イスラエルとウクライナで戦争が激化する2023年下半期ですが、よく言われることに「第三次世界大戦」が挙げられます。
✓ もしも第三次大戦が起きたら世界はどうなる?
✓ 激烈な戦場になりそうな場所は?
✓ 逆にならなそうな場所は?
細かい日常のインフレもそうですが、こういったあまりにも巨大かつあいまいな大局観からくる不安というものがあるのではないでしょうか。
この記事では、もしも第三次世界大戦が起きてしまったらどうなるのかということを大局的に考えていきたいと思います。
そこでまず挙げる話題が超大国アメリカと、先の大国ローマです。
人の住むかぎりほとんどの全世界が、いったいどのようにして、そしてどのような国家体制によって、わずか53年にも満たない間に征服され、ローマというただひとつの覇権のもとに屈するにいたったのか、史上かつてないこの大事件の真相を知りたいと思わないような愚鈍な人、あるいは怠惰な人がいるだろうか。—ポリュビオス
Wikipedia「内乱の1世紀」
かつて、欧州地域にはローマ帝国という巨大な国家がありました。それはほぼ2000年前に地中海を囲うようにして成立していましたが、繁栄の時を過ぎると、徐々にコントロールをとるのが難しくなっていたようで、最終的には滅亡してしまいました。
現在、ローマ帝国と奇妙なほど鏡像対称な大国があり、それがアメリカです。ローマは地中海という「海」をアフリカ大陸とユーラシア大陸が囲っており、まさに「陸に囲まれた海」という地理的条件がありました。対してアメリカは「太平洋」と「大西洋」に囲まれており、「海に囲まれた陸」という対照的な地理的条件をしています。
そして、どちらの国家も地政学的に超大国とされ、人類史において無視できない存在として語られています。また、古代ローマはNew ギリシア文明といった位置づけがある一方で、現代アメリカはNew ヨーロッパという位置づけができ、両者が似た者同士であることは常々言われてもいます。
このことから何が言いたいのかといえば、アメリカはまだ成長、繁栄するだろうということです。第三次世界大戦が起きたとして、それが超長期的な戦争だとしても、アメリカ大陸のある地理的条件の優位性を考えれば21世紀はおろか25世紀くらいまでは世界的に無視できない国家であり続けることは予想できます。
かのイーロン・マスクは、Xで「現在のアメリカはローマ帝国末期のようだ」と表現しており、これは一つにアメリカもコントロールしにくい巨大国家になりつつあり、将来的にはローマのような「テトラルキア」を展開することが可能性としてはあるかもしれないという意味を含んでいるのではないかと思ったりします。
(とはいっても、かつてのローマの平均寿命が25歳くらいだったことや総人口が6000万人くらいというデータもあり、比較は難しい)
経済的、政治的にどのように社会が変化するのかまで予想することは難しいですが、マクロな視点で予想することはできる気もします。例えば、現在の世界GDPランキング上位10か国がキーとなってくるのは間違いないですし、過去100年で起きた戦争が原因となって次の戦争が起きることから、歴史を鑑みればある程度は情勢の先行きは予測できるものと思われます。
大戦が起きたらどうなるかという議題は、しばしば「冷戦」を思い出させ「米中対立」を想起させます。そこで、先述したローマのようなアメリカと、中国、それともほかのパワー(例えばインド)、どのプレイヤーがどのように動くのかという関心となります。
第三次世界大戦が起きたら、真っ先に戦火の中に入るのはヨーロッパと東アジアだと言われています。
トルコや韓国、日本、ロシア、ドイツやポーランド、中国などはどれもが過去に戦争を体験している国ですが、第三次世界大戦もやはりここら辺の国が怪しいと言われています。
つまり、基本的に「戦争になりやすい場所」は「過去に戦争になった場所」だということが考えられます。しかし、その言葉をうのみにしていいのでしょうか。かつて「太平洋戦争」というものがありましたが、それは北太平洋を包み込むほどの戦争であり、初めての戦争でもありました。
そんなわけで、これまで戦争が起きていた場所ではないところでも戦争が起きるかもしれない。こういったことを踏まえながら、逆に「戦争が起こらなそうな場所」「安全地帯」について考えていきます。
第三次世界大戦が起こったときに「安全」な場所はどこなのかという疑問が起こったりしますが、ここでのアンサーについてよく出てくるのが「インド」「アフリカ」「オセアニア」です。
インドはもちろん、米中対立の中、グローバスサウスの盟主として注目されていますし、アフリカは同じように「人類最後のフロンティア」とか呼ばれたりして期待されている場所です。
オセアニアもまた、世界で最も遠い先進国といわれるように、戦争が起きたときに最も攻撃しずらい場所にあるという意味でやり玉に挙げられる時があります。
これらの地域はかつての人類史を振り返ったときにほとんど戦争のイメージがない場所でもあります。欧州や東欧、中国に北太平洋などはそのイメージが付きまとっていますが、南太平洋にアフリカ、インド洋には血の流れた記憶はないと認識されています。
第二次世界大戦が起きたとき、なぜ収容所に入れられた人は欧州から逃げなかったのか、アメリカに逃げていれば変わったのではないかという疑問であったり、なぜ没落して跡がなさそうなセクターから逃げられなかったのかという疑問は振り返るたびに起こるものです。
上記3つの地域はどれも没落とは対称的なイメージの中にあるわけですが、もしもこれらから一つに移動できると言われたらどこが良いのでしょうか。
戦争が起きた場合、安全な場所はどこなのか。このような疑問は多くの場所で交わされており、ひとつにはオーストラリアやニュージーランドが挙げられます。
理由に関しては上記記事で解説していますが、世界戦争の起きる大体の位置は北半球に多くあります。そのうえで、南半球にあり、南太平洋という島嶼群が少ないエリアを抑えており、陸上、航空、海上ともに最もアクセスしにくい場所にあるというのが理由です。
オーストラリアに関しては、第二次世界大戦時に日本軍が上陸した記録もあることから完全に安全とは言えませんが、ニュージーランドはそうといえる地域の一つではないでしょうか。