大都会の街角。行き交う人が足早に通り過ぎる夕暮れ。
その一角に小さな声が響いていた。
「マスクはいりませんか? マスクはいかが?」
なんだろうと、僕は声の方に目を向けた。
そこには…。
新型コロナウイルス流行にて政府の緊急事態宣言が大阪にも出ています。
しかし僕はテレワークができない仕事のため、通常通り出勤。
時は2020年4月14日夕暮れ。
いつもより早く仕事を切り上げて、帰路についています。
JR大阪駅、大阪ステーションシティアトリウム広場。
だいぶ日が長くなって、夕日に照らされています。
それにしても、行き交う人が少ないですね。
この広場の左右にある大規模商業施設のルクアも全面休業。
そんな中、梅田のヨドバシカメラだけは粘ってオープンしているはず?
と行ってみると。
ついに、この日からヨドバシカメラも臨時休業となりました。
インターネットで購入した物の引き渡し業務だけは続けているとのこと。
次から次へと人がやってきて、休業の張り紙を見ては踵を返してゆきます。
大阪駅付近は、これでほとんどお店が閉まってしまいました。
では、阪急梅田駅の方へ移動します。
ヨドバシカメラ前の、JR大阪駅と阪急梅田駅をつなぐ歩道橋を歩いていると…。
「マスクはいりませんか? マスクはいりませんか?」
と歩道橋でマスクを売っている人が!
えっ?
スーツとネクタイ姿、年配の真面目そうなおじさんが道行く人にマスクを売っているではないですか!
マスクは10枚で800円。10枚まとめてビニール袋に入っています。
こ、これはどういうこと??
ここは歩道橋なので商売には許可がいるはずですが、許可をとっているような感じではありません。
そもそも、どうしてここでマスクを売っているのだろう?
しかも、マスクを買っている人が時々いました。
このマスク売りのおじさんをしばし観察していたら、ふと通行人に声をかけられました。
僕に声をかけたのは日本語の流暢な西洋の方。
「あのおじさん、怪しいよね?」
「マスクも怪しい、誰かが使ったものかも知れない。」
「警察に連絡したほうがいいかな?」
僕はう~んと唸ったのですが、正直おじさんの姿に哀愁がありすぎて、
「警察に連絡するほどではないですかね…」と答えてしまいました。
その方は、少し納得いかなさそうにしながら去ってゆかれました。
その後もおじさんはマスクを売り続けていましたが、僕は帰路につきました。
どうして、あそこでスーツのおじさんがマスクを売っていたのかはわかりません。
想像では、マスクが足りて転売屋がネットなどで売れなくなってきて路上で販売したのかなとも思いますが、真偽は不明です。
怖いので、おじさんに直接聞くのもはばかられました。
このあたりを、マスコミに取材をしてほしいところです。
梅田スカイビルの向こうに日が沈みます。
このように、ここ梅田だけでも新型コロナウイルスが流行して緊急事態宣言が出てから大きく変わっています。
静かな混乱の真っ只中と感じます。
マスク売りのおじさんもその混乱が生み出したものでしょう。
でも、日は沈んでもまた明日には必ず昇ってきます。
その間は暗いですが、おとなしくしてウイルスの流行が収まるのを待ちたいものですね。
と、また明日も出勤だ!
Camera: Xiaomi Mi Mix 2S