アルファベットの読みでずっと気になっていたことがあります。それは W をダブルと読むことです。
例えば「Wチャンス」などという表記があります。「W受賞」などとも書きます。昔は「Wヤング」とか「Wけんじ」などという名前の漫才師もいました。
でも W は double ではないでしょう? double はダブルで W はダブリューじゃないですか?
double の意味で W と書いたり、W と書いてダブルと読ませたりするのは如何なものでしょう?
調べてみると、これはやっぱり日本独特の書き方らしく、欧米では double を略するのに W などという表記は使わないようなのです。
なんで日本では、いつからこんなことになってしまったんでしょうね? これってやっぱり日本人が一般に英語が苦手だということと関係があるんでしょうか?
意味的には関係のない W と double が、発音が似ているからと言ってごっちゃになってしまったってひどくないですか?
そう言えば日本人の中には、アルファベットを読む時にも、ヴィ・ダブリュー・エックスではなく、ブイ・ダブル・エックスって発音している人がいるじゃないですか。何と情けない!
そんなことを考えていたときにふと目にしたのが、W の読み方の語源は double U だという説でした。これには少し驚きました。つまり、W と double は意味的に関係がないのではなかったのだということです。
U が2つでダブル・ユー、それがいつの間にかダブリューになったのです。
しかし、ちょっと待てよ。W の形からしたら U が2つでダブル・ユーではなくて、V が2つでダブル・ヴィではないのでしょうか?
なんかおかしくない?と思って Wiki で調べてみたら、なんとフランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語などのロマンス系言語では W は「二重のV」の名で呼ばれているとのこと。つまり、英語がおかしいということ?
もっと読み進むと、ラテン語には W の音を表す字がなく V でその音を表していたが、V という字はほかにもいろんな音を表しており、ややこしいので W の音のときは V を2つ重ねて表すことになり、やがてそれが文字 W として独立したのだと書いてあります。
で、上で「V という字はほかにもいろんな音を表しており」と書きましたが、例えば U の音も V で表していたのだそうです。古代アルファベットには J も U も W もなかったのだそうです。
それでふと思い当たりました。
なるほど、それでブルガリはああいう綴り(BVLGARI)なんですね! 思わぬ所で長年の疑問が解けました。
そして、U と V は同じだったのでダブル・ユーでもダブル・ヴィでも同じだったわけです。英語がおかしいという言い方は正しくないようです。
となるとおかしいのは日本語だけでしょうか。いや、ここまで書いてきて、話があっちこっちに行き過ぎて、そもそも何を書いていたのか分からなくなってきました(笑)
W をダブルと読ませるのは日本語だけのようですが、一文字で「倍の」「二重の」「ダブってる」などの意味を表すのはむしろ日本語のすぐれた知恵/工夫であると言えるのかもしれません。
「ダブってる」などと書きましたが、「ル」で終わる英単語をこんな風に活用語尾をつけて動詞にする(「トラブる」とか「ググる」とか)のも、日本語独特の柔軟性であるようにも思います。
しかし、「ダブる」とは言うけれど「トリプる」とか「マルチプる」とか言わないのは何故なのでしょうか?
それもググってみましょうか(笑)