ここ1年でオンラインサロンに代表されるコミュニティの重要性が日本のマーケティングの世界では非常に重要視されてきた。
そのもう少し前から、衆目を集めるような「バズる」マーケティングについては、Web上に情報での情報が増えすぎた現状を鑑みると、余りに印象に残らない。
ブランドというか、ファンとのコミュニケーションが重要だという視点でよなよなエールのような従来のブランディングより一段深いユーザーとの関係性の構築が注目されてきた。
一般的にもコミュニティが重要視されてきていたが、仮想通貨の世界でより明確にこのコミュニティは「必須だ」という文脈で語られる事が多い。
コミュニティなのか宗教なのか推しなのか、見方や言い方が判断が難しい所もあるが、元々「リップラー」「ネムラー」「モナコイナー」と言ったようにそれぞれのコイン毎にコミュニティ自体は形成されてきた背景もある。
ここでは敢えてタイトルに入れたように、直近1年で形成されてきたコミュニティ、ALISやNANJについて考えていきたい。
ちなみに、コイン相場1周年記念祭と称してイベントをやるのだけど、両者共お招きしているので、実際の所は直接お話して頂きたい。
(これは宣伝で恐縮です)
そもそもここまで格好付けた口調で話してきたが、簡単に言うと、コイン相場にはあんなALISやNANJのような強いコミュニティは無い。
ちょっと羨ましいよなー、何が違うんだろう、ちょっと分析してみよう、が本音だ。
最初から答えを出してしまおう。前田祐二『人生の勝算』の中にコミュニティが深まる5つの要素というのが既に書かれている。
今更説明不要かもしれないが、彼は、Showroomというアイドル動画配信サイトを運営している。
それこそ、その中で新たなアイドルに対して新たなコミュニティ・ファンがついていく現場を幾つも見ている。
その5つが下記だ。
1. 余白があること
2. クローズドの空間で常連客ができること
3. 仮想敵を作ること
4. 秘密やコンテクスト、共通言語を共有すること
5. 共通目的やベクトルを持つこと
参考:
この中で、
1. 余白があること
5. 共通目的やベクトルを持つこと
の2つは、まずトークンによる資金調達があり、そこからプロダクトを作っていくという過程の中で非常に効きやすい2つの要素だ。
むしろ、コイン相場や、他の既存のIT系のスタートアップは、
「プロダクトで語れよ」
「まず、プロトタイプ作って数字だせよ」
という固定観念や風潮やVCからの圧力がある。
余白じゃなくて答えを出さなくては行けないし、共通目標は株価の最大化だ。
良きにせよ悪きにせよここから始めなくてはいけない。
以前、ALISの方が「我々は何も無い所から始めた地下アイドルのような状態だった」と言っていたが、最初は本当に何も無かったのだろう。
NANJにしても後から見れば伝説だか、掲示板の中から生まれた集団だ。
このような背景を持たない普通のスタートアップは、相当この部分を練り込まないと簡単にはコミュニティは出来ない。
α版やβ版からユーザーに参加して貰って・・・なんていうなんちゃって余白で作り出せるほど簡単なものでは無い。
2. クローズドの空間で常連客ができること
3. 仮想敵を作ること
クローズドな空間に関しては、DiscordやSlack、Telegramがある現代ではそこまで大きな障壁にならない。
一方で、仮想敵を作っているのかは、判断が難しい所だ。
むしろ、彼らの後追い組はこの要素を大いに使ったのかもしれないが、今回の2つに関してはそこまで気にしていないのかもしれない。
ただ、あるとすれば、ALISは「仮想通貨やICOは詐欺だ」と散々いった世間一般の目線こそが仮想敵であったかもしれないし。
NANJに関しては、仮想通貨界隈でもICOでも無い所から出てきたプロジェクトである分、当時の仮想通貨の民こそが仮想敵であった可能性はある。
4. 秘密やコンテクスト、共通言語を共有すること
このコンテクストの部分がある意味で、運営陣のキャラクターこそがコンテクストになり、共通言語を産んでいった部分は最も羨ましい部分だ。
意図的にか、両プロジェクトのCXOクラスは全員前に出しており、(単純にそれしか人数が最初はいなかったからというのはあるかもしれないが)そこにキャラクターがきっちり付いていった。
この部分の空気感であり、ある意味でコミュニティのカルチャーを作るのは、とても上手かった。
うん、単に本にあった5つの要素を当てはめてみただけの程度の低い記事だってことなんだけど。
自分自身も含めて、そもそも原則の部分をちゃんと考えないままコミュニティ運営やろうとか、どこかを真似して・・・みたいなプロジェクトや会社は非常に多い気がする。
偶然や必然も重なっているけど、やっぱりコミュニティが出来ている所はそれ相応に設計は上手。
どこか一部分だけ真似てみても、やはり中期、長期的に上手く行こと無いだろうという反省と備忘録というのが主な目的。
あとは誰かの参考になればいいな位の話だったわけだ。