最近これが目に付いてしまいました。
オリラジの中田氏。彼はオンラインサロンを立ち上げたりしていて、もはや半分以上ネットの人な訳ではありますが、誰が何をしても何かしら言われてしまう。それが学問的に研究されている領域であれば、ちょっと言いたくなるのもまぁ頷けるか。
ここでちょっとバズった宇佐美典也氏のツイートを引用しておきたい。このツイートを拝見するまで存じ上げなかったのだが、東大卒でいくつもの著書がある方のようだった。
ご自身でもツイートしていたのだが、端的には以下のようなことだ。
しかしながら、宇佐美氏の指摘は「まぁ、確かに」と思う点も多々あるのでこれを機会にちょっと考えてみた。ちなみに、私は東大ではなく慶應の側です。
慶應という一括りで指摘されたもんだから、自分も何か言いたくなってしまうけど。宇佐美氏が以下のように指摘するのは、東大生の守りの姿勢というか、間違いを嫌う姿勢というのが見て取れるし、「中田さんみたいな動画の上げ方」とは仰るが、つまりは新しいことには挑戦しませんと宣言しているようではないかと思う。
そもそも学問的な正しさが気になる人は中田さんみたいな動画の上げ方は学者の顔がちらついて絶対できないから
まぁいいや。
本文にはって行くと、細かく分析するには時間も能力もないのでザックリした話にはなりますが、中田さんのやっていることはテレビそのままです。テロップの使い方、セリフの抑揚の付け方、編集のやり方然り。
彼はそつなく何でもこなせる賢い人であろうから、手伝ってくれる人が数人いれば(オンラインサロンの仲間が手伝っているようだ)これくらい作るのは造作もないことだろう。
しかしながら、動画の体裁をテレビっぽく整えるのと、放送する中身(コンテンツ)を精査することは全く別物ではある。中田さんが指摘されているのは以下のようなことだ。
一部引用すると
しかし、最近では動画で話している内容に間違いがあるとの指摘も出てきている。たとえば、イスラム思想研究者の飯山陽氏はツイッターにて、「最近人々が『中田敦彦のYouTube大学』なるもので『教養』を身につけているらしいと聞いたので、イスラム教の『解説』なるものを聞いてみたら、実に酷かった。宗教の知識として不正確であるということを、誰かが指摘する必要があると思う」と投稿。さらに、具体的な間違いも指摘している。
中田さんは経済学部卒だからイスラム史、あるいは宗教史を研究していた訳ではない。もしかしたら、一般教養科目で学んだかもしれないし、社会人になってから学び直した可能性もあるが、専門的に研究したプロではないことは確かである。
広告の仕事をしていると、いわゆる「No.1表現」や健康食品や医薬品に関係する「薬事法」など、注意を払わなければならない事柄がとても多くて確認に膨大な時間を要することが多々ある。それくらい、世の中に何かを発表するというのは非常にセンシティブである。
中田さんはその辺、よく言えば柔軟。悪く言えば適当。ネットなんだから間違ったら訂正すればいいじゃん、という風に考えているかもしれない。その考えは強ち間違いではないとは思うから、間違っていることを指摘されたら訂正してくれればいいと思う。
天下の全国紙だって記事に誤りがあれば訂正記事を出すし(あまり出さないようだけど)、誤りを出してしまうこと自体には大きな問題ではないと思うのは私だけだろうか。
中田さんの周囲の人(特にオンラインサロンの人?)が学者や研究者に対して「アホだ」なんだと言ってしまうのは間違いだと思うが、この取り組みを潰すのか活かすのか、世間はどう対応するのだろうか?
ちなみにテレビにはBPO(放送倫理・番組向上機構)という組織が存在する。存在意義としては以下のようなものだ。
放送における言論・表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理の問題に対応する、第三者の機関です。
主に、視聴者などから問題があると指摘された番組・放送を検証して、放送界全体、あるいは特定の局に意見や見解を伝え、一般にも公表し、放送界の自律と放送の質の向上を促します。
昨今、有象無象の教養系番組が地上波に溢れているのも中田さんの背中を押した要因ではあるだろう。番組を観るだけで視聴者が「ちょっと賢くなった気になる」というのがウケ過ぎているのかもしれない。
中田さんにはポスト・テレビの時代を見せて欲しいと思うのは私だけだろうか?結局いまやっていることは地上波の番組の焼き直しでしかない。
地上波の番組をそのままネットに持ってくるには、専門家に裏取りしたりして正しく正確に伝えるための努力が割に合わない可能性がある。
いまのテレビが面白くないというのは多くの視聴者が思っていることだろうけど、単にネットで芸能人がテレビと同じことをするのを求めているのではないことは確かだろう。
中田さんはホリエモンとかNewspicks界隈との付き合いも深いようだから、組織を作って番組制作をしたらどうだろうか?それってつまりテレビじゃん!ってことではあるんだけど、総務省からの免許に依存しないテレビではあるから、地上波よりは面白いことが出来ると思うんだが。
宇佐美氏が指摘するような「慶應的」とか「東大的」とかそんな分類ではなくて、こういった非専門家、非研究者がネット上で多くのコンテンツを出す流れというのは止められないし、たまたま中田さんが間違った情報流して炎上したけど、それを「専門家以外しゃべるな!」と言ってブレーキ掛けさせるのか、コメント欄を公開している訳だからそこに淡々と誤っている内容を指摘したりするとか、もうちょっと建設的な流れになっていけばいいのにと思う次第です。
私はポスト・テレビの時代がどうなるのか、とても楽しみなので、良いモノは良い、悪いモノは悪い、と冷静に見て指摘できればいいなと思います。