メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種を目指して、覚えたこと、感じたことなどをアウトプットしていくことで、記憶の定着と自分の考えの整理をしていきたいと思います。なお、内容については間違いなど普通にあると思います。これを見て落ちても責任は取れませんので悪しからず。
第12回目は、前回投稿したコミュニケーションスキルについて少し深掘ってみます。前回はこちら。
アサーションとマイクロ技法について、これだけでも結構なボリュームになったので、別冊としました。ということで、さっそく。
自己表現のスタイルというものがあり、非主張的、攻撃的、アサーティブという3つに分類されて説明されます。アサーティブな表現を身に着けることが、メンタルヘルスケアにおける自己表現では大切であると説明されています。アサーションとは以下のように定義されています。
自分も相手も大切にする自己表現
自分の気持ちや考え、欲求などを率直に、正直に、その場の状況に合わせた適切な方法で述べること。他者の基本的人権を侵すことなく、自己の基本的人権のために立ち上がり、自己表現すること
聴くことも大事にする
相手の気持ちや考え、欲求を理解しようとする姿勢が必要。相手の気持ちや考え、欲求に関心を持ち、理解しようと努め話を聴くことが大切
では、具体的にアサーティブな自己表現を見ていきます。
まず、「私はこう思う」「私はこんな気持ちだ」「私はあなたにこうして欲しい」「私はあなたにこれをやめて欲しい」など、自分の心の中にあることをきちんと伝えるアイ・メッセージを利用することです。「私」を意識して伝えるとよいです。
また、「私はこう思うけど、あなたはどう考える?」「私はこんな風に感じるけど、あなたの気持ちを聞かせて?」など、聴く、理解する、受け止めることを意識して、相手の自己表現を引き出し理解しようと努めます。
自分の弱さを認め表現する、納得して譲る、きっぱりとノーということもアサーティブな表現といえます。
これらの知識があるだけでは、アサーティブな表現はできません。
自己信頼を高め、アサーション権について知り確信することが必要です。
自己信頼とは、自己理解、自己受容、自尊心の3つの要素があります。自身が何を考え、何を伝えたいのか意識できること、ありのままの自己を受け入れ、自分を大切に思う気持ちが必要です。そして、アサーション権=自己表現の権利について知り確信するということです。権利であって義務ではありません。「自己表現をしてもよい」ということです。自分のアサーション権だけでなく、相手にもアサーション権があるということ、立場が上とか下とかいう間でもアサーション権はあります。また、自己主張しない権利もアサーション権です。
ただ、現実は、アサーション権を知らない人、アサーション権を妨げる人や状況が多くあります。だからこそ、自分自身でアサーション権について理解し、納得し、確信することが大切です。
これらがアサーティブな表現を行う土台となります。
カウンセリングにおけるコミュニケーションに関する従来の諸理論や諸技法を検討した結果を抽出した手法をメタモデルとして定着したものです。以下に階層化されているイメージを示します。
下層から説明していきます。
積極的な傾聴の姿勢を示す手法の総称。具体的な行動は以下の4つとされています。
・視線(快適で適切な視線の合わせ方)
どの程度相手に視線を合わせるか。凝視するのではなく、話を聴いているということが伝わるようにします。
・言語的追跡(話題を替えない、回答を急がない)
うなずきや話し手が話した言葉を繰り返すことで先を促します。よく聴き、話された内容についていくことが大切です。話題を変えようとしたり、次に何を話そうか考えて焦ったりしないことを心がけます。
・身体言語(身振り手振りや姿勢に配慮)
相手の動きと調子に合わせて、少し前かがみになるような姿勢や適度なうなずきで関心を持っているという印象を与え、話を促すような態度や表情を心掛けます。
・声の調子(大きさ、高低、トーンを意識、低い声で話さない)
同じ言葉を言っても言い方によって伝わることが変わってきます。声の高さ、速さ、質など多面的な側面があり、興奮しているか、落胆しているのか、いら立っているのか、不調なのかなどを判断することができます。
早口だと追い立てられるように、ゆっくり過ぎると関心を持たれていないとかやる気がないように、甲高い声だと非難され叱られているように感じたりします。適度な声の調子を心掛けましょう。
相手の様子を観察したうえで、それに合わせた適度な形で行われることが望ましいです。自分自身の発する非言語的な手掛かりに敏感であると同時に、注意深く観察することが必要です。
かかわり行動をベースとして、話を深めていく手法の総称で、言語レベルの傾聴法です。以下を連鎖的に使うことで効果を発揮します。
・クライエント観察技法(非言語的表現の観察、言語的表現の観察)
非言語/言語の両方の表現に気を付けて観察します。非言語表現とは身体言語や声の質のように言語以外で表現されます。言語的表現とは会話のセリフとして具体的な言葉で表されます。
・質問(オープン/クローズド質問)
適度に質問を交えることで、話を深めていくことを意図する。クローズドな質問は話が展開しにくいという面もあります。一方、オープンな質問は話が展開しやすいという利点があるが、連発すると問われている側に負担を感じさせることもあるため、両方をうまく使い分けることがよいとされています。
・はげまし
うなずき、隠れた応答時間、肯定的/中立/否定的相づちで語りを促します。中立的相づちで評価しない受容による傾聴が大切です。
・いいかえ
相手の話がひと段落した場合、その内容を他の単語に言い換えて繰り返します。こうすることで聴いてもらっていることを印象付けられ、同時に問題の要点を知ることにもなります。
・要約
相手の話した言葉の重要な部分をまとめて繰り返します。相手の抱える問題が明確化・整理されたりします。
・感情の反映
相手の発した言葉のうち感情を表す言葉を繰り返していきます。言葉の背景にある感情に着目し、ともに味わっていることを伝えることで、心の深い部分で受け止められていることを感じてもらえます。
・意味の反映
発言や行動の意味を見出すことを援助します。生きる意味を言語化していくプロセスを共有します。
情緒的・戦略的に問題解決を行う。聞き手の意図性。会話の流れを聞き手の意図に方向付ける=焦点を当てる。意図的に会話の焦点をコントロールする。対象は、行動、感情、身体症状、認知、環境、イベント、対人関係など、気付きを与え、事実に正対していくことで促進させる。
かかわり技法だけでは十分でない場合に積極的に働きかけや介入を行います。これにより、効果的な態度変容をもたらします。
・指示
問題解決へ新しい選択肢を提供します。指示を出す場合は、適切な視線の位置で、声の調子、姿勢、言語表現はより具体的にわかりやすく行います。ただ、指示を安易に用いると、依存的傾向が強化され、行動選択と自由を取り上げることになるので注意が必要です。
・論理的帰結
自ら決断できない様子の場合、選択肢ごとに選択が、どのような結果が想定されるか、別の選択肢の場合の想定との違いなど、想定される帰結を具体的に検討します。
・解釈・再構成
新しい枠組みから意見を述べます。視点が異なると解釈が異なる事実を事実を知ることは重要です。新しい解釈により、状況をよく理解し、よりよく対処できるようになります。
・自己開示
自分の個人的な意見や感情を純粋に提示していきます。
・情報提供・助言・説明・教示
事柄の水準で行われる相談は、知的な情報提供は有力な技法です。常に相手が受け入れられる心の状態にあるかのアセスメントと、用いるタイミングの判断が重要となります。相手が理解したかどうかを確認するも忘れてはいけません。
・フィードバック
非審判的で具体的な事実に基づき、自分の行動が他者からどう見えているかを示します。効果的に用いられた場合、自己探求を促進し行動を変容させていきますが、自尊心を傷つける恐れがあるので注意が必要です。
・カウンセラーの発言の要約
述べてきた考えや意見・助言などを要約して、伝えようとしていることの再確認を促します。
かかわり技法に比べ、相手への影響が強い場合が多いため、以下の手順に沿って行うことが望ましいです。積極的技法を用いる場合は、その影響に対する十分な配慮が求められます。
1)かかわり技法を用いて相手の世界を理解する
2)積極技法を用いる
3)積極技法を用いた結果、相手の受け止め方を観察する
各技法を十分に習得した後、最終的にはマイクロ技法を統合し、発達投階や話の進み具合に応じて使い分けていきます。実際のロールプレイングを通して実習して深化させていきます。実際に活用していく際には、対人関係に影響を与える大きさ順に提示されたマイクロスキル連続表に従い、聞き手の意図性のコントロールのもと、相手の意図的人間支援のゴールへと向かっていきます。
アサーション、マイクロ技法ともに心理療法に有効だけではなく、キャリカウンセリングなどにおいても活用されています。日常的なトレーニングとして、議論メシという場を使うのはいかがでしょうか?誰かの前で話す機会が少ない方や日常の中でトレーニングしづらい方は、議論というと硬い感じがしますが、そんなことなく、雑談で発想を広げたり、答えを出すためではなく、内省を促すことを主としているので、内省を促せるような会話の練習にいかがでしょうか^^。