どうもふくねこです。
みなさんエアドロップってしたことありますか?
エアドロップとは、特定の行為(公式アカウントのフォロー&リツイートなど)をした人全員、または一部にコインを配布するといったものです。
将来的に価値が上がりそうなコインをタダでゲットすることもできちゃうお得なエアドロップですが、最近エアドロップのコインがいつまでたっても配布されない事案が増えているそうです。
そんなエアドロップに対して法的に何か対策をとることはできるのでしょうか?
今回は配布がされなかったエアドロップに対してどのような法的措置をとれるのか、そもそもタダでもらう予定だったものに法的措置なんてとれるのかを書いていきたいと思います。
※一部配布(抽選による配布など)の未実施については別で取り上げたいと思います。
なるべくわかりやすく書きますがちょっと難しいので、結論だけ知りたい人はバーッと下までスクロールしてまとめだけ見ていいねしてくださいね(笑)
【もくじ】
・Case.1 条件が緩やかな場合
・Case.2 条件が厳しい(個人情報の提出義務がある)場合
・まとめ
【事案】
あなたはこのような条件のエアドロップに申し込みましたが、1週間たってもコインが配布されません。運営に問い合わせても「順次配布をしているところだ」との連絡しかなく、その後1カ月経ちましたが一向に配布される気配がありません。
順番に考えていきましょう!
そもそもエアドロップの申込がどのような契約になるのかを検討する必要があります。
エアドロップはタダでもらえる代わりに上のような条件が課されることがほとんどです。タダでもらえるということは贈与契約に該当するといえそうですが、条件があったうえでの贈与契約といえるので負担付贈与契約に該当します。
民法第553条(負担付贈与)
負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。
双務契約というのは、両者(双方)が合意したうえでの契約を意味します。売買契約とか、委任契約とかがそうですね。ちなみに、双務契約の反対を片務契約と言って、一人で契約効果を生じさせることができるものを言います。遺言とかがこれに該当します。
そして、エアドロップ運営者は、エアドロップによるコイン配布をしなきゃいけない(これを債務責任と言います)のに、配布をしなかったわけなので、これによって債務不履行責任というのが生じます。
民法第415条(債務不履行による損害賠償)
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
「お、これで損害賠償請求できるの??」って思うかもしれませんが、「これによって生じた損害」に何が該当するのかを考えてみると、単にツイッターのフォロー&リツイート、teleglamの参加だけでは何も損害は生じていないですよね?登録する時間が損害だ!と主張したいところですが、よほど登録の手続きが煩雑で、例えば、「PCの消費電力が登録のせいでえげつないことになった」などの事情がない限りは費やした時間を理由に損害賠償の請求はできません。
また、不法行為責任による損害賠償も考えられます。
民法第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
「故意または過失」に該当するかはともかく、「他人の権利又は法律上保護される利益」をエアドロップ未配布により侵害したかと言われると微妙です。
やはり、この事案では損害賠償請求は難しそうです。
損害賠償請求は不可能ですが、解除による原状回復請求(545条1項)は可能です。
民法第545条(解除の効果)
1、当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2、前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3、解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
原状回復請求というのは「元通りにする」という意味です。
なので、相手に教えた情報を相手のデータ先から抹消してもらうよう請求することはできます。と言っても、ツイッターなどはブロックしてしまえばいいわけですし、あまり請求する意味はないと思います。
Case.1と違い、個人情報の提出が義務付けられるような(KYCのある)エアドロップも存在します。このようなエアドロップにおいてコイン配布が未実施となった場合、Case.1と異なり問題が生じます。
債務不履行責任に基づく損害賠償請求おいても、不法行為責任に基づく損害賠償請求においても、「意図しない個人情報の流出」という意味でプライバシー権という利益が侵害されうることになります。
氏名や電話番号というのは調べれば分かってしまうものですし、あらゆる場所に提供している情報とも言えるので確かに秘匿性(隠したいと思える度合い)が高い情報ではないですが、その個人が公開を積極的にのぞまない情報であったといえる限りで権利の侵害が観念されえます。(難しい言い回しですいません、、、)
といっても、ただ情報を提出し、運営側がその情報を握ったまま保管していれば何の権利侵害も生じていないことになるので損害賠償は難しいです。
エアドロップ運営者のみがその情報を保持するのではなく、情報収集後、他者に拡散したり不正の用途で用いることが相当程度確実であったことが証明できた場合に限って、損害賠償の請求ができます。
もちろん、Case.1と同様に原状回復請求はどのような場合でも可能です。請求した場合、運営者のデータ上から自身の個人情報を削除するよう請求できます。
ちなみに、エアドロップを実施しないとわかっていれば登録者は個人情報を提供しなかったと認められる場合は、民法上の詐欺と構成することも可能です。
第96条(詐欺又は強迫)
1、詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2、相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3、前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。
詐欺に該当したと考えた場合は不当利得返還請求、不法行為損害賠償請求で構成できますが、結論は同じく、個人情報の抹消と損害賠償が請求できるのみです。
・個人情報などを提出した場合に限って損害賠償請求ができるかもしれない!
・その場合は個人情報の抹消請求もできる!
・それ以外のエアドロップ詐欺は運が悪かったと開き直って諦める!笑
ちなみに、これは国産コインのエアドロップの場合で、海外産のコインは国内法の適用外なのでどういった場合でもあきらめるしかありません。
気を付けてください。
以上ふくねこでした!
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