前回の記事(というかメモ)をまとめると以下の会話になりますが。
「何で、教えてくれなかったんだー!」
「いや、知らないから仕方ないよね?」
というので思い出したのが、今回の蒸気機関の話です。
イギリスで起きた産業革命時に発明されたものですね。
私が高校生の頃、世界史で出題頻度の高い以下の正誤問題がありました。
・ワットが発明した蒸気機関は、幅広く活用された
これは○か×かと言いますと、答えは「×」です。
蒸気機関そのものを発明したのは、ニューコメンという人です。
ワットはこの蒸気機関を、ものすごーく改良した人なんですね。
で、当時の私は疑問を持ったわけです。
「何故、発明したニューコメンではなくワットか問われるのか?」
そこで高校の社会科教師だった母親に質問……する前に、先生にしました。
その先生は若い男性で、冗談や雑談の好きな先生でした。
なので、ニヤニヤ笑いながら以下のように答えました。
「そりゃー、みんなが引っかかるからに決まっとるやろー」
ま、そりゃそうーですけども。
かなり真面目に理由が聞きたかった私は、ちょっと切れ気味に反論しました。
「先生すみません、この後に数学の先生に別の質問をしたいので(嘘)、冗談はほどほどにして、本当の答えを教えてください」
すると先生は、以下のように答えてくださいました。
「いや、冗談やのーて、世の中ってそんなもんなんやけどなー。まぁ、ええわ」
「要するに、ワットの改良した蒸気機関の方があまりにも性能が良かったから、つまりワットの改良した度合いがあまりにも大きかったから、発明したニューコメンよりも功績があるとされたと、だからワットの方が問題として問われるようになったと、こういうわけやね」
で、私はなおも食い下がって聞きました。
「先生、それはどういうところが改良されたんですか?」
そしたら先生は「それは世界史ではなくて、理系の話になるわなぁー(だから、そこまで知らなくても良い的なニュアンスで)」と答えました。
私は素直にここで引き下がり、後で母親に同じ質問をすることにしました。
というわけで、先に私が欲しかった答えの前半部分を書いておきます。
・ワットの改良した蒸気機関は円運動のものだった
もっと細かく言えば「ニューコメンの発明した蒸気機関は上下運動のものだったが、ワットはこれを円運動のものに改良した」というものです。
さらに細かいことを言えば、ワットは円運動の蒸気機関を開発する前に、上下運動の動きのままでも飛躍的な改良をしていたとのことです。
参考までに、エコニュース様のこの記事より以下の画像をお借りしました(リンク先の記事内に動作のわかりやすい説明がありますので、是非)。
上記の画像を補足します。
必要なのは「蒸気でピストンを上げて、それが上がりきったら水を噴射して蒸気を水に戻して真空状態にし、ピストンを下げる」という動作ですが。
ニューコメンの蒸気機関は復水器とシリンダーが一体化しているため(シリンダー内の)温度が下げられますので、再度その温度を上げる必要があります。
ワットは一体化していたそれらを分けることで、シリンダー内の温度を下げないようにしました。
この蒸気機関は石炭を掘り出す鉱山で使われるもので、地下水が染み出して採掘が止まるということがあったので、その水を排出させるため(に、上下運動で汲み上げる)のものでした。
シリンダーを温めるためにその石炭を使うのですが、それがかなりの量だったので、石炭を掘り出しているのに、その石炭をここでいっぱい使うって何でやねーんという状態だったそうです。
それでシリンダーの温度を下げないようにしたワットの改良は、かなりありがたいものだったようです。
いや、これだけでも十分すごいことです(実際にエコと言う点で非常に優れているので、エコニュース様はこちらを掲載しています)。
ただし、世界史の試験問題で問われるすごい改良とは、その後の「円運動の蒸気機関を発明したこと」によるものです。
円運動にすることによってその結果、多大な功績となるわけで……というか、もしかして皆さんはもうご存じかもですが、一応。
以下の理由です。
・交通革命を起こすことができた
これをもう少し細かく言いますと、蒸気機関が円運動になったことで、それを蒸気機関車や蒸気船に応用することができたわけで。
その結果、従来の人力や馬車による輸送から、安くて速い大量輸送が可能になり、この結果、工場で使う原材料や製造した商品の輸送に大活躍します。
さらに交通以外でも、紡績や織機の動力源を動かすことなどにも使われ、産業革命を牽引しました。
「な、なななんだってぇええええーーーっ!!!」
「何で、教えてくれへんねぇええーーーん!!!」
これですよこれ。
まさしくこれが、私が欲しかった答えです。
だから蒸気機関を発明したニューコメンではなく、改良したワットの方が問われることになるわけですよね。
彼の改良した円運動をする蒸気機関が、人類に多大なる貢献をしたからです。
同じ質問を私は母にもしてみましたが、結果としては先生と同じ答えでした。
「ああ、それは間違いやすいからね」
お母さん、冗談は……って、何故に真顔???
しかし、あれから長い長い時間が経ちました。
これは恐らく、昔の話でしょう。
今はちゃんと教えていますよね?
いや、教えなやばくないですか?
まさか今でも「引っかかるヤツが多いからやー」って、ことはないですよね?
というわけで、交通革命によって安くて速い大量輸送が可能になったわけだから、工業製品もだけど食糧なんかの輸送も捗るわけだから、餓死する人もあっという間に激減したのでは???
……と、思いきや、そうはならなかったんですよね。
ここら辺の話にもご興味ある方は、次の記事もどうぞ。