ある本を読んでいたら、「2020年に世界同時不況が来る」という予測が出てきた。
その根拠はいくつかあるが、印象に残ったのは、「アメリカ人のローンの額が、サブプライムローン危機の当時を上回っている」という指摘だ。
アメリカ人が、借金漬けなのだ。
要点は、以下の通りである。
・リーマンショック後の世界的な金融緩和で、世界中の人々の借金が増えすぎてしまっている。
・アメリカの家計債務は、2017年12月末時点で、13兆1000億ドルに達している。これは、リーマンショックが引き金となって世界金融危機が起こった2008年9月末の12兆6800億ドルを上回る。
・住宅ローンの残高が、2008年の世界金融危機のピーク時に接近している。これに加えて、自動車ローン、クレジットカードローン、学生ローンが増え続けている。中間層以下の世帯では、借金に借金を重ねる消費が横行している。
以上は、中原圭介著「日本の国難」(講談社現代新書)による。
この本の刊行は2018年4月なので、データもその当時のものだ。
気になったので、「アメリカの家計債務」を検索してみた。
そうしたら、ニューズウィークの記事が出てきた。
米家計債務、過去最高の約14兆ドル 支払い延滞も増加=NY連銀(2019年11月14日)
見出しにもあるように、アメリカの家計債務は、昨秋の時点で過去最高の13兆9500億ドルに達していたということだ。
アメリカ人のローンは、増え続けているわけだ。
ついでに、ほかの国の家計債務はどうなのか・・・と思って検索したら、違う情報が出てきた。
借金の額を対GDP比で見たとき、アメリカの家計債務は決して多くはない。むしろ、多いのは新興国や中国だという。
これは債務の額ではなく、「家計債務比率」を尺度にした見方だ。
世界の家計債務比率は08年のリーマン危機後、横ばいで推移してきたが、新興国と先進国で二極化している。危機前と比較すると、新興国は23%から40%に高まる一方、先進国は82%から72%に減った。中国が34ポイント増やし、米国は22ポイント減らした。
ーー日本経済新聞、2019年7月28日
家計債務とは 比率高まる新興国、減る先進国で二極化(日本経済新聞、2019年7月28日)
・・・どっちが本当なのだろう?
危険なのは、アメリカか、中国か?
さらに「中国の家計債務」と検索したら、いくつか記事が出てきた。
読みやすいのは、この記事だ。
米中貿易戦争のウラで、習近平が焦る「借金バブル」のヤバすぎる実態(マネー現代、2019年3月6日)
ほぼ1年前の記事だが・・・と、よく見たら中原圭介さんの記事。振り出しに戻った。
さてこの記事によると・・・
・中国の民間部門で膨張している債務は、世界経済にとって大きなリスクとなりつつある。
・中国の民間債務(民間企業債務+家計債務)はGDP比で213.4%と先進国や新興国のなかで突出している。
・家計の債務も6.6兆ドルに増加し、GDP比では49.3%に達する。
債務不履行ラッシュが、いつ起きてもおかしくないのだという。
では、日本はどうなのか?
「日本の家計債務」を検索すると、なぜか「韓国の家計債務」についての記事が検索一覧に出てくる。
この記事に、おそらく日本経済新聞から引用したと思われるグラフが載っている。
各国の「家計債務比率」を示したものだ。
左から右に上がる斜めの線があるが、この線の上にある国は、債務の比率が高いということだ。
これを見ると、危険なのは韓国だということになる。
(ロシアの家計債務の少なさが意外だ。韓国とは逆方向に突出している)
乱暴にまとめると、現状では、どの国が経済危機の起爆剤になってもおかしくない、ということなのかもしれない。
しかも、新型コロナウイルス感染症の拡がりがある。これが世界経済を減速させることは確実である。
2020年は、まだ4分の1を過ぎていないのに、不安だらけだ。
先行きを注視していこうと思う。
(2020年3月4日、全国一斉休校のさなかで)