第五十二段
仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ、心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、ただひとり、徒歩より詣でけり。
仁和寺にいる法師が、年をとるまで石清水を拝んだことがないことを気がかりにして、ある時、一人で歩いて参拝することにした。