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プレゼント企画詐欺の法的問題について

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  • ふっくん
  • 2018/09/26 10:15
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どうもふっくんです。


最近よくツイッターで、「リツイートした人全員にアマギフ1000円プレゼントします!」とか、「リップル100XRPプレゼントします!」みたいなやつ見つけますよね?

こういうやつです。


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こういうのみると怪しいなあ~とか思いつつ、フォロリツすればもらえるならまあしてやってもいいかって思うこと多いと思うんです。

ぼくもこういうやつ見つけるとついついリツイートしたくなっちゃいます。うそじゃなくて本当にもらえるかもしれないですし(笑)


でも、ウソの可能性もありますよね?

ここで僕思ったんですけど、もしこれが嘘ならなにか問題あるんでしょうか?

もちろんだましている以上ひどいとは思いますが、なにか法的に問題があるのかといわれるとう~んってなると思います。

ちょっと考えてみたので、よければお付き合いください。



・詐欺についての考察
・契約関係は成立しないか?
・補足
・結論

この順番で考えていきます。



詐欺についての考察


こちら、民法と刑法の詐欺の条文です。

詐欺に民法上のものと刑法上のものがあるのですが、そのことについてはこちらの記事で詳しくまとめたのでよければ読んでみてください(『民事上と刑事上の詐欺の違い ICO詐欺を例に』


刑法246条(詐欺)
1、人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2、前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
民法第96条(詐欺または脅迫)
1、詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2、相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合において は、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3、前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。


まず刑法上の詐欺について、フォロリツする際、みなさんプレゼントが欲しくてやっているわけで、プレゼントがもらえないならそんなアカウントをフォローしたり、ツイートをRTしたりしないわけですから、プレゼント企画のツイート自体は欺罔行為(だます行為のこと)に当たるように思えます。しかし、そもそもフォロリツしただけでは財産上の処分行為(当選するために有料会員になったなど)には当たらないので刑法上の詐欺は成立しません

次に民法上の詐欺について、そもそもフォロリツはユーザーが自分で好きに解除取り消しできるので法律問題になりません



契約関係は成立しないか?


では、フォローしたアカウントと一種の契約関係にあると考えるのはどうでしょうか? つまり、「フォロリツしてあげる代わりにギフトカード1000円分を渡す」という契約です。契約というのは、当事者間の合意によって成立し、日本民法では諾成主義といって無償の契約でも合意だけで直ちに契約としての拘束力を認める原則を採用しているので、単にフォロリツするだけでも契約とみなすことができます。

そして、一種の契約が認められる場合、債務履行義務が法的に発生します(要はギフトカード1000円分プレゼントする義務が発生するということです)。ここで、ギフトカードを渡さなかった場合、債務不履行責任が発生します。

第415条 (債務不履行による損害賠償)
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
第416条 (損害賠償の範囲)
債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。


ここで、問題となるのが「損害」がいったい何にあるのかなんですが、結局詐欺のところでいったように、フォロリツでは損害が発生しているとは認められないので損害賠償請求もできません。契約関係が成立していると考えてもやはり法的には問題がありません。



補足


こういったプレゼント企画って、youtubeの場合はフォロワーや登録者数のアップにありますよね? プレゼント企画の目的がフォロワー数のアップにあり、フォロワーが増えれば何らかの金銭がもらえるといった場合なら、「おれらのフォロワー数で儲けた分を返せ!」っていえるかなーと思えますが、フォローした人たちになんら損害が発生していない以上これもできません。損害が発生していれば、不当利得返還請求、不法行為に基づく損害賠償請求ができます。

民法第703条(不当利得返還義務)
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。



結論

「むかつくけど損害が出ていない限り法的には問題はない!」


なんかむかつく結論なんですが、現行民法上では損害賠償の本質は当事者間の公平にある(ここ地味に大事!!笑)ので損害がない以上法的には問題にできないんです。アメリカのように懲罰的損害賠償(悪いことしたんだからお前にはバツとしてもっとたくさん金払え!)が肯定されてくると、

「当初からプレゼントする気もないのにプレゼントをもらえるとの期待をもたせて一方的にその期待権を奪うような当該行為は公序良俗違反(民法90条にあるものです)にあたり、プレゼント企画詐欺者は懲罰的損害賠償として被告に○○円払え」

みたいな判決もあり得るかもしれません。ちょっと過激ですかね(笑)

日本ではさっき言ったように損害賠償の本質は当事者間の公平にあるので被告が得するような判決結果にはならないようになっています。もっとも、最近は損害賠償額について、一部懲罰的損害賠償を認めるような動きもあるそうです。


以上ふっくんでした!


*追記:こちら、景品表示法に基づくと、プレゼント企画の投稿をした人が事業者で、その事業の取引の一部とみなされる場合は消費者庁に対応を求めることができるそうです。景品表示法については勉強不足だったのでこちらには書けませんでしたが、Crypto-Amazonesさんにご指摘いただきました。ありがとうございます!



参考文献

「民法Ⅱ」内田貴著

「民法Ⅲ」内田貴著


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過去記事まとめは【こちら

Twitterは【こちら



公開日:2018/09/26
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表現の自由ガチ勢大学生🔥弁護士志望です。ALISは法律メインでいろいろ書いていきます。

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