NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第41回「義盛、お前に罪はない」で北条義時は和田義盛をだまし討ちしました。大河ドラマで珍しいブラックな主人公です。冤罪で滅ぼされた畠山重忠の乱に続いて、視聴者の多数が主人公を応援しないドラマになりました。
義時のだまし討ちは義盛を殺さないという源実朝との約束を破るものでした。義時は最悪の形で約束を破りました。実朝のメンタルが心配になりましたが、ビジョンを持って義時への対抗を宣言します。義時以上に主人公的です。義時と実朝の対立が明確になり、実朝暗殺の黒幕が義時という展開も自然になります。
ところが、和田義盛ロスの衝撃から時間が経つと義時を擁護する声が目立つようになりました。義時は実朝との約束を守るつもりだったと言います。ここで義時が考えていたことは、義盛は謀反人であり、「死一等を減ずる」というレベルの助命でした。これに対して実朝は大勢の前で「義盛、お前に罪はない」と言い、義盛を鎌倉一の忠臣と評します。これを聞いた義時は生かしておくわけにはいかないと非情な決断を下したとします。義時は義盛を討った後に切ない表情をしていました。
この立場に立つと逆に実朝の発言が為政者として軽率であり、それが義盛を死なせる結果になったとされます。もともと和田合戦に至るまでに義盛がしていたことは身内の罪を揉み消す横車です。警察官の犯罪を揉み消し、隠蔽する警察不祥事と同じレベルの話になります。実朝が「義盛、お前に罪はない」と言うのも、お友達政治ではないかとなります。
とはいえ、義盛を謀反人とする前提自体が義時に都合の良い発想です。実朝から見れば義時と義盛の紛争であって、義盛が自分に謀反したという認識を持っていません。義盛は御所を攻撃しましたが、より直接には義時の方が実朝の身柄を押さえて連れ回しています。実朝にとって「義盛、お前に罪はない」は、そうとしか言いようのないものでしょう。
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