メンタルヘルス
マネジメント検定Ⅱ種を目指して、覚えたこと、感じたことなどをアウトプットしていくことで、記憶の定着と自分の考えの整理をしていきたいと思います。なお、内容については間違いなど普通にあると思います。これを見て落ちても責任は取れませんので悪しからず。
第9回目は、第4章の個々の労働者への配慮です。前回はこちら。
第4章 2節はストレスへの対処について学びます。156ページにしてやっと?ストレスの対処が始まります。セルフケアも大事なのでこれはみんな知っておいて損はところですね。
予防の基本ということで、休養、睡眠、運動、食事、リラクゼーション、認知行動療法について記載されています。認知行動療法だけ特別扱いですね。
休養は、公式テキストでは「休養が十分にとれるような配慮が必要です」くらいしか書いてないですが、当たり前すぎるのでしょうか。もう少し付け加えると、日中仕事をしているときは、交感神経が優位になっていますので、夜、家族とゆっくりした時間を過ごしたりすると、副交感神経が優位になります。第4回でも触れましたが、副交感神経が優位の時は、体は消化や新陳代謝を促進し、老廃物を体外へ排出したりします。
睡眠は、疲労回復、ストレス解消する働きがあります。睡眠不足や嗣明障害などの問題があると、疲労感がもたらされ、日中に眠気が生じ、それが作業効率の低下、情緒不安定、行動や判断のミスにつながります。重大事故につながる恐れもあることから、社会問題化しています。さらに、睡眠不足が長期にわたると、交感神経系優位が維持されるため疲労の蓄積や心循環器系への負担増をもたらし、高血圧、糖尿病、心臓病、脳卒中などの生活習慣病のリスクを高めます。また、うつ病のリスクも高まります。
また、脳は睡眠中に短期記憶と長期記憶の取捨を行っていたりするらしいです。我が家では、22時~2時までの間に子供たちには「おバカタイム」といって、この時間起きていることは、せっかく昼間勉強したことを忘れていくんだと言ってました^^(情報の正確性は分かりませんwどっかで聞いただけです)
快適な睡眠のための4つのポイント
1)光
朝の光を浴びてから14~16時間後に眠気ホルモンのメラトニン分泌され、眠気が生じます。毎日同じ時刻に起きて、光を浴びることで睡眠の条件を整えます。
2)体温
人は眠りに入る過程で体温が約1度低下し、この体温変化の過程で深い眠りに入っていきます。ぬるいお風呂にゆったり浸かったり、夕食で温かい食事とることで入眠前の体温を高く保つと、入眠時の体温変化が急になり、眠気を強く感じることになります。
3)自律神経系
夜は副交感神経が優位となるため、夜に交感神経の高ぶりを抑え副交感神経優位の状態を保つようにします。暗く静かな場所で過ごすことがよいです。テレビ、パソコンやゲームなど刺激となることは控えます。
4)寝室環境
寝室が明るすぎたり、暑すぎたり、騒音があったりすると入眠の妨げになります。間接照明などで暗めにし、遮光カーテンやアロマテラピー、音楽などを工夫するとリラックスできます。
2014年厚労省から「健康づくりのための睡眠指針2014」が公表されています。この睡眠指針によりテキストが抜粋しているものをあげてみます。
健康づくりのための睡眠指針2014
第 1 条.良い睡眠で、からだもこころも健康に。
良い睡眠で、からだの健康づくり
良い睡眠で、こころの健康づくり
良い睡眠で、事故防止
第 2 条.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
定期的な運動や規則正しい食生活は良い睡眠をもたらす
朝食はからだとこころのめざめに重要
睡眠薬代わりの寝酒は睡眠を悪くする
就寝前の喫煙やカフェイン摂取を避ける
第 3 条.良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
睡眠不足や不眠は生活習慣病の危険を高める
睡眠時無呼吸は生活習慣病の原因になる
肥満は睡眠時無呼吸のもと
第 4 条.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
眠れない、睡眠による休養感が得られない場合、こころのSOSの場合あり
睡眠による休養感がなく、日中もつらい場合、うつ病の可能性も
第 5 条.年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
必要な睡眠時間は人それぞれ
睡眠時間は加齢で徐々に短縮
年をとると朝型化 男性でより顕著
日中の眠気で困らない程度の自然な睡眠が一番
第 6 条.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
自分にあったリラックス法が眠りへの心身の準備となる
自分の睡眠に適した環境づくり
第 7 条.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
子どもには規則正しい生活を
休日に遅くまで寝床で過ごすと夜型化を促進
朝目が覚めたら日光を取り入れる
夜更かしは睡眠を悪くする
第 8 条.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
日中の眠気が睡眠不足のサイン
睡眠不足は結果的に仕事の能率を低下させる
睡眠不足が蓄積すると回復に時間がかかる
午後の短い昼寝で眠気をやり過ごし能率改善
第 9 条.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減る
年齢にあった睡眠時間を大きく超えない習慣を
適度な運動は睡眠を促進
※適度な運動は、加齢により低下する日常生活動作(ADL)の
維持・向上や、生活習慣病の予防にも寄与
第 10 条.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
眠たくなってから寝床に就く、就床時刻にこだわりすぎない
眠ろうとする意気込みが頭を冴えさせ寝つきを悪くする
眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
※就寝する 2〜3 時間前の時間帯は一日の中で最も寝つきにくい時間帯
第 11 条.いつもと違う睡眠には、要注意。
睡眠中の激しいいびき・呼吸停止、手足のぴくつき・むずむず感や
歯ぎしりは要注意
眠っても日中の眠気や居眠りで困っている場合は専門家に相談
第 12 条.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
専門家に相談することが第一歩
薬剤は専門家の指示で使用
睡眠指針の参考資料にこんなことが書いてありました。
健康成人を対象とした研修では、人間が十分に覚醒して作業を行うことが可能なのは起床後 12~13 時間が限界であり、起床後 15 時間以上では酒気帯び運転と同じ程度の作業能率、起床後 17 時間を過ぎると飲酒運転と同じ作業能率まで低下することが示されている
驚愕の事実です!!朝7時に起きたら21時までが限界、23時以降の軽くいっぱいひっかけた感じ、1時以降ときたらしっかり飲んだ後という感じみたいなので、それなら、ほんとに飲んだ方がいいのかも!?
運動は、睡眠指針にもありましたが、睡眠のためにも、健康のためにも、生活習慣病のためにも、とても、大切な役割があります。また、うつ病などの精神疾患の症状改善にも効果があるという研究があります。エンドルフィン、セロトニンの脳内物質が運動によって増えて、症状が改善しているのではないかと考えられています。また、就寝前の強い運動は、交感神経が刺激されてしまうので逆効果になります。
食事は、身体の健康のみならず、心の健康にも大きく影響しています。アドレナリン・コルチゾールなどの抗ストレスホルモンを生成するためには、ビタミンB・Cが必要なため、ストレス下ではビタミン不足になります。食事ではビタミンB(豚肉、乳製品、レバー、納豆など)、ビタミンC(野菜、果物など)を補う意識が必要です。また、たばこや酒はビタミンCが失われるので、意識的に補う必要があります。
カルシウム、マグネシウムは精神安定に効果があり、特にカルシウムは個の効果が大きく、不足するとイライラすることが知られています。
ストレスによりホルモン分泌が盛んになると、短膜質の代謝が亢進されます。肉類、魚類などでたんぱく質を補うようにします。
リラクセーションは、休養とは違って、意識的にリラックスする状態を作ります。瞑想とか有名ですね。メンタリストDaigoでは瞑想入門2.0といって解説してます。瞑想効果としてうつ、不安、ストレス、パニック障害、レジリエンス改善、幸福感、記憶と学習能力改善、集中力改善、睡眠の質改善などなどメンタルで7つ、情報処理改善で8つ、肉体で9つ、性格で6つもあげていました。3分間呼吸法→3分間瞑想→マハサーティ瞑想が紹介されています。ちなみに瞑想は朝やるのがいいみたいです。ご興味あれば調べてみてください。
さて、本題のテキストでは、呼吸法、漸進的筋弛緩法、自律訓練法が紹介されています。そのほか、音楽、ヨガ、アロマテラピーなどもリラクゼーションのための方法として用いられています。これらのリラクゼーションについては、大阪府が出してる絵で分かるリラクゼーションが分かりやすいです。
簡単に(テストにでる部分)抜粋しておきます。
a)呼吸法
意識的に深くゆっくり腹式呼吸を行います。
b)漸進的筋弛緩法
腕⇒肩と順番に筋肉を緩めることでリラックスします。筋肉をこわばらせてから解きほぐすことで、リラックスした状態を感じやすくなります。
c)自律訓練法
ストレスの身体症状の治療法として利用されたりもしています。標準訓練、黙想訓練、特殊訓練など複数の訓練法からなります。よく紹介されている標準訓練の公式(背景公式、第1公式~第6公式)が行って、最後に消去動作を行うのが一般的です。すべてやっても15~20分ほどかかります。テキストでは、リラクゼーションを目的とする場合は、第2公式までで良いとしています。
背景公式(安静練習):「気持ちが落ち着いている」と暗示する
第1公式(重感練習):「両手両足が重たい」と暗示する
第2公式(温感練習):「両手両足が温かい」と暗示する
消去動作:練習後は必ず両手の開閉運動、両肘の屈伸運動、大きく背伸び、深呼吸を行う
ちなみに、後の公式は、こんな感じです。
第3公式(心臓調整練習):「心臓が自然に静かに規則正しく打っている」
第4公式(呼吸調整練習):「自然に楽に息をしている」
第5公式(腹部温感練習):「お腹が温かい」
第6公式(額部量感練習):「額が気落ちよく涼しい」
そして最後は認知行動療法(CBT)です。うつ病や不安障害、不眠などに対して、科学的根拠に基づいた有効性が報告されています。今や心理療法の世界標準となっており、イギリスやアメリカではうつ病と不安障害の治療ガイドラインで第一選択肢になるなど、その活用が広く推奨されています。
基本モデルは、ストレスを個人の取り巻く環境におけるストレス状況と、そのストレス状況から生じるストレス反応に分けて捉え、さらに、ストレス反応をも少し細かくして、認知(思考)、気分(感情)、行動、身体反応の4領域に分けて理解します。出来事を「どう認知するか」で感情や行動が変わります。認知には、何かの出来事があったときに瞬間的に浮かぶ考えやイメージがあり「自動思考」と呼ばれています。「自動思考」に気づいて、働きかけていくことで、ストレスに強い心を育てることができます。ここで問題にしているのは、「人」ではなく「考え」です。つらい!と思ったときに、少し立ち止まり、頭に浮かんだ自動思考を現実に沿った柔軟なバランスの良い新し考えにかえていきます。
上記のサイトにマンガで分かりやすく説明しています。マンガってすごい!
突然、過重労働(長時間労働)の話が始まります。今までさんざん長時間労働の問題や心理的負荷の総合判定など見てきたのに、またの登場です。内容としては以前から見てきたものを、長時間労働をメンテるヘルスへの影響、防止対策、生活習慣、メタボリックシンドロームの観点で振り返っただけのページのようです。(う~ん、公式テキストこういうの多いw)
メタボ診断基準と高血圧予防のための生活習慣がテストでひっかけで出ていたと思うので、記載しておきます。
メタボリックシンドロームの診断基準
◆必須項目:
内臓脂肪蓄積(内臓脂肪面積 男女とも100㎤以上に相当)
ウエスト周囲径 男性≧85㎝
女性≧90㎝
◆選択項目:以下の2項目以上に該当
1)脂質異常
高トリグリセリド血症 ≧150㎎/dL
※中性脂肪
かつ/または
低HDLコレステロール血症<40㎎/dL
※善玉コレステロール
2)高血圧
収縮期(最大)血圧 ≧130mmHg
かつ/または
拡張期(最小)血圧 ≧85mmHg
3)高血糖
空腹時高血糖 ≧110㎎/dL
高血圧予防のための生活習慣
◆食塩制限:6g/日未満
◆野菜・果物の積極的摂取
コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える、魚(魚油)の積極的摂取
※重篤な腎障害を伴う患者は、高カリウム血症の可能性があるので非推奨
※果物の積極摂取は摂取カロリーの増加につながる糖尿病患者は非推奨
◆適正体重の維持:BMIが25未満
◆運動療法:有酸素運動を毎日30分以上を目標に行う
※心血管病のない高血圧患者が対象
◆飲酒制限:エタノールで男性20~30ml/日、女性で10~20ml/日以下
◆禁煙(受動喫煙防止を含む)
なお、生活習慣の複合的な修正はより効果的
ストレスコーピングがここで登場します。予防のところでCBTの話がでたので、この話があってもよかった気がしますが、対処という項での登場となりました。ストレスに対処するための行動がストレスコーピングなので正しいんですけどね。よくメンターとかのくだりでコーピングの説明がなされたりします。コーピングには、身体の活動を伴うもの、思考としての精神作業の2種類あります。イライラのもとであるストレッサーを取り除く問題解決に焦点を当てた問題焦点型コーピング、ストレス反応の1つである情動の興奮を下げる情動焦点型コーピングです。一般的には、問題焦点型コーピングが課題解決に直結するため好ましいとされています。
ストレスの発生の道筋を基準にコーピングを分ける方法があります。
ストレスの段階に応じて、効果的なコーピングの方法が異なるためです。
《ストレッサーとなる刺激が発生》
刺激の発生自体を阻止するような行動をとる
・ひとりでもできる作業を指示する。
・ストレス下でも心身ともに影響を受けないような予防的措置をとる。
《ストレッサーを嫌だなと認知している段階》(認知的評価段階)
受け取り方やモノの見方を変える。完全主義をやめる。
信頼できる人から支援をもらう。
・失敗したらどうしよう⇒新たな体験を楽しもう
・叱られた⇒成長できた
《情動的な興奮が起きている段階》(精神的な反応が発生している段階)
感情を鎮めるようなリラクゼーション
・アロマテラピー、腹式呼吸、瞑想
・ちょっとした休憩にお茶を楽しむ
《身体的な興奮が起きている段階》(身体的な反応が発生している段階)
身体的興奮はコルチゾール分泌により、セロトニンが抑制されているため
・有酸素運動を行う。(コルチゾールの適度な消費)
・リラクセーション(筋緊張を低減)
このようにストレス対処行動(コーピング)のスキル向上には、ストレスへの関心度やストレス低減のための努力度の違いにより、アプローチを変える必要がある。次に、部下にセルフケアについて指導する際、本人のレベルにあった働きかけ方を見ていきます。
a)セルフケアやストレスに関心がない段階
・メンタルヘルスに関する講習会や個人面接を行い、ストレスを刑するリスクやコーピングの利点などを数多く伝えて練習できる機会をもつ
b)セルフケアに関心はあるが、何も実行しようとしない段階
・個人面接で「変わりたい」と思えるような動機付け
・時間や労力の損失よりも恩恵の方が大きいことを伝える
c)セルフケアに関心があり、実際に何か実行し始めた段階
・個人面接を通して実行を更に強化するように働きかける
・すぐに実行できるように環境を整える
d)セルフケアに関心があり、6ヶ月以上ストレス軽減に努めている段階
・個人面接を通して、逆戻りしないことを意識した生活や、
同じように頑張っている仲間との交流を進める。
・多忙な業務や苦境など辛い出来事に遭遇したときに、セルフケアが
止まらないようにサポートする
《全段階での共通アプローチ》
・正しい知識を持つように努めること
・ストレス対処行動(コーピング)のスキル向上はだれでも可能なこと
・QOL(生活の質)の工事に役立つという認識を持つこと
・一喜一憂せず、とにかく継続すること
ストレスに対して興味を持たせるのが難しそうですね。どうすれば興味を持ってもらえるかは、試行錯誤何だと思います。このあたりのマニュアル?的なものは無さそうですね。相手の興味関心を軸に進めていくとかよさそうです。
最後は職場によるサポートです。周囲からのサポートは、ソーシャルサポート:社会的支援といいます。NIOSHの職業性ストレスモデルであった緩衝要因というのがまさにこれです。さまざまなソーシャルサポートがありますが、大きく4つに分けて解説されています。
a)情緒的サポート
やる気を起こさせ情緒的に安定させること
声をかける、慰める、禿げます、笑顔で対応、真摯に受け答え
受容的な態度により、気持ちを落ち着かせるようなサポート
b)情報的サポート
問題解決に役立つ情報を与える。ストレス要因を取り除くために必要
上司や同僚にるアドバイスによって的確な指示や解決法を与える
あらかじめ問題が生じないように忠告する
c)道具的サポート
実際に手助けし、ストレス要因を排除する
多量の仕事を一緒になって片付ける、処理効率あげるために
機械を導入する、人員を増やす、金銭的に援助する
d)評価的サポート
自己評価が高まり心理的に安定させる
仕事ぶりや業績など適切に評価する
ソーシャルサポートは日常行われています。誉め言葉や慰め、共同作業、もっと身近な例では、相づちやうなずきもソーシャルサポートになります。相手に安心感を与えて情緒的な安定に役立つからです。サポートする立場の人は、基本的には、情緒的サポートを行いつつ、情報的あるいは道具的サポートを提供し、その経過や結果において評価的サポートを行うという包括的なサポートに努めることが必要となります。
ただ、サポートをするにあたり注意点もあります。サポートの目的は、相手のメンタルヘルスを維持、向上させることです。これを損なわないようにする必要があります。
1)本人の自律的な努力を助けるようなサポートであること
いつでもどこでもサポートすることは、個人が主体的に問題解決に向かう動機付けを失うことにつながります。個人が努力している中で、その努力がより効果を発揮できるようにする支えであり、個人がメンタルヘルスを自律的に管理できるようにするためのバックアップであることを忘れてはいけません。
2)サポートが双方向であること
一方的なサポートでは、役割意識が強く、貸し借りのような上位・下位の関係が出来てしまい、サポートが長く続かないことになります。たとえ上司として部下をサポートする責務があるとしても、部下もまた上司を盛り立てるようにサポートしていることを忘れてはいけません。
もう少しだけ突っ込んでおきます。どのサポートであれば、相手の適性に合わせたサポートを行わないといけません。個人の仕事上の適性を考慮して的確にサポートする必要があります。ただ、適性といっても、ある職場でも適応できなくても、他の職場では適応できるということもあります。テキストには適性を図る方法として、現状に対する適応状態の良し悪しとして理解することがおおむね妥当として、個人の適応状態とサポートの仕方について記載されています。
a)適応状態が好ましく、現在の仕事に適性があると判断される場合
通常はサポートは不要に思えます。しかし、心理学用語で「過剰適応」の状態であるかもしれません。無理して過度に適応を図っている状態の可能性があります。バリバリ頑張って職務に専念している人は過剰適応かもしれません。本人がストレスを貯めているということに気づいていないことが多いです。
サポートする側は、絶好調でも、無理していないかという視点で見直すことが必要です。頑張ることへの評価的サポートをしつつ、仕事を他者に分担するという実体的なサポートがよいかもしれません。過剰適応者には情緒的サポートは逆効果のときがあります。
b)職場への適応に関する大きな問題はないものの、最近元気がなく俊敏な反応が減少してきている場合
明らかに不適応状態にむかいつつあると判断できる。1週間以上続くようであれば要注意。この場合は、受容と傾聴による情緒的サポートを与え、安心できる状況を確保したうえで、ペースダウンに必要性を伝え、他者との協力できるように道具的サポートを行います。評価的サポートは不調なのにもっと頑張ろうとするので、注意が必要です。
c)職場への適応が悪い場合
今までの適応状態を考慮する必要があります。最初から適応できていない人は配置転換という道具的サポートを、最近適応できなくなってきた人なら、燃え尽きている可能性があるので、強力な情緒的サポートが必要かもしれません。本人の適応努力については肯定的に評価を与えるべきです。もし、配置転換などや心理的不安定などで休職することがあるなら、その措置の必要性と妥当性について理解できるように情報的サポートを多く与えましょう。
まとめ
ストレスの対処・軽減方法を見てきました。セルフケアにおいてはここがメインなのかなと思います。ラインケアとしては、これらのことを頭に入れて起き、部下とのコミュニケーションを通して、適切な対応をしていくのかなと思います。
個人的には、動機づけがポイントなのかなと考えています。メンタルヘルスケアは一時的なものではなく、恒常的でないといけないと考えると、ほっといても勝手にケアされるような仕組みでもない限りは、教育から変えていく数十年単位の社会的仕組み改革が必要になると思います。よって、現状は本人の努力、管理監督者の努力があってこそなのかと思います。
ということで、動機づけがポイントかなと思うわけです。
動機付けには、2つあり、外発的動機付け・内発的動機付けがあります。
外発的動機付け
自分の外側に動機となるものがある状態
内発的動機付け
自分の内側に動機となるものがある状態
一般的には、外発的動機付けより内発的動機付けのほうがパフォーマンスは上がると言われています。また、外発的動機付けのほうが動機づけとしては導入しやすい(褒美や罰)です。そこで、外発的動機付け→内発的動機付けへ促すことを考えるので、自己決定理論です。詳しくは別な機会にして、ポイントだけ書いておきます。
自己決定理論
生存のための生理的欲求のほかに、自律性・有能感・関係性を実感する心理的必要性があるという前提があります。これを3つの基本欲求といいます。そして、自律性が特に重要で、自律性が損なわれると、内発的動機付けが低下してしまいます。外発的動機付け・内発的動機付けは以下のような関係にあります。外発的動機付けの「同一化的調整」「統合的調整」は内発的動機付けと同様の効果があり、内発的動機付けと合わせて、この3つを「自律的動機付け」といいます。分かりやすいので、神戸大学の人間発達環境学研究科が公開しているものを引用してみます。左から右へ進むにつれて内発的動機付けに向かっていくのが分かると思います。こんなことも頭に入れながら、サポートできるといいんじゃないかと思って紹介してみました。