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メンタルヘルスマネジメントからの学び#6

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  • ばば
  • 2020/11/03 09:03
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メンタルへするマネジメント検定Ⅱ種を目指して、覚えたこと、感じたことなどをアウトプットしていくことで、記憶の定着と自分の考えの整理をしていきたいと思います。なお、内容については間違いなど普通にあると思います。これを見て落ちても責任は取れませんので悪しからず。

第6回目は、第2章のメンタルヘルス不調に対する誤解です。前回はこちら
 

第2章 ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
3 心の健康問題の正しい態度
 

メンタルヘルス不調への誤解について、勉強していきます。テスト的には、不適切な記述の選択肢として出題されることがありますが、普通に分かると思います。ただ、このテーマはメンタルヘルスケアを考えるうえで、実は一番大事なんじゃないかと思っています。脱線しつつ、少し深堀りながら進めていきたいと思います。

メンタルヘルス不調は特殊な人の問題であるという誤解

ということで、以下の調査結果が紹介されています。

公益財団法人日本生産性本部が2014年6~8月
実施した全国の上場企業250社を対象とした調査結果
 過去3年間において企業内の「心の病」が増加傾向と回答 29.2%
 心の病が最も多い年齢層は「30代」とする上場企業 38.8%

文部科学省 病気休業者などの推移平成16年~25年(2004年~2013年)
 2014年度に休職した教職員(公立)の原因疾患
 うつ病などの精神疾患 61.0%
 ※過去10年で1.4倍増

人事院「平成23年度国家公務員長期病休者実態調査」
 2011年度に国家公務員がとった1か月以上の長期病欠の原因
 1位 うつ病などの精神疾患 64.6%
 2位 悪性腫瘍 9.2%

うつ病自体は有病率1~3%であるため、1000人規模の事業所であれば10~30人がうつ病に罹患している計算になります。決して珍しい疾病でも例外的な状態でもない。メンタルヘルス不調に将来的になりうる人(素因をもった人)を採用や昇進の際にスクリーニングすることが現実に可能かどうかといえば否です。高血圧や胃潰瘍を予測するのが困難であることと同様です。
理由として、以下の3つがあげられています。

1)メンタルヘルス不調の可能性を事前に察知することは医学的に困難
2)従来型のうつ病と親和性が高いとされる病前性格に”自分自身に
 対する以上に周囲に配慮する”、”ものごとの手順や順序を重視する”と
 いうものがあり、これは組織人という観点からは高い順応性と
 パフォーマンスの源となり得ること
3)過労自殺と認定された人の多くが直前まで”仕事ができる人”と評価
 されており、その7割以上が治療を受けていない労働者であったこと

つまり、うつ病などのメンタルヘルス不調は特殊な人の心の病では全くないのです。よって、メンタルヘルス対策を考える上では、すべての人・誰もがメンタルヘルス不調になる可能性があること。このため、特定の個人へのアプローチや選別という発想ではなく、職場環境の改善(特にコミュニケーション)や管理監督者が部下の健康管理に配慮することで対処するという前提に立つことが必要となる。”職場というシステムの問題”と捉えることが大事です。

その際の主となるターゲットは、頻度を考慮するとうつ病が中心となります。よい上司の役割を管理監督者が個人的に演じることに頼るのではなく、関係者で連携し合って、メンタルヘルス不調者を手遅れにならないように医療につなげるシステム構築が肝要と考えられている。
これから障害者の就業機会は増えていきます。企業は障害者の雇用を雇用するにあたり、気にしておかないといけない法律があります。

障害者差別解消法
全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的に制定(2013年6月)
この法律では以下の2つが求められている
・不当な差別的扱いを禁止
・合理的配慮の提供
障害のある人とない人が実際に接し、関わり合う機会が増えることで、お互いに理解し合っていくことが「共生社会」の実現にとって大きな意味を持つと考えがある。

改正障害者雇用促進法
障害者の雇用義務等に基づく雇用の促進等のために措置、職業リハビリテーションの措置等を通じて、障害者の職業の安定を図ることを目的に制定
こちらの法律は、障害者差別解消法で求められていた合理的配慮(努力義務)が、法定義務として規定されている。そういう意味でも、障害者差別解消法の実行に関しては、こちらの法律に委ねられている。
雇用の義務づけられている障害者の範囲や法定雇用率について規定されている。
※障害者雇用に関しては、こちらにも書いてあるので見てみてください。

ここで合理的配慮について、もう少し脱線してみます。
「合理的配慮」という考え方が世界的に普及してきた背景として、2006年の国連総会での採択で、障害者権利条約の存在が重要となります。

「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。(障害者権利条約 第2条)

ここで重要なのは、「合理的配慮を否定することは、障害を理由とする差別である」ことが明示されたことです。また、この条約の策定の過程で多くの障害者が関わったことも意義があることでした。「Nothing about us without us」を合言葉に、障害者が主体となって進められたことで、当事者としての意思表示が重要であり、障害の程度や環境に応じて、個別の対応が求められるものとして、世界中に浸透されていきました。
つまり、「障害のある人に必要な配慮を、できるのにやらないことは差別である」ということを健常者はしっかり理解しないといけません。学校教育での徹底や実際の現場での授業など学力至上主義でなくなりつつ、今だからこそ、日本らしい教育の形を模索していけたらと思います。行政や司法に近い方はぜひ、この分野についての学びをもとにしていただきたいと思います。

経営上はあまり関係ないだろうという誤解

脱線したので話を戻します。次は、メンタルヘルス対策を講じても”経営上は特段プラスにならない”という考える立場もいるということから始まります。
企業がメンタルヘルス対策を行う意義についてはここに書いていますが、ここで少し復習する形なっています。数字を出して説明をしています。

ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)、世界保健機構(WHO)、ハーバード大学、東京大学など7つの機関が共同で「疾病や障害ごとの日本国内での損失(DALYs損失とQOL低下による損失の合計)」を検討し、300以上の諸要因のうち、上位16原因により日本人の健康損失の大半が発生していることを明らかにしました。

日本におけるDALYs損失の上位16原因(2010年GBD)
 1位 腰痛          9位 額部痛
 2位 脳卒中        10位 転倒
 3位 虚血性心疾患     11位 大腸がん
 4位 下気道感染症     12位 うつ病
 5位 その他の筋骨格疾患  13位 骨関節炎
 6位 肺がん        14位 糖尿病
 7位 自傷・自殺      15位 肝臓がん
 8位 胃がん        16位 アルツハイマー病(認知症)
※19位 交通事故、23位 不安障害、24位 統合失調症

これによると、うつ病などと関連性の強い自傷・自殺が第7位、うつ病が12位であり、国民的問題となっている糖尿病より健康損失は高くなっています。さらに、不安障害23位や統合失調症24位とメンタルヘルス不調による健康損失は、決して小さいものとは言えません。

以上のことからも、メンタルヘルス不調は、特定の職場における特別な事情ではなく、一般論として職場の機能・活動性を守るという、企業にとって最も重要な「人的資源管理」の観点からも重要なテーマとなります。

DALYsについて

またしても脱線^^。最新のDALYs情報が厚労省にありましたので、引用しておきます。(2019年5月科学技術部会)

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男女別にDALYs上位20位と2040年予想がありました。
これによると、男女ともアルツハイマー病の位置がまず驚きです。2010年では16位だったのですが、たった9年で2位まで上昇しています。介護につきものの転倒も順位を上げています。
うつ病を見ると、男性が18位なのに対して、女性が8位となっていて、不真面目な男性、真面目な女性が多いということかと想像しています。
ひそかな注目が糖尿病です。2010年は14位でしたが、2015年では13位と微増にとどまっていますが、2040年予想では、ついにうつ病を凌ぐ病気となりそうです。
個人的に気になったのは頭痛が女性に多いという点とその順位7位というところです。偏頭痛では男性の3倍と緊張型頭痛では男性の1.5倍といわれているそうです。偏頭痛は、メカニズムは明確になっていませんが、エストロゲンの減少により、セロトニンも減少するようです。セロトニンは血管の収縮をコントロールしたり、痛みを抑えたりする働きがあるので、痛みに過敏になり頭痛が発生ると考えられています。妻を見ていると偏頭痛の凄さ?大変さがよく分かります。前兆みたいなものがあるのですが、最近は薬を変えてひたすら寝込んでいます。
緊張型頭痛は、前回登場しましたが、疲労や長時間同じ姿勢でいることによる血流の低下が原因とされています。肥満、運動不足、喫煙などが危険因子であるとする報告もあります。エストロゲンの影響はまだ不明のようです。認知行動療法(CBT)で認知の修正を行っていくという治療があります。

その他の誤解とその対策

「メンタルヘルス不調は治らない」という誤解があります。慢性疾患の側面がありますが、誰でもかかる可能性がある病気で不治の病ではありません統合失調症は約1/3は医学的にも社会的にも完全に回復するといわれていますし、初期に適切な薬物療法と心理的ケアを受ければ約半数は長期にわたる完全な回復を期待できるとされています。うつ病については、これ以上の治療効果が期待でき、早期に治療すれば完治する可能性も高くなります。

また、マスコミの不正確な事件報道によって、メンタルヘルス不調などの精神障害者は危険であるという漠然とした誤解もあります。これは完全な誤解です。「平成26年版犯罪白書」(法務省)によると、一般刑法の全検挙者に対して精神障害者等の(精神障害者もしくはその疑いのあるもの)が占める比率はわずか1.4%に過ぎません。

加えて、メンタルヘルス不調はいわゆる単純な遺伝性疾患ではありません。「脆弱性ストレスモデル」といって、その人の病気へのなりやすさ(発病脆弱性)とストレスを引き起こす環境要件が複雑に絡み合って起きているとする考えがあります。発病脆弱性は、人の素質のみならず、生まれてからの学習や経験などにより獲得されたストレスへの対応力が深く関連してくるため、遺伝のみで説明できません。統合失調症、うつ病、パニック障害などの不安障害では、こういった「脆弱性ストレスモデル」による病態理解が現在では主流となっています。

メンタルヘルス不調は、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病と同様に、生活改善やストレス対処法により大部分が防ぎえるものです。早期の治療的対処により脆弱性を小さくすること(薬を飲むこと)、ストレスを軽減すること(職場や家庭でのストレス減少、周囲の適切なサポート、ストレス対処法を身につけるなど)が重要になってきます。なかでも、サポートを得られるような職場の人間関係作りは非常に有益で回復や経過にとって大きなマイナス要因となってしまうため、職場としては十分な配慮が不可欠となります。

まとめ

誤解についてみてきました。なぜ、誤解がおきるのでしょうか?誤解と簡単に言っていますが、個人的にはもっと根深い問題があるように思えます。いじめや人種差別に近い感覚です。人に備わっている普遍的な歪みや異常性が原因であるという考え方もあります。自身の所属する集団の外への攻撃により、自身の所属する集団の団結を強めるという手法もあるので厄介です。
この賞を読んでいて、ふと思い出したことがあるので書いておきます。平等と公平についての面白い指摘です。下の図をみてください。

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中央2つで平等と公平を説明しているのはよく見かけると思いますが、右側がよかったのです。
右側は「すべてのサポートと障害が取り除かれた」と言っています。不平等に対する対処として、そもそもへのアプローチが面白いと思いました。これは障害者に対して、手厚くすればいいということではなく、機会への障害を排除する条件を作り出すことだと思います。障害者自身もサポートして欲しいだけではなく、みんなと同じように生活をしたいだけなんです。フェンスすら無くてもいいのかもしれませんが、危険からの回避はだれでも必要なので、やり過ぎには注意が必要ですね。

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