※今回の内容は、何かの本やサイトで読んだ内容を、自分なりに咀嚼したものです。
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"will" も "be going to"も、未来を表す表現として、中学で習いましたが、実はニュアンスの明確な違いを知ったのは、ええオッサンになってからでした。
"be going to"の方には、高確率、決定事項、あるいはゆるぎない決意が含まれているようです。
では、私の好きな洋楽のタイトルや歌詞も例文にしながら、違いを考察していきたいと思います。
ここからの訳は、「映画や音楽番組の字幕で書くには字数が多すぎる」「英文和訳のテストだと模範解答よりは仰々しすぎる」と言うものになりますので、あらかじめご承知置きを。
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1.(単純)未来の場合
S will V → Sが(まあまあの確率で)Vするでしょう(確率の高い低いは副詞等で補う)
S be going to V → Sがほぼ確実にVするでしょう/(悪い事の場合)SがVするのは避けられない
Sを"It"、Vを動詞の"Rain"として、天気を例に取りたいと思います。
まず、
It will rain.
だと、天気予報の雨の予報のようなイメージになります。時間的にも少し先のことを、キャスターがスタジオからお知らせしている感じでしょうか。実際には「ときどき」とか「所により」とか、時間や場所の表現も付くんでしょうけど。
一方、
It is going to rain.
とすると、雨雲に覆われた空を見て「こりゃ降るな」、と思わず口から出たような感じですね。台風情報で見かけるような、港等の現場に居るレポーターが「もうまもなく振り出しそうです」としゃべってるような臨場感や切迫感が出ます。
ここで洋楽のタイトルを例文に出します。
You're Gonna Lose That Girl (The Beatles)
これをクドく訳すと「お前、今さらどうあがいたって、あの娘に逃げられるわ」みたいな感じでしょうか。"You will lose..."にすると、「もっとあの娘の事を大切にしないと」という条件が付いた上での「あの娘に逃げられるかもよ」と、まだ打つ手はある感が出ますね。
"will"は確率の高い低いには言及していない旨、このパートの冒頭で書きましたが、副詞で補ったパターンを見つけました。Heartの"Never"という曲の歌詞に
We will surely never get away
ってのがありました。"surely"によって確実性が高まっています。
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2.自分の意志(動作)の場合
はじめに説明しておきますが、本稿での「動作」とは、Vの動詞で行われる動きに、明確な始まりか終わり、もしくはその両方があるものとします。
また、このパートと次のパートでは、説明の展開をやりやすくするために、SをI(一人称単数主語)に固定します。
I will V → さて、これからVしますか(近い将来)/(条件が整ったら)Vはしたいな(近くない将来で、実現性は低くない)
(参考)I would V → 無理かもしれないけど、Vしたいなあ(実現性は低い、仮定法)
I am going to V → 雨が降ろうが槍が降ろうが、私はVするぞ(決意表明)
"I will"は、もう行う事が決まっていて、気持ちも(体も)そちらに向いているときに使われれば、先述の近い将来版のような訳がハマりそうです。ただし、実際に行動に移すかどうかは、また別の話です。
一方で、"I will"には、「今すぐに」という訳ではないけど「(If文等として付け加えた)条件が整ったら、これこれがしたいなあ」、という使い方もあります。
"I am going to"になると、「何がなんでも」感が強調されます。
"be going to"の例を、洋楽のタイトルで見つけました。1970年代に米国の女性R&Bシンガー、Ann Peeblesさんがリリースし、80年代に英国の男性シンガー、Paul Youngさんがカバーして、本家越えの大ヒットとなった曲のタイトルです。
I'm Gonna Tear Your Playhouse Down
"Playhouse"とは、恋人の浮気(現場、恋人の心を占める浮気相手の存在)の象徴で、しかも、歌詞内で"room by room"って言ってる位なので、「何股しとんねん」って状態です。その建物を、「浮気者のあなたが泣こうが喚こうが無条件に叩き壊してやる」という宣言です。
"I will"だと、「(今回は大目に見るけど、)今度浮気したら、ただでは置かない」という、浮気再発を防ぐための警告に使える言い回しになりますね。破壊用の鉄球を作動させるスイッチに手を置いた状態で、相手を見張っているのでしょうか。
もう一つ例を出すと、be動詞を(後述の)状態のニュアンスではなく、「(どこどこに)行く、もしくは滞在する」、という始まりや終わりが存在する動作のニュアンスで使っているケースもあります。The Proclaimersの大ヒット曲がまさにそれです。
I'm Gonna Be (500 Miles)
これも「たとえ500マイル離れても」的な、「星空の下のディスタンスも何のその」って感じがしますね。ただ、実際の歌詞を見てみると、”I would walk 500 miles"(実際には無理でも、君のためなら500マイル歩くつもりだ)と、何が何でも感がちょっと薄れてしまってるんですけどね。
最後に"be going to"がバンド名に含まれるケースを紹介します。
We've Got a Fuzzbox and We're Gonna Use It!!
「ファズボックスが手に入ったから、使い倒してやるぜ」という、ギター用エフェクター購入直後のテンションで思わず口から出た言葉をそのままバンド名にした、英国のおちゃめな女性達です。
「使う」という動作も1回こっきりではなくて、きっと繰り返しだと思ったので、「使い『倒して』」という訳にしてみました。
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3.自分の意志(状態)の場合
本稿での「状態」とは、be動詞、loveなどの、終わりが明確でない、特に感情に関する動詞を指すものといたします。
I will V → (過去はどうあれ)これからは、私はVだよ
I am going to V → 何があっても、私はVだよ???????
話の展開上、まず"be going to"から処理したいと思います。
実は、"be going to"と状態を表す動詞って、文法的にはOKかもしれないのですが、あまり見かける表現ではないんですよね。ある動作を始める直前の状態を表す"be going to"と、動作開始の概念が無い「状態の動詞」って、相性が良くないのでしょうか。それとも、「これから絶対に愛するぜ」みたいな内容は言葉にしなくても自明な事で、歌詞やセリフとしては陳腐なのでしょうか。
それでも、音源そのものは本稿執筆時点では聴いた事がないですが、これらを組み合わせた洋楽のタイトルを見つけました。
I'm Gonna Love You to the End (Jenny & Tyler)
"to the End"を付ける事で、以下の2つの効果がありそうです。
・"be going to"が持つ「決意」のニュアンスが、愛し「続ける事」を強調する
・終わりを明示する事で、愛する事に動作のイメージを付けて、"be going to"との親和性向上
そもそも、"will"の方が、状態を表す動詞と親和性が高いんじゃないか、と思えます。
まずは、"will"+動詞"love"の例文を紹介したいと思います。1970年代にDolly Partonがリリースし、後にWhitney Houstonが映画の主題歌として大ヒットさせた、あの曲です。
I Will Always Love You
"Will Always"が「これから+ずっと」ってイメージですね。
ちょっと脱線しますが、「これからずっとあなたを愛し続けます」という同じ意味を、もっと複雑な言い回しにしたタイトル曲名もあります。
I'll be loving you forever (New Kids On The Block)
文法的にはずっとチンプンカンプンだったのですが、最近ようやく解析できました。
'll: これからの意志を表す
be loving: 通常始まりも終わりもない動詞loveを進行形にする事により、愛する事を期間限定にしてしまう
forever: その期間が永遠である事を明示
回りくどさもありますが、結果「これからずっとあなたを愛し続けます」という意味になります。
次は、be動詞を使うケースの例です。私の大好きなバラード、Dan Fogelbergの"Longer"は、1コーラス目で"I've been in love with you"(ずっと君を愛し続けてきた)、 2コーラス目で"I am in love with you"(今も君を愛している)と来て、3コーラス目で「その先」を示しています。
I'll be in love with you
過去、現在というフリがあっての、「これからも君を愛します」という未来に続く流れができた訳です。
今まで好きじゃなかったけど、これから好きになるケースだと、"fall in love"が使えますね。"I'll fall in love with her"だと、(もしあの娘に〇〇されたら)「好きになるかも」「ドキドキするわ」みたいな、ある条件やシチュエーションを想定した、"if"付きの恋愛話になります。
ここで"will"の代わりに"be going to"を使うと、もっと真に迫った感じになります。リアルに女性と相対して、何か思わせぶりな態度を見せられた際に思わず、"I am going to fall in love with her"、すなわち...
惚れてまうやろ~!
となる訳です。
すいません。ここまでの長い話は、すべてこのオチの前フリです。
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以上、自分の中で肚落ちした話を書き連ねてみました。