メンタルへするマネジメント検定Ⅱ種を目指して、覚えたこと、感じたことなどをアウトプットしていくことで、記憶の定着と自分の考えの整理をしていきたいと思います。なお、内容については間違いなど普通にあると思います。これを見て落ちても責任は取れませんので悪しからず。
第5回目は、第2章のメンタルヘルスの基礎知識です。ここはメンタルヘルス不調、精神疾患、心身症の各論に及ぶので何気に重要な部分です。頑張っていきます。前回はこちら。
ストレッサーが加わると、ストレス反応が起きるわけですが、このストレス反応は3つの方向性があります。身体面、精神面、行動面です。
<身体面>
動機、冷汗、胃痛、下痢、手の震え、筋緊張による頭痛・頭重感、疲労感、食欲低下、不眠、めまい、ふらつきなど
<心理面>
不安、緊張、怒り、イライラ、興奮、混乱した状態、落胆、憂うつ気分など
<行動面>
遅刻、欠勤、ミス、アクシデント、頻発する口論やケンカ、飲酒量や喫煙量の急増
この反応は、身体面⇒心理面⇒行動面の順に反応が出ることが多いようなので、身体面の変化に気を使っていくと良さそうです。それでは、どのような不調が現れてくるか見ていきます。
メンタルヘル不調とは、「精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的及び行動上の問題を幅広く含むもの」と定義されています(労働者の心の健康保持増進のための指針=メンタルヘルス指針 2006年)。精神疾患のみではなく、心の不健康状態の総称とする用語とのことです。
<特徴>
人口の1~3%にみられる。一生のうち一度以上かかったことのある割合は7%前後で珍しい病気ではない。生真面目、模範的、几帳面、頑張り屋など本来社会適用がよかった人に起こる傾向があります。身体的症状が先に出るため自分では気づきにくい。
<症状>
以下のような症状、特に興味の減退、快体験の喪失が2週間以上継続し、毎日のルーティン行為が辛くなってきた場合には、うつ病が疑われる。
朝の不調:朝早く目が覚める、朝の気分がひどく重く憂うつ、朝刊を見る気になれない、出勤の身支度が大儀になる
仕事の不調:午前中を中心に仕事をする気になれない、根気が続かない、決定事項を判断できない”ぐるぐるまわり状態”になる、気軽に人と会って話せなくなる、不安でイライラ、自信や展望が持てなくなる
生活の不調:以前好きだったものがつまらなくなる、涙もろくなる、誰かにそばにいてもらいたいと思うようになる、昼過ぎから夕方になるまで気分が重く沈む、いっそ消えてしまいたいと考えるようになる
身体の不調:不眠(眠った気がしない)、疲れやすい、だるい、頭痛、食欲低下、性欲減退(異性への興味がなくなる)、口が渇く
<治療>
原則、休養と服薬。多くは3~6か月の自宅療養が必要。復職後も最低半年は通院・服薬を続けることが必要。近年の抗うつ薬は有効性が高いものになっている。復職後は、職場の対応が重要で、直属の上司からの支援は極めて重要です。治る病気だが時間がかかります。
近年では、若年層を中心に「帰属意識が希薄」「自己中心的で他者配慮に乏しく」「他責性」「責任感が弱く回避的」「環境や周囲に問題を責任転嫁」といった従来の「うつ」とは違う症状のうつ病も見られるようになってきた。このようなうつ病の場合、従来通り、休職させるより、生活指導や帰属意識や役割意識の改善をするような精神療法的対応が必要となる。
<特徴>
うつ病と対照的な躁病という2つの病態が見られる。人口の0.5%前後とみられる。躁病では睡眠時間が減少しているのも関わらず活動性は高まり、抑制や配慮に欠ける言動、尊大で横柄な態度となる。自分が病気である認識は希薄である。
<症状>
軽躁ではバイタリティーあふれる仕事熱心な人とみなされる。症状が重くなるにつれ、パフォーマンスは著しく低下し、周囲に迷惑をかける状況となる。症状により次の2つに分けられる。
双極Ⅰ型障害:入院治療の必要があるほどの明確な躁状態を伴う
双極Ⅱ型障害:比較的軽度な軽躁を伴う。抑うつ状態を反復し抗うつ薬が効きにくい。抑うつ状態の中に怒りっぽさやテンションの高い日が4~5日続く場合はうつ病ではなく、双極Ⅱ型障害を視野に検討する必要がある
<治療>
直属の上司と家族が連携して、専門的に治療につなげるなどの工夫が必要となる。
<特徴>
2002年に精神分裂病から呼称が変更になった。生涯有病率は0.55%。10代後半~30代前半の若年層に発症しやすい。
<症状>
妄想(根拠を持たない確固たる確信をもち、どのような証拠に基づく説得を試みても訂正不能)や幻聴(自分の悪口が聞こえる、嫌な噂が聞こえる)といった陽性症状が安定した後でも、陰性症状(コミュニケーション障害、意欲・自発性欠如、引きこもり傾向など)が後遺障害として残りやすい。
<治療>
就業しながらの治療は難しい、比較的長期の治療が必要となる。
ただ、近年では薬物療法を中心とした治療が進歩しているため、適切な療養が確保でき、職場においても個々の回復の現状に合わせた場を周囲の理解と支援のもとを得られれば、安定した経過を呈する人も多い。ただ、陽性症状には投薬は有効だが、陰性症状には効きにくいことが少なくない。
<特徴>
付き合いでたまに飲む(機会飲酒)→毎日飲む(習慣飲酒)→飲み過ぎて記憶がなくなる(ブラックアウト)と酒量が増えていく。
<症状>
毎日飲まずにはいられない(精神依存)⇒アルコールが切れると手が震える、冷や汗が出る、イライラする、眠れないといった身体依存が形成される。
<治療>
完全禁酒。自分の意思だけでは断酒するのは困難。家族や職場の協力、断酒会やAA(Alcoholics Anonymous)といった自助グループへの参加・活動が大切になる。早期対処が重要。
<特徴>
身体的検査では呼吸器系、循環器系、脳神経系などに明らかな異常所見が認められないが、以下のような症状が起きる。
<症状>
突然起こる不安発作(動悸、めまい、息苦しさ、非現実感など)が繰り返される。その際の不安感は、このままでは死んでしまうのではないかと思うほど強烈である。不安発作がまた起きたらどうしようという予測不安も伴う。外出恐怖、広場恐怖となり行動範囲が極端に狭くなる。
<治療>
薬物治療を中心に治療方法がある程度確立している。予後は比較的良好。投薬は1年以上継続する必要がある。また、空腹、怒りなどの強い陰性感情、孤立感、疲労は症状悪化の背景要因となるため適切な生活習慣への是正も大切。
「適応」とは個人の主体的働きかけがあることを前提に、その結果、著しい不都合をきたすことなく生活できる状態。これに対して受け身的に適合する場合は「順応」という。つまり、適応の背景には、個人の行動目標や適応行動が存在する。
<特徴>
さまざまな生活領域において、個人の価値体系に基づいた主体的な働きかけがうまく機能しなくなった結果、身体的・心理的・社会的に不都合をきたした状態である。(広義意味)
国際的には次の狭義の意味で扱われている。軽度ではあるが病的な反応を引き起こしうる強さのストレッサーの存在+ストレッサーに対する個人的脆弱性、対処能力不足+正常域を越えた情緒的または行為上の障害を現実に引き起こしていること+これら一連の流れに因果関係があること。
<症状>
不安、憂うつ気分、行為の障害(無断欠勤、けんか、無謀運転など)。ただし、軽度であり他の病気の診断基準満たさない。ストレッサーの発生から1~3か月以内に起こり、持続は6か月を超えない。
<治療>
ストレッサーを切り離せば症状はなくなる。ストレス対処能力を高める。
<概要>
脳の高次機能(注意力、集中力、問題処理能力)の低下を引き起こし、ミスやアクシデントの大きな要因になる。睡眠不足による作業効率低下から生じる経済損失は日本全五区で3兆円。欠勤、遅刻、早退、交通事故などの損失を加えると3兆5000億円に達する。
<種類と特徴>
◆不眠症
以下の症状が週3回以上1か月以上続き、本人が苦痛を感じ社会的活動に悪影響が出ている状態
入眠障害:寝付くのに30分~1時間以上を要し苦痛が生じる
中途覚醒:入眠後も何度も目が覚めてしまう
早朝覚醒:起床2時間前に覚醒、その後入眠できない
熟眠障害:深く眠った感じが得られない
うつ病や不安障害をはじめとする多くの精神疾患でも併発するため、安易な自己診断は禁物。不眠が一定以上継続する場合は医師に相談することが必要です。薬や嗜好品の副作用で不眠になる場合もある
◆過眠症
日中の耐え難い眠気発作と居眠りが特徴。通常では考えられない状況下において発作的に眠ってしまう。夜間の睡眠障害の結果として昼間眠いわけではない。代表的疾患はナルコプレシー。
◆概日リズム睡眠障害
個人の睡眠覚醒リズムと社会生活の時間帯との大きな差により発生。不規則で浅い睡眠、疲労感、ぼんやりした感じと眠気、めまいや立ちくらみなどの自律神経症状が認められる。
10~20歳代の若年単身者などにみられる頻回欠勤者の中に極端な遅寝遅起きで固定してしまい、体調や社会生活に支障をきたしている睡眠相後退症候群がある。
◆睡眠関連呼吸障害
睡眠中の呼吸障害により生じる睡眠障害。代表的なものは睡眠時無呼吸症候群で、睡眠中に10秒以上連続して呼吸をしない状態(無呼吸)が反復して認められる。喉の構造異常や肥満で起こる閉塞性タイプ、呼吸運動機能自体の異常で起こる中枢性タイプがある。睡眠の分断、日中の強い眠気、集中力低下、大きく不規則ないびき、全身倦怠感、朝の頭痛などの特徴がある。本人が自覚していない場合が多く、運転手など場合は大事故につながるため、リスクマネジメントの観点からも注意を要する。
<治療>
原因により大きく異なるため、しっかりとして診断が必要。
<概要>
「自閉症、アスペルガー症候群その他広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発言するもの」(2005年4月施行 発達障害者支援法)として定義されている
<種類と特徴>
◆注意欠陥多動性障害(ADHD)
不注意・多動性・衝動性などに問題を抱える。
集中力や落ち着きのなさ、切れやすいといった衝動コントロール不良や、ケアレスミスの多さなどの不注意などで問題になる。
投薬が有効である場合があるため、早期の診断と薬物治療の検討が重要。産業医に加入してもらうのも有益となる。
◆アスペルガー症候群
知的機能は保たれているもののイマジネーションの障害、コミュニケーション能力に偏りがあり、対人交渉に質的問題を抱えてしまう。
自閉症スペクトラム障害(ASD)に含まれるようになった。
同僚や上司と良好な対人関係を築けない、周囲の人の気持ちが分からない、会話が一方的になる、予定された業務が変更されるとパニックに陥り融通が利かないといった症状がでる。
症状に合わせた環境調整と自己理解が重要となる。
<最近の動向>
幼少期に明確に該当せぬまま成長し、就職した後にこうした傾向が認められた場合は、発達障害が疑われるケースが増えた。複数の疾患同士の並存や関連する精神障害やパーソナリティ障害との鑑別も必要であり、その診断には高度な専門性を必要とするため、その処遇を巡っては慎重に臨む必要がある。
<対処>
診断名以上に勤務者が「何ができて何ができないのか」「どのような支援があれば業務を遂行できるのか」という個別で具体的なアセスメント(調査や評価)がより重要となる。本人の得意分野、長所をしっかりと評価し、その特性をどう活かせるかという視点から支援を検討することが必要。ADHDの人が営業・接客が得意だったり、ADSの人が研究開発や高い集中力を必要とする業務で能力を発揮してすることが稀ではない。
<特徴>
高血圧症・糖尿病などに代表される身体疾患のうち、その発症や症状変化と心理社会的要因(いわゆるストレス)との間に明らかな対応が認められるものを指す。この関連性を心身相関という。心の病ではなく、器質的障害を呈する場合と機能的障害を呈する場合に分けられる身体疾患の病態である。
<種類と症状・治療>
◆過敏性腸症候群
ポリープやガンなどの病変が認められないが、腹痛を伴う下痢やベンチなどの症状が出現する大腸疾患。消化管の運動機能異常と腸が拡張した際に痛みを感じることが要因。
・下痢型 大腸全体が微細に痙攣
・便秘型 肛門に近い部位の大腸が強く収縮し、排便を妨げている状態
・不安定型 下痢と便秘の交替型
治療は、心身相関に気づきを促し、本人が主体的に症状をコントロールできるようになることを目指す。規則正しい食習慣と節酒、十分な休養と睡眠により心身のリズムを回復すること。症状を増悪させるストレッサーがある場合は、対策のハードルを低めに設定して、課題達成による自信を積み重ねていくことが必要。
◆緊張型頭痛
頭をタスキで締め付けられているような性質の痛み。脈打つようなものではなく、連続性の痛みが特徴。日常生活は若干制限されるが寝込むほどではない。偏頭痛のような吐き気はない。
治療としては、頭痛が機能的障害であり、重篤な疾患につながるものではないことを説明して不安軽減を図る。次いで、認知行動療法(CBT)も検討する。「頭痛がひどいので何もできない」という誤った任地に気づき、「頭痛は常にあるわけではなく、痛くてもできることある」などといった認知の修正を行っていく。
◆摂食障害
食事や体重に対する常軌を逸したこだわり、太ることに対する恐怖感が特徴。思春期から青年期の女性に多くみられる。神経性食欲不振症と神経性大食症がある。
【神経性食欲不振症】
痩せたいという強い願望や太ることを極端に恐れる気持ち(肥満恐怖症)が特徴。やせていても太っていると頑なに思い込み、食事をとらなかったり、食べたものを吐いたり、下剤を乱用したりする。ただ、活動性は高く、仕事は休まず熱心に残業を続けたりすることがある。
治療への積極的な参加・協力が得にくい。
【神経性大食症(過食症)】
大量の食べ物を一気に食べ、直後に吐いたり下剤・利尿剤を乱用することで、体重増加を何とか防ごうとする。体重は正常範囲内に維持されていることが多い。過食・自己嘔吐後は自己嫌悪に陥り気分がひどく落ち込むことが少なくない。過食・嘔吐行為が習癖として形成されている。
双方とも治療は困難で長期化する。摂食障害の”食べる・食べない”の見かけ上の問題行動の背景にある本当に困っている問題が何かを、時間かけて探索し、じっくりと解決していくことが必要
<職場における心身症の現れ方と対処>
使用者は就業による労働者の健康障害が予見される場合、それを回避すべき義務が安全配慮義務として課せられている。作業関連疾患が生じれば、業務上疾病として労災認定されたり、安全配慮義務違反による民事上の責任を問われる可能性が高い。必ずしも職場の問題だけで発症するとは限らないが、職場因子は重要因子として認定される傾向が近年、顕著に認められる。
メンタルヘルス不要のサインとなる行動として、パフォーマンス低下、勤務状況の悪化、対人関係の取り方の悪化(職場トラブルの増加)などがある。管理監督者としては、こういった状態を早めに察知し対処することが大切なため、日ごろから部下とのコミュニケーションを適切に取り、部下が相談しやすい人間関係を構築しておくことが肝要である。
メンタルヘルス不調のサインが出た労働者とは、時間的余裕のある時にプライバシーの守られた静かな場所で時間を取って話を聴き、業務に起因するものであれば、職場内での調整が必要となる。上記のような疾病が疑われる場合は、産業保健スタッフにつなげたり、医療機関受診の手はずを整えるなど、部下の疾病を診断する必要はないが、医療につなげる義務はあるとされている。産業保健スタッフが充実していない場合は、管理監督者も一人で抱え込まずに、チームとして対応すること。事業場外資源(公共機関、健康保険組合、外部EAP機関など)の活用も視野にいれて検討する必要である。
テキストはここまでしたが、私は閉塞性タイプの睡眠時無呼吸症候群の診断を受けたことがあります。私は軽度と中等性の間くらいでしたが、根本対処は減量、生活習慣の改善でした。ただ、これには時間がかかるため、マウスピースやCPAPを使った治療をしながら、生活習慣の改善を続けるというものです。日々の運動とともに、舌で軌道を塞がないように、横向きに寝る(これだけでも結構いい)、禁酒or節酒する、睡眠薬をやめる(私は飲んでませんが)といった改善を続けます。テキストだけでは情報が足りないですね。メンタルヘルスマネジメント検定は、その資格で仕事をする部類モノではなく、メンタルヘルスについて学ぶきっかけなのかもしれません。