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メンタルヘルスマネジメントからの学び#7

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  • ばば
  • 2020/11/03 16:53
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メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種を目指して、覚えたこと、感じたことなどをアウトプットしていくことで、記憶の定着と自分の考えの整理をしていきたいと思います。なお、内容については間違いなど普通にあると思います。これを見て落ちても責任は取れませんので悪しからず。

第7回目は、第3章の職場環境についてです。前回はこちら
 

第3章 職場環境等の評価および改善の方法

第3章からは今までとは少し雰囲気がかわって、管理監督者がマネジメントする職場の環境をメンタルヘルスケアの視点から改善する方法を学んでいきます。ストレスの原因となる職場環境と評価方法⇒具体的な改善方法⇒改善の評価と進みます。今度こそ、まとめてみせるぞ!っと。

1 職場環境などの評価方法

ストレスに対処するには、個人ではなく組織として対応することを今まで書いてきました。では、どういった職場がストレスの原因となるかを見ていきます。
厚労省が1982年から5年ごとに実施している「労働者懸鼓尾状況調査」の2012年の調査結果が紹介されていますが、既に第1回で書いていますから、そちらを参照してください。
この結果より、職場の人間関係などの「職場組織」の問題、仕事の量や質などの「作業内容および方法」が、労働者の主なストレスの原因であると結論付けています。
職場改善を主体とするストレス対策は国際的な大きな流れです。国際労働機関(ILO)が世界各国の職業ストレス対策の成功事例を集めて分析した報告でも、各国事例のうち半数以上が職場改善、組織の再構築など職場環境の改善を通じた対策でした。個人向けアプローチが一時的・限定的であるのに比べ、職場環境などの改善を通じた対策のほうがより効果的であったとILOは強調しています。

ということで、具体的な内容ですが、大きく3つに分類できます。管理監督者は十分に把握しておく必要があります。

作業内容および方法
1)仕事の負荷が大きすぎる。あるいは少なすぎる
2)長時間労働である。あるいはなかなか休憩時間がとれない
3)仕事上の役割や責任がはっきりしていない
4)労働者の技術や技能が活用されていない
5)繰り返しの多い単純作業ばかりである
6)労働者に自由度や裁量権がほとんど与えられていない(仕事のコントロールが低い)
職場組織
1)上司・同僚からの支援や相互の交流がない
2)職場の意志決定に参加する機会がない
3)昇進や将来の技術や知識の獲得について情報がない
職場の物理化学的環境
1)重金属や有機溶剤などへの暴露
2)換気、照明、騒音、温熱
3)作業レイアウトや人間工学的環境

ストレスの評価方法として、職業性ストレス簡易調査票というものがあります。これはストレス反応だけでなく、最近1か月の職場におけるストレス要因や修飾要因も同時に評価でき、また、あらゆる業種で使用でき、職業性のストレスを把握することができます。

職業性ストレス簡易調査票(全57項目)
17項目 仕事のストレス要因に関する尺度について
 仕事の量的負担、質的負担、身体的負担、仕事のコントロール、
 技術の活用、対人関係によるストレス、職場環境、仕事の適正度、
 働き甲斐
29項目 ストレス反応について
 活気、依頼羅漢、疲労感、不安感、抑うつ感、身体愁訴
11項目 修飾要因について
 上司、同僚、配偶者、家族、友人からの支援、満足度

この評価法を用いて、評価した結果は「仕事のストレス判定図」として整理されます。職場のストレス要因、従業員のストレスや健康リスクにどの程度影響を与えているか判定することができます。

仕事のストレス判定図
◆量-コントロール判定図
仕事の量的負担と仕事のコントロールをストレス要因として生じる健康リスクを評価します。高ストレスとなるのは、仕事の量が多く、仕事のコントロールが低い右下となります。
◆職場の支援判定図
同僚の支援と上司の支援から健康リスクを評価します。高ストレスとなるのは、同僚・上司ともに支援が低い左下となります。

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健康リスクの標準集団(全国一般)の平均を100として、100を超えると健康リスクが高いと判断します。120を超えた職場では問題が顕在化している例が多くみられます。判定図は10人以上、できれば20人以上の集団で作成します。この判定図を利用して各軸に関連した効果的なアクションを起こすためにも、産業保健スタッフなどと協力することが良いとされています。
また、職場ミーティングを通して、改善策について話し合うためのツールとして、「職場環境改善のためのヒント集(メンタルヘルスケアアクションチェックリスト)」も活用できます。(後述)
 

次にテスト的に困った調査票があります。「職業性ストレス簡易調査票」(2012年4月)です。今までの調査票では、ネガティブな影響を評価してストレスの悪影響を改善・予防する視点であったのに対して、新調査票では、仕事のポジティブな側面を評価して、良い点や強みをさらに伸ばすという視点に立っています。ただ、今のところ、従来の調査票のように簡単に結果を出力するシステムまではできていない。

新職業性ストレス簡易調査票(2010年)
 推奨策度標準版 42尺度120項目
 推奨尺度セット短縮版 80項目(従来の調査票57項目と合わせて)
<追加項目>
◆仕事の負担
情緒的負担、役割葛藤、ワークセルフバランス(ネガティブ)
◆作業レベル
仕事の意義、成長の機会
◆部署レベル
経済地位・尊重・安定報酬、上司のリーダーシップ、上司の公正な態度、褒めてもらえる職場、失敗を認める職場
◆事業所レベル
経営層との信頼関係、変化への対応、個人の尊重、公正な人事評価、キャリア形成、ワークセルフバランス(ポジティブ)
◆アウトカム
労働者の仕事へのポジティブなかかわり度合い(ワークエンゲージメント)、職場の一体感(ソーシャルキャピタル)、職場のハラスメント

特徴としては、職場環境の良好ポイントと要改善ポイントが分かりやすいということ、ワークエンゲージメント、職場内の一体感といった測定も可能であるということです。なお、健康経営有料法人の認定基準にはワークエンゲージメントが含まれています。

最後に、これらの調査票による評価に加え、管理監督者の普段の観察や産業保健スタッフからの意見、労働者からのヒアリングなどを行うと、職場の抱える問題点や良好な点をより明確化できます。

2 改善の方法

ラインによるケアとしての職場環境改善ということで(Ⅱ種なので)、改善方法を見ていきます。
まず、日本国内の成功事例が紹介されています。

職場環境改善に役立った具体例
・毎朝の定例会議でコミュニケーションをよくする
・係長クラスへ裁量権を一部委譲し、業務の効率化を図る
・営業職が自分で集めた情報(顧客、需要)の共有
・週1回ノー残業データを設ける
・フレックス制の活用を徹底する
・クレーム対応を販促部からメンテナンス部に移行する
・応接スペースの灰皿を撤去する
・管理職にデスクワークの日を作る
・多能工化を図り、最低2人が同じ業務を担当できるようにする
・1日2枠のメンタルヘルス相談枠を設ける

職場の改善を行うために、管理監督者による改善や人事労務による改善、産業保健スタッフ、特別編成されたチームによるものなど事業所により改善の取り組み方はさまざまです。そこで、効果的に職場環境改善等を進めるために、チェックリスト「職場環境改善のためのヒント集(メンタルヘルスアクションチェックリスト)と現場の話し合い(グループ討議)を活用した職場環境改善の取り組みが紹介されています。

職場環境改善のためのヒント集を活用した職場環境改善のすすめ方例
a)方針作成と職場改善の事前準備 5~6月
管理監督者はキーパーソンとして職場環境改善の重要性を理解する
・参加者は産業保健スタッフ、人事労務スタッフ、管理監督者、
 労働者の代表など、それぞれの役割・責任・権限の明確化が必要
・安全衛生方針、事業場内の合意形成、実施体制整備
・職場改善計画、判定図、良好事例、ヒント集等の収集
・必要に応じてグループ討議を行う。(業務時間内で)
b)職場検討会(グループ討議) 7~8月
・各職場のメンバーによるグループ討議を行う
・職場環境を広くとらえ、良い点と改善点を計画
部署外からファシリテータなどを付けると良い
ヒント集を活用する
c)職場改善計画の作成と実施職場改善計画の作成と実施 9~11月
・優先して実施する改善点に絞り込む
・具体的な内容の改善計画書の提出と実施
・グループ討議の結果は、対策の優先度を決める職場の心理社会的課題の
 リスクアセスメント実施結果ともいえる
d)改善報告書の提出改善報告書の提出 12~2月
・改善の成果と良かった点をフォローアップする
・成果報告会、イントラネットなどで成果共有
・取り組みを形骸化させないためにも効果を定期的に評価する。

社内でのグループ討議ですが、日ごろ感じていたことを言って同意を得るだけではなく、議論を深めていく感じかと受け取っているので、実施は公式テキストのイメージではなく、議論メシでの数少ないルールも混ぜていくと、いいかなと思います。あとは、当事者意識!募るメンバーも重要ですね。権限のある人とか、各部から一人ずつとか呼んで議論とかやりがちな気がします。企業では話を通すとか、社内政治を利用するとか、反対派を抑えるとか、議論の内容をよくするためじゃない部分に労力と時間を割いていないでしょうか?そんなときは、以下の5点だけ気にしてみるといいかなと思います。

議論のポイント
1)批判否定の違いを理解し、意見をぶつけ合う
2)結論を出さない(自分なりの結論、問いを持って帰る)
3)発言は短く(30秒~1分)、会話のパスをするようにつなげる
4)相手の発言に乗っかる。そのうえで、自分の意見を加えていく
5)参加者の名前を入れながら会話する
 (「Aさんも言っていたように」とか、「Bさんの○○に加えて」とか)

付箋紙使ったり、トーキングオブジェクト使ったり、みんなが発言できるようにファシリテーションすることも大事ですね。この辺の話はまた別の機会に書いていきたいと思います。

話を戻して、職場環境改善に利用されるツールが紹介されています。
◆良好事例
何も新しいことをやる必要はなく、良いものはどんどん真似て自分のものにしてしまった方がいいことあります。まさにその象徴がこれなのかなと。ツールとして紹介された良好事例。どんなものがあるかというと…

良好事例
・定例目―ティングを開催するようにして、仕事の進捗状況をお互い確認するようにしたら、プロジェクトがスムーズに進むようになった
・事務所の椅子を高さ調整できるものに変えたら、肩こりの訴えが減った

そんな難しい話ではないですね。良好事例に学ぶということに加えて、アイディア出しの敷居を下げる効果もあるのかもしれません。

◆職場環境改善のためのヒント集(メンタルヘルスアクションチェックリスト) #タイトル長いw
ちょいちょい登場してきたこれ↑です。仕事のストレス判定図などで状況の把握をした後は、職場環境の改善事例を収集し、心理学、人間工学、メンタルヘルス対策の実務家、研究者による討議を経て現場で利用しやすい6つの領域30項目に集約・整理したこのヒント集を使うとのことです。

ヒント集の特徴
1)自分たちの職場の経験から始めることができる
2)職場環境等の改善が必要な点に気づくとともに、改善のためのヒントを得ることができる
3)優先して改善すべきポイントを明確にすることができる
4)職場で既に実施されている良い活動事例を見つけ出し、収集することにも役立つ
5)職場を多面的に見ることにより、ストレスとなる職場環境等に関心を持つことができる

さてここからヒント集の全容となります。全部書いていると大変な分量となるので、過去出題された問題を紹介しておきます。続きに興味あるかはここ↓を見ていただければと思います。

 

職場環境改善のためのヒント集
◆作業計画への参加と情報の共有
 少人数単位[ ア ]、過大な作業量の調整、情報共有
◆勤務時間と作業編成
 ノー残業日などの目標、ピーク作業時の作業変更、交代制、休日
◆[ イ ]
 物品の取り扱い、情報入手、反復作業の改善、作業ミス防止
◆作業場環境
 温熱・音環境、有害物質対応、受動喫煙の防止、休養設備、緊急時対応
◆職場内の相互支援
 上司・同僚の支援、チームワークづくり、仕事の評価、職場間の相互支援
◆安心できる職場の仕組み
 訴えへの対処、自己管理の研修、[ ウ ]、昇格機会の公平化

選択肢
1)ア:裁量範囲、イ:仕事のコントロール、ウ:十分な給与水準
2)ア:作業編成、イ:仕事のコントロール、ウ:仕事の見通し
3)ア:裁量範囲、イ:円滑な作業手順、  ウ:仕事の見通し
4)ア:作業編成、イ:円滑な作業手順、  ウ:十分な給与水準
 

テストでは、どんな領域があって、それぞれどんな事例がのっているかを理解して、さらに、事例ごとに仕事のストレス判定図の4軸(仕事の量的負担、仕事のコントロール、上司の支援、同僚の支援)に対応しているかを問う問題もあったりします。ひっかけ問題作りやすいので、気持ちは分からなくはないですけどねw。記憶しておくことよりも、こういうものがあるということと、知っておくことが大事な気がします。グループ討議は見ながらやるわけですし。でも、こういうテストなので、頑張って覚えますw
ちなみに、上記の答えは3です。

これらの取り組みを成功させるポイントとして、1)自分たちの職場に目を向けること、2)良好事例に学ぶスタイルをつくる、3)具体的な働きやすさを目指す、4)実行してなるステップを踏むの4点があるそうです。
東京ディスに―ランドのジャングルクルーズは参加型アトラクションです!というお兄さんの掛け声が忘れられませんが、参加型であることって結構大事な気がします。ジブンゴトにどれだけできるかで結果は見てわかるほど変わります!

さらに、管理監督者の役割についても書かれています。指針では、「事業者は、メンタルヘルス不調の未然防止を図る観点から職場環境との改善に積極的に取り組むものとする」とされ、管理監督職および産業保健スタッフがそれぞれの立場から職場環境等の改善を通じたメンタルヘルス対策を推進することを求めています。
管理監督者は、職場環境等の評価と問題点の把握、職場環境等の改善の2点の視点で、産業保健スタッフや人事労務管理スタッフと協力し合いながら、前項で説明したステップを踏んで進めていくことが重要です。また、常時50人以上の労働者を使用する事業場に設置義務がある衛生委員会の利用も有効です。衛生管理の調査機関である衛生委員会を有効活用して、ストレス踏査の実施に関すること、職場ミーティングの開催やグループ討議の場の設定、改善提案の集約や進捗状況の把握などを行うことも紹介されています。

3 対策の評価

1つに書いたら超大作になってしまいましたが、最後です。
PDCAのCです。どんな改善でも1度で終わりということはありません。評価して次に生かしていかないと!(実はこの第3章3節目は2ページしかないw)

対策評価の進め方として、2つあります。1)プロセス評価、2)アウトカム評価です。

プロセス評価(計画実施状況の評価)
・計画された改善提案がどの程度実施されたか、改善実行レベルで評価
・取組が役に立ったか職場への訪問、ヒアリング調査を実施して
 衛生委員会などで報告
・「事業場における心の健康づくり実施状況チェックリスト」で職場が
 ストレス対策に取り組む組織づくりの状態を評価すことも可能
アウトカム評価(取組による効果評価)
・改善前後の労働者の健康状態を取組レベルで評価
生産性の向上、欠勤率の減少、休業日数の変化などを定量的に評価
・職業性ストレス簡易調査票を用いたストレス判定図で、
 ストレスレベルの変化を定量的に評価
 (仕事の量的負担や仕事のコントロールがどの程度改善したかなど)
・努力-報酬不均衡理論に沿った職場環境改善の効果判定
継続して同じ指標を用いて評価をすることで、改善前後の変化を分析

最近では、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)を導入する事業所も増えています。ストレスチェックの集団分析結果や職場環境改善の状況をOSHMSのリスクマネジメント一部と位置づけ、OSHMSの監査のステップで評価する方法とのことです。これだけだとなんとこだかよく分からなかったので、ここで勉強してみました。OSHMSの説明を引用しておきます。

 

OSHMSは、事業者が労働者の協力の下に「計画(Plan)-実施(Do)-評価(Check)-改善(Act)」(「PDCAサイクル」といわれます)という一連の過程を定めて、継続的な安全衛生管理を自主的に進めることにより、労働災害の防止と労働者の健康増進、さらに進んで快適な職場環境を形成し、事業場の安全衛生水準の向上を図ることを目的とした安全衛生管理の仕組みです。「OSHMS」は、Occupational Safety and Health Management Systemの頭文字です。
ILO(国際労働機関)においてOSHMSに関する指針等が策定されていますが、日本でも厚生労働省から「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」別ウィンドウが開きます(平成11年労働省告示第53号)(OSHMS指針)が示されています。
 

まとめ

職場環境と評価方法⇒具体的な改善方法⇒改善の評価とみてきました。順を追って進めていくことで、一定数以上の成果を上げれるように仕組化しているのかなと思いながら読んでいました。
で、読んだ結果は、なんか、新しいアイディアとかいらないじゃん!観点は整理されていて、具体的な事例(しかも成功事例)が挙げられていて、改善方法は手順化されていて、評価方法まで付いてくる…。しかも、具体例はこんな簡単なこと?というものもある。敷居を低くする工夫も忘れない!こういう仕事する人はホント尊敬です。

もう少し調べてみたら、こんなのもありました。「職場環境改善の継続展開のためのファシリテータ・コーディネータ用ポイントマニュアル」というのに、職場環境の状態によって必要な対策も変わってくるとの記載がありました。対策前職場環境改善準備状態として、各段階ごとに望ましい対応も整理されています。

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