昨日、包丁を取り出そうとしたらお豆腐が出てきました。本気でアルツハイマー検査受けようか考えているMALISことマリ、エネルギー政策専門家です。
さて、前回は"ビットコインの電力消費量はスイスより多い"は煽りすぎという意見を主張してみました。
今日は"ビットコインはVISAより45万倍電力使う"って本当なの?を検証したいと思います。
昨日ご紹介したDigiconomistのデータ、VISAとビットコインの電力消費量比較ですが↓↓↓
実はこのデータ、いくつか欠陥が指摘されています。
(1)データセンターの電力消費量のみ
実はVISAの電力消費量にはデータセンター分しか入っていません。でもVISAってちゃんとオフィスもあるよね?ということでVISAのレポートを読んでみると
データセンターは約半分(濃い青色の部分)ですね。ということは、オフィスや移動の電力も考慮すると、45万倍ではなく22万倍くらいだよね。まぁそれでも多いけど!
(2)VISAは銀行機能も使う
さらに、VISAとビットコインを比較するのはそもそもおかしいという説も。そりゃそうですよね。決済機能でしかないVISAの電力消費量には銀行機能、貨幣発行機能等は入っていませんから。VISAだけで決済機能は成立せず、他の機能を担ってくれる金融機関の存在が必要です。
例えば、ユーロ銀行によるとユーロ紙幣の発行には1枚当たり0.25kWh(キロワットアワー)かかると言われています。
年間の発行枚数は約57億枚なので、
0.25kWh×57億枚=1.4TWh(テラワットアワー)
え?ユーロ紙幣発行だけでめちゃんこ電力使ってる。。。(めっちゃ多くなったので今計算間違ってないか不安な気持ちになってますw)
因みに全世界の金融機関の電力消費量の計算方法には諸説あり、Harald Vrankenさんという方の計算によると、
という驚愕の数字がはじかれています。前回記事で盛りすぎと批判したビットコインマイニング年間71.1TWh消費説が可愛く見える数字ですね、、、銀行は支店とか多いので、オフィス利用電力も多くなっちゃうんですよね。
ということで色々言いましたが、ビットコインはVISAの45万倍電力使う説はちょっとフェアじゃないなーというのが私の見解です。
それでは、今後ビットコインの利用が拡大していったらどうなるのでしょうか?世界の電力を食いつぶす電力アルマゲドンがくるー!みたいな説まで出回っていますが、
あり得ません
普通に考えてください。
一般家庭、他産業への電力供給に支障が出始めたら、電力会社も対策を講じます。先日カナダでマイニングに使う電力料金を上げるって話も出てましたよね?今後、他の産業に支障が起きてくれば同じようなことは起こっていくでしょう。
ただしこれは、マイニングに使われる電力量の心配をしなくてもいいというわけではありません。従来から金融システムを担ってきた銀行機能をビットコインがすぐに全部置き換えるというのはなかなか考えにくいので、置き換えによる電力量削減はあまりすぐには期待できないでしょう。何より、電力料金を上げられるとマイニング自体が成立しなくなる恐れがあります。
というわけで、消費電力の更なる低減、CO2排出量の少ないエネルギー源(再エネや原子力)を選択する企業努力は今後も間違いなく必要です。
ブロックチェーン自体の普及活動も勿論大事ですが、持続可能性を高めるためのイノベーションについても今後ますます大切になっていくでしょう。
というわけで、仮想通貨とエネルギーでした!今回はビットコインを取り上げましたが、より電力消費量の少ないコインは出てきているので、将来的には省エネの観点も含めて技術が取捨選択されていくかなと思っています。
どうやって電力削減をしていくかについては、またの機会に書けたらいいなと思っています。
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MALIS
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