。
なるほど、と。そろそろ安定通貨に戻ってくれないか、と。
そうですね。そうしましょう。
上記のLNはとっても良さそうですが、確かにLN上で流れる仮想通貨のFIAT建てでの価格変動がネックになるな、という点はご理解いただけたかと思います。
BTCでもらっても最終的に納める税金がFIATで変わりなくなるだろうから、だったらFIATが欲しいよね、と。(将来的には仕入れ先も従業員への給与さえも仮想通貨払いになる可能性はあると思います。しかし、どこまで行っても税金はFIATだと思うのです)
ステーブルコインでLNを実装出来たら、それは上記の泣き所をカバーする素晴らしいアイデアだと思いませんか?
私はこのように発展すると、とても良いなぁと思うのですね。
その場合、日本でWEBサービスを提供して日本円ペッグのステーブルコインを利用して世界中の人が「サービスの最小単位で、P2Pでのリアルタイム決済を行う事」になります。
この問題点と解決案は、サービス提供者が欲しい価値を担保するだけの価値の移転が欲しい、と抽象化することが可能です。なので、現実には上記で述べた「為替予約やオプションなどのデリバティブ」という方向で解決されるかもしれません。
最後に私の大きな関心ごとであるCBDCについて述べておきたいと思います。
CBDCは、中央銀行が発行するデジタルコインの事です。
CBCCと書かれる場合、CCはクリプトカレンシーを意味するのでそれは仮想通貨になります。
DCの場合は必ずしも仮想通貨ではないというのが私の理解です。
さて。
ある日本企業がステーブルコインを出しまして、あるメディアでインタビューに答えていました。
「金融機関が発行するから信用がある」
ふむ、無いとは言いません。私が発行するより信用があるでしょう。
MUFJ銀行はMUFJコインをcoinと改称しました。みずほなどのJコインはブロックチェーンに乗っていません。金融機関が出したステーブルコインです。使ってもよさそうな感じはありますね。
また、YAHOOや楽天など、仮想通貨取引所を買収したところはきっとBNBのような独自トークンを作るのではないかと私は考えます。
仮想通貨取引所での使途だけでなく、おそらくショッピングモール等のYAHOO経済圏、楽天経済圏で使えるものに設計することでしょう。仮想通貨が価値を発揮するのはたくさん利用されるからでそれにはネットワーク効果を利用するための使途が必要です。それぞれの経済圏でストレスレスに利用するにはステーブルコインであることが必要だと思うのです。(ポイントなどは統合されると思います)大企業が出したステーブルコインです。使ってもよさそうな感じはありますね。
いかがでしょう、金融機関が出しているもの、大企業が出しているものは信用がありそうです。
では、政府が発行するCBDCより信用があるかと言われると、どう答えますでしょうか?「日本銀行がCBDCを発行するよ」と言ったら、どのステーブルコインを使いますか?
私は、政府の信用があるのであれば、CBDCより強いステーブルコインはないと思うのです。なぜなら、金融機関はその政府の規制に則って業務を行っているからです。政府はいくらでも政府が良いようにできる、ルールメイカーなのです。
私企業が勝てる点は、設計力だと思います。CBDCが発行されるとしたらそれを超える機能を持ち合わせたものを作ることになります。自社の経済圏で使う場合にはCBDCを自社のステーブルコインに両替するというのも一つの設計上の工夫でしょう。
政府の信用が無い状態、ペトロを発行したベネズエラのような状態ではFIATにペッグしてもしょうがないので米ドルペッグのステーブルコインや、その他のそれこそDASHなどの仮想通貨が利用されるのだと思います。
CBDCにもソブリンリスクはあります。
2018/10/23のニュースでは日本銀行の偉い人がCBDCについて語っていました。
大事な事は、そして私も大いに賛同するのが、現金はなくならないという事です。これは2018年夏に起きた北海道の災害でも実証されました。電気が通じていない場合、クレカや電子マネーは役に立たないのです。避難用具には現金が必要です。
そして、現状ではCBDCの発行を検討していないとのこと。これは、キャッシュレス化を目指しつつも、JPY経済圏を堅持する、仮想通貨側に歩み寄らない姿勢だと私は思いました。
実際、CBDCを発行すると、中央銀行以外の銀行が存在する意味がなくなり信用創造ができなくなります。これは数か月前BISでも指摘されていたことです。
信用創造とは、
ある人が得た賃金を銀行に預けます。
それはきっと全額引き出されることはないので、少しだけ残して、後は銀行は貸し出します。そのような事が繰り返され、流通する枚数が発行枚数より増える事を言います。銀行はその信用力によって、お金を生み出しているともいえるのです。
日本銀行は、他の銀行がつぶれては困るのだと思います。
そしてそれは、国債とJPYの引受先が欲しいからなのではないかなぁと思料する次第です。
ではでは
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