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本質的価値と付加価値の使用例をエラリー・クイーンの著書でも学ぶ

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  • 2024/06/19 02:25

今回は、以前に書いた「本質的価値と付加価値」について。

文学作品の本質的価値とは教養的なもので、情報の一つです。

また、付加価値として「誰が言ったか」「どういう表現で言ったか」というものが含まれており、その付加価値を使って入試問題などが作成できます。

なお、経済で言う価値とは付加価値であり、かつ「お金に換わるもの」のみが対象となるわけですが、国内で新たに生産されたモノやサービスの付加価値の合計額がGDPです(つまり、お金に換えられない価値あるものはGDPに含まれないので、指標としては不十分ではないか、という話も出てきています)。

そういったところで最近、昔、読んだ本を思い出しました。

『世界傑作推理12選&ONE (光文社文庫) 文庫 – 1986/11/20 エラリー クイーン (編集), 新庄 哲夫 (翻訳)』です。

Amazon様にリンクさせて頂きました。

今でもですが、その当時絶大な人気を誇っていた作家、エラリー・クイーン先生が選んだ短編集です。

選んだ短編は12作品ですが、エラリー・クイーン先生が書かれた作品が一つ追加されていまして、それがタイトルに含まれている「&ONE」です。

この作品集の中で私が覚えているのは一つだけです。

その作品が、ジョー・ゴアズ先生の『ダール  アイ  ラブ  ユ (原題:Darl I Luv U)』です。

いや、どれも素晴らしい作品でしたよ?

読んだ時は本当にそう思ったのですが、この作品が私にとってはあまりにも衝撃的だったため、他の作品は全部忘れてしまいました。

以下、ネタばれです(ネタばれしないと話が進まないので)。

~~~ここから~~~

ある男が残業でテレックスの送信をする作業をしてましたが、その送信先の女性を好きになります。

送信先の女性も好意を持ってくれたようで、その男に「ダール  アイ  ラブ  ユ」というメッセージをくれます。

(「ダール  アイ  ラブ  ユ」とは「Darling, I love you」のテレックス用語です。テレックスは文字数で通信費用が発生するので、短くするための用語がありました)

この男は上司や会社の愚痴を散々彼女に言っていたのですが、その彼女が「だったら○しちゃえば?」と言い出しました。

最終的にその彼女に唆されて本当に○してしまった男は、遠路を厭わず彼女に会いに行きます。

扉を開けると、その部屋には誰もいません。

ただ、テレックスの機械が動いており、どこかへ自動送信しています。

その文章には見覚えがありました。

そう、彼女です。

男はテレックスという機械に唆されて殺人という罪を犯してまったのです。

それに気付いた男は叫びながら、そのテレックスを破壊しようとしました……ら、警備員が駆け付けて男を拘束し、引き摺って行きました。

再び無人になったその部屋で、テレックスが打刻します。

「ダール  アイ  ラブ  ユ」(←ここで話が終了)

~~~ここまで~~~

私の筆力では上手く伝えることはできない、というのもあるでしょうし、それとあと、好みというものもあるでしょうけども。

当時、中学生(多分)だった私には衝撃でした。

「えーっ?!

真犯人は……テレックス?!」

テレックスは、電話にタイプライターが付いたような通信機器でした。

FAXなら文字だけでなく図や画像も送信できますが、テレックスは文字だけ。

この話は今だと、テレックスではなくAIで、誰もが概ね思いつきそうな内容ではありますけれども。

あの当時のテレックスは原始的で、もっと装置感の強いものでした。

もちろん高性能のテレックスだと、そんなに装置感はなかったかもしれませんが。

真犯人が人じゃなくて通信機器でした……って、怖すぎる……と、当時の私は思ったわけです。

今時の話では「ありがちやん!」となるでしょうが、これからAIに唆されて犯罪する人は出てきそうだし、かなりシャレならんような時代になった気がします。

彼女のために罪を犯したのに、彼女はAIなので存在しない……って。

……って、これを書いている私も実は、AIやったりして……。

……しかも、自分がAIやのに気付いていなかったりして……。

というわけで、長くなりましたけれども。

ジョー・ゴアズ先生はアメリカでは著名な作家さんのようですが、その当時の日本ではやはりエラリー・クイーン先生の人気には遥かに及びません。

なので、ジョー・ゴアズ先生のお名前で出された短編集の中にこの作品があったとしても、私の目に触れることは多分、一生なかったと思います。

母親がエラリー・クイーン先生の大ファンで、先生の選んだ作品だからきっと良いだろうと考えて買い、その本が家にあったからヒマだから……で、私が手に取って読む機会を得たというわけですから。

つまり「エラリー・クイーン先生が選んだ」という付加価値によって、私はこの作品を読むことができたと、ここで書きたかったのはそれだけだったりします。

えっ?

それだけですか?

はい、それだけです。

いや、夜中にふと思い出して、眠れなくなったと……それだけですが何か。

皆さんに愛を込めて。

「ダール  アイ  ラブ  ユ」(←いや、怖いし。いろんな意味で)

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