前回の記事で、日本は主要先進7カ国の中で最も自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)が高いことに触れていましたが。
実はこの中での第二位がフランスでした。
前回はいのち支える自殺対策推進センター様のこちらのページからグラフを頂きましたが、そのグラフを加工し再度貼らせて頂きます。
これは何故なのでしょうか?
そのヒントは『過ぎたるは猶及ばざるが如し』という諺にあります。
というわけで、答えは「日本と真逆の理由で生き辛い国だから」です。
(……と私は考えております)
何がどう真逆なのか?
それについては、以下の図をご覧ください。
図の中にも書き加えましたが、フランスの首都パリにはラグジュアリー世界一であるLVMHの本部があります。
またパリは古くから、花の都または芸術の都などと呼ばれてきました。
いや、素晴らしいですねー、パリ。
しかしこう言っちゃーなんですけれども、花も芸術も、生きていく上で必要不可欠なものではありません。
その国民性は「集団よりも個人」「額に汗して働くよりも幸せに生きる」などということを重視する傾向があるそうです。
日本では「忙しい」のは「自分は会社に必要とされている人材である」という自慢であり、昔は残業時間を自慢し合っている人を見るのは珍しくありませんでした。
逆にフランスでは「充実した人生を送っている=バカンスが充実している」のが自慢になるそうです。
そこでバカンスが充実している証しとして日焼けがステータスとなっており、日焼けサロンに通う人もたくさんいるそうです。
ぶっちゃけ無能な労働者である私にとっての日本は生き辛い国だとは思うのですけれども、さりとてフランスのような、行きたくもないバカンスに行くかまたは日焼けサロンとやらに通わにゃならん国っていうのも、これまた辛いものがあります。
(参考までに以下の記事もどうぞ。
要するに「バカンスが充実していることは充実した人生でかつ裕福であることの証しであり、さらにバカンスが充実していることの証しが日焼けをしていること」だという話ですけれども。
日本では色白であることが美人の条件とされてきましたが、これも「外で農作業をする必要のないお嬢様=裕福な家の女性だから」という理由から来るものでした)
これが日本だと「バカンスに行けるということは、会社からあんまり必要とされていないダメな人材ということじゃないか」とバカにされそうです。
というわけで、日本では「仕事で優秀であること(=皆の役に立つこと)」が良いとされますが、フランスでは「プライベートが充実していること(=幸せに生きていること)」が良いとされているのです。
となりますと、仕事が忙しくバカンスにも行けず日焼けサロンに通う暇のない人がバカにされるということは、真面目に働く人がより少なくなってフランス大丈夫か状態になるのでは……と思ったら、近年はそのようになってきたらしく……
……上記のような記事も出てきました。
また、以前私はひきこもりについて、フランス人はひきこもりを苦にしない傾向があると書いたことがありましたが。
その時に以下の記事を引用していました。
上記リンク先の記事では「(ひきこもりを)本人の生き方として肯定的にとらえ、そこから何かポジティブなものを見いだそうと考える傾向があります」と書かれています。
ただしこれは良いことだけではなく、それ故「問題として提起されるのが遅れ、大きな問題となってから発見された」という別の記事も拝読したことがあります(確か有料の記事だったと思うのでリンクはしませんでした)。
そしてそのような大きな問題となった今は、当の若者本人の中にも苦にする人が出てきているようです。
それとこのひきこもりにおいても「日本人とフランス人では真逆である」と主張する記事もありました。
該当部分を引用させて頂きます。
アジア、特に日本では、集団生活のルールを無視する個人は、心理学的な見地から機能不全ないしは病的であるとされる。
いっぽう西洋、特にフランスでは、集団に頼らず一人で社会と戦うことができない個人は、機能不全ないしは病的であると考えられている。
「こいつは周囲に気を配るから病気だ」
とフランスで見なされる者は、日本では完全に健康な者であると判断されるかもしれない。
また、逆に日本では、個人主義的で自立しすぎているから病気だと見なされる者は、フランスでは完全に健康だと判断されるかもしれない。
それとあと、コロナ禍による死者がフランスで多く出た理由の一つに、個人主義が挙げられるそうです。
外出を制限しようとする政府に対して「束縛するのはけしからん、それは個人の自由ではないか」と言って、言う通りにしなかった国民がたくさんいたとのこと。
というわけで結論は『過ぎたるは猶及ばざるが如し』です。
既に上で書いていましたけれども。